高校受験

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高校受験(こうこうじゅけん)とは、高等学校の入学試験を受験すること。高校の入学試験のことを高校入試と呼ぶ。本ページは主に全日制高校の受験について詳述する。

概要[編集]

2020年度に高等学校へ進学した中学生の割合は全国で通信制も含めると98.8%に上り[1]、殆どの中学生が何らかの形で高校受験を経験する。人によってはこれが生涯最初で最後の入学受験となる場合も。

形式は国語・数学・理科・社会・英語の5教科のいずれか複数のペーパーテストと面接、学校によってはペーパーテストと面接に加えて作文小論文などの試験を課す一般入試、面接と簡易なペーパーテスト及び作文・小論文を行う推薦入試の2種類に大別され、一般入試は中学校を卒業していれば誰でも、推薦入試は学校が定める基準に達した学業成績を有し、部活動で相応の実績を上げ、一定種類の資格を取得するなど学習に積極的な姿勢で取り組んで在籍する学校の校長の推薦を得た生徒や連携型中高一貫校の生徒が出願できる。

受験にあたって中学校は調査書を生徒が志願する学校へと送付し、志願校は当該受験生の調査書とペーパーテスト・面接の結果などを「総合的に判断[注 1] 」して合否を決定する。ただし私立学校を中心に調査書の内容は欠席日数を見るぐらいで他の項目は参考程度に留め、当日のペーパーテスト・面接の結果でほぼ合否を決めるところもある。

出願方法[編集]

かつて出願書類は私立・公立問わず書類一式を在籍する中学校を通して志願校へ提出する形を取っていた[注 2]。現在もこの方式を採用している学校は多く、子供自らが願書を郵送や持ち込みで提出するケースはあまり多くない。

近年は私立・公立問わず、オンライン出願に対応する学校も増えている。公立校のオンライン出願では出願情報を志願者が在籍する中学校の教職員が確認する仕組みが取り入れられている。

受験資格[編集]

高校入試を受験するには、一般に中学校、それに準ずる学校を卒業見込みあるいは既に卒業している事が最低条件となる。年齢で考えると入学時の満年齢は15歳以上となる。

中には受験できる年齢に上限を設定している学校や、浪人生の受験を認めていない学校もある。しかし日本と制度の違う外国の学校を卒業し、日本の高校を受験する帰国子女の入学を想定してある程度年齢に幅を持たせて募集している学校もある。

共学校は男女関係なく出願可能、男子校は男子のみ、女子校は女子のみ出願できる。

居住地や学区内でない公立校は原則受験できないが、県境地域で隣県の公立校の志願を認めたり、地域みらい留学のように県外志願者を積極的に受け入れる公立校もある。なお、その場合は、居住地の公立校を受験しない誓約書を提出するのが原則となっている。

公立学校の入試制度[編集]

都道府県によって複数の学校を受験できる場合と公立校は1校しか受験できないなど差がある。

単独選抜
教育委員会の定める学区の中から志望校を1校選び、そこを受験する。試験実施日は公立校全校一斉であり、複数の学校を受験することは出来ない。殆どの公立高校入試がこのタイプ。
総合選抜
子供の居住地や学力など様々な基準によって、合格者を学区内の学校に均等に振り分ける制度。兵庫県の但馬地区を除いて既に廃止されている。
複合選抜
愛知県のみで行われている選抜制度。県内の公立高校をAグループ・Bグループに分け、受験生はA・B両グループから1校ずつ選んで志願し受験する。両グループを受験する場合、出願の際に第一志望・第二志望を決める。
合同選抜
教育委員会の定める学区もしくはグループの中から第1志望校1校に加え、第2志望校を選べる。学力検査等は第1志望校で受験する。試験実施日は単独検査同様公立校全校一斉である。東京都立高で総合選抜廃止後に実施したが不評で廃止。島根県の公立高校でも実施していたが、現在は欠員補充に代替されている。

いずれの場合も試験問題は全校共通であり、各学校のレベル・志願状況に応じて合格ラインが上下する。一般に成績優秀な生徒の集まるエリート校や倍率が高い人気校は合格ラインが高く、俗に言う荒れた学校やそれに近い学校、過疎地に所在するなどで志願者数が少ない学校は合格ラインが低くなる。

定員割れ高の合否対応[編集]

定員内不合格」も参照

志願者が定員より少ない定員割れを起こしている学校についての合否対応は全国一律でない。
千葉県静岡県熊本県沖縄県の公立高校のように、定員未達でも合格基準に達しない受験者を不合格にする「定員内不合格(足切り)」を実施する県が多数派である。一方、北海道東京都神奈川県愛知県の公立高のように、不合格者を出すことなく受験者全員を合格させるところも少数ながらある。

