学区
学区(がっく)とは、公立の小学校・中学校・高等学校において入学・通学する児童・生徒の居住地の範囲を示した区域のこと。
概要[編集]
校区(こうく)、通学区域(つうがくくいき)、通学圏(つうがくけん)など様々な呼び方があるが、一般に学区を設定する理由として公立学校は設立する都道府県・市区町村の住民を対象としており、区域外に住む児童・生徒を受け入れることは税金の使途として不適切になるという考えによる。
住所地を通学区域に含まない学校へ