調査書

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調査書(ちょうさしょ)とは、

  1. 何らかの調査に用いる文書。
  2. 調査の結果を報告する文書。
  3. 学校が在学生・卒業生の進学・就職の際に作成する個人情報を記載した文書。

の3つの意味がある。ここでは3.について記載する。

概要[編集]

進学・就職の選考資料の一つで、俗に内申書(ないしんしょ)とも呼ばれる。これはかつて調査書は児童・生徒・保護者に内容を一切開示しない秘密文書で、内部申告書として使われていたため。

記載内容が似ている学校作成文書に指導要録通知表があるが、指導要録は在校生・卒業生の記録であり、転校・転学先の学校に写しを送付してその後の教育活動に用い、通知表は指導要録の内容を児童/生徒・保護者向けに要約したものである。

調査書は小学校でも国立・私立の中学校といった入学試験を行う学校へ進学を希望し、進学先から求めがある場合に作成することがあるが一般には中学校以上で作成される。調査書を進学先・就職先に送付する前に生徒本人や保護者に対して開示し、その記載内容が間違っていないか確認することが出来、生徒・保護者が任意のタイミングで開示請求を出すことで内容を確認することができる。[1]

高校受験をする際には在籍する中学校の発行する調査書が殆どの場合必要である。各教科の評定(成績)・特別活動の記録・出欠記録・総合所見・取得した資格などを記載し、受験先の学校は調査書の記載内容に基づいて受験生を評価。これに入学試験のペーパーテスト・面接試験の結果を加味して合否を決定する。

就職においても学校が発行する調査書を元にして志願者を評価することがある。

重要性[編集]

私立校・大学の入試と就職において、通常、合否判定における調査書の比重はほとんど無く、発行する側も受け持った生徒全員が不利にならないよう適当に良いことだけを書いて終わる。時々「内申書に響くぞ」と生徒を脅すような指導をする教員も居るが、調査書は発行する前に教頭や校長といった管理職や他の教員もチェックするため根拠なく成績を悪く書くことは出来なくなっている。ただこれは根拠のある行為ならば生徒側が不利になる内容は書けるという意味なので、いじめを首謀或いは加担するなど社会通念上許されない行為をした、授業中に騒いで授業妨害をしていたなど、生徒側の非が第三者の目から見ても明らかな場合、調査書へマイナスな事柄が書かれる可能性は十分にある。ただ居眠りぐらいは許して欲しいと思う。授業の邪魔はしてないんだから

しかし公立高校の入試においては、地域・学校によって違いはあるが調査書の比重が比較的大きく、発行する側も生徒間で差をつけなければならない。ここで重要になるのが部活動への参加状況である。多くの中学校は部活動に熱心な生徒を優遇し、逆に校外活動は評価していない。部活動に無い趣味・競技を続けられないなど、生徒が学校に縛られて本当に本人に合った教育ができないという問題が生じている。
表向きは部活動の参加状況を高校は見ているということになっているが、実態としては部長・副部長・主将・パートリーダーを経験しているか、個人競技で都道府県大会以上の大会でベスト8以上の成績を収めるかしないと部活は調査書に対してプラスに作用しない。

しかし調査書を重視しない学校であっても出席日数だけはしっかりと見ることが多く、そういった学校は欠席が極端に多い場合に不合格にする事がある。また調査書に書かれた成績のうち、1教科でも成績が1の場合には当日の試験の結果が合格レベル以上でも不合格とする事がある。
ただし不登校の子供の進路を奪ってはならないという考えから調査書の出席日数を合否判定に加味しないようにしている学校もある。

その他[編集]

  • 部活動に取り組み顕著な成績を残す、生徒会役員を務める、ボランティア活動に積極的に取り組むの3点セットが内申書に好影響をもたらすというのが半ば都市伝説的に全国の子供の間に広まっている。
  • 内申書の内容を生徒指導に使用するのは好ましくない指導法とされる。
  • 現・世田谷区長の保坂展人は、中学生時代の政治活動が調査書に書かれ、全日制高校に合格できなかった。保坂は調査書に不利益な記載をされたことで、学習権が侵されたとして裁判(麹町中学校内申書事件)を起こしたが、二審、上告審で敗訴した。

脚注[編集]

  1. 地元集中が盛んに行われていた地域では、私立学校への進学を希望する子供の保護者から調査書の開示請求がされても学校が拒否していたことがある。後に裁判で「子供・保護者から開示の請求があった場合は開示を認容すること」という判決が下され、正当な理由のない開示拒否は行われなくなった。