支援教育を行う高校[編集]

2000年代後半から、東京都立の「チャレンジスクール」、「エンカレッジスクール」といった学校を皮切りとした支援教育を行う高校においては、従来型の学力検査、内申書を利用した入学者選抜に替え、面接、作文を重視する選抜を行っている。
東京都以外の、神奈川県立高の「クリエイティブスクール」、大阪府立高の「エンパワメントスクール」も同様の制度である。

一方、前述の静岡、千葉といった定員内不合格を出している県では、高校本科で支援教育を行うことに消極的である。

欠員補充[編集]

公立校全ての入学試験が終了して合格者数が確定した後、定員割れを起こした学校・学科で欠員補充の二次選抜試験が行われる。二次選抜試験は主に公立校の試験を受験したが一切合格できなかった、試験当日に体調を崩して受験できなかった受験生、入学手続きを期日までに完了できなかった者、そもそも出願しなかったがやはり高校に行きたいと考えた者を対象とする。全日制定時制では通常1度だけ行うが、県によっては欠員補充の目処が付くまで2度以上二次選抜を行うところもある。ちなみに学区制限については奈良県の一部公立校を除いて通常の入試と同じであり、制限が緩和されるケースは殆ど無い。
本来希望する高校が欠員補充の募集を行っても、どこかしらの公立校に合格できた者に受験資格は与えられず、定員に関する公私協定が実施される県では私立高の合格者も受験資格が与えられない。

なおこの二次選抜は出願期間が極めて短い。出願受付日の朝9時から夕方5時までならまだ長い方で、午前中の3時間で受付終了という所もある。

私立学校の入試制度[編集]

私立学校は各学校毎に学力検査を行い、入試問題の内容は学校によって千差万別である。試験日も各学校ごとに別々に設定されている[注 3]

公立校のように学区制限はない[注 4]が、自宅外の下宿から通学の場合、保証人が必要となるケースがある。

なお、公立校と違い、全日制では志願者を1校のみ志願する専願と他の学校も志願する併願に分け、専願受験者には合格ラインを少し引き下げるなどの優遇措置を行っている場合がある。
なお、中学校側では、進学希望者全員を合格させるため、進路指導主事が高校に出向いて、学力検査前に事前相談を行うことがある。

中高一貫校の場合[編集]

中学・高校が一体化した中高一貫校の場合、系列の中学を卒業した生徒は原則無試験で高校に入学できる学校が多い。
ただし、クラス編成のために簡易ながら試験を行う学校や、条件が定められ、満たない場合は進学不可を事前通告する学校も存在する。
系列外の中学から進学する場合、入学試験を受験する必要がある。しかし学校によっては、内部進学者のみ高校への入学を認め、外部からの募集は欠員補充すら行わない学校も存在し、こうした学校では高校入試そのものを実施しない。

系列の高校に原則全員が進学する中学では、ほとんどの生徒が高校受験しないため、授業でも受験対策を行わず、高1との重複内容を中3で先取り学習している。なお、わずかながら存在する他の高校を受験する生徒は、授業とは別に高校受験対策を行う必要がある。

その他[編集]

公立学校・私立学校問わず、入学試験当日の高校は登校禁止日に設定して授業を行わず、部活動も実施しない。推薦試験と一般試験を別の日に行うのであればその両方でこの措置を取る。これは教職員ほぼ全員[注 5]が入試業務に駆り出されて施設も入試のためにフル稼働になるのと不正防止の観点から行われる。
登校禁止日は高校の在校生は学校敷地内への立ち入りも規制されるが、在校生が試験監督補助を行う場合は監督補助を行う在校生のみ敷地内へ立ち入ることが出来る[注 6]
学校によっては試験の翌日以降に設定される採点日も登校禁止とすることがある。

脚注[編集]

  1. 公立高選抜の要項には「総合的に判断」すると書かれているが、内実はほぼ公表されない。それ故に定員内不合格の当事者が公表されない非選考理由を大きく問題視する他、地元集中を推進している地域(大阪府以外)では居住地も判断材料にされているのではと噂された
  2. 一方、この場合は中学側の信用が全てであり、2024年に福岡県の私立中学校で公立高の受付日程を中学教諭が勘違いして、提出が認められない事件が生じた。
  3. 但し、大方の統一実施日が設定されている。
  4. 狭域通信制の高校では、認可された都道府県の居住者のみ受験できる。
  5. 子供や弟妹が勤務校を受験する教員は、強制的に有休となり、業務から外される。
  6. ある種のアルバイトと言える。給料は支払われないが、昼食が支給されることもある。
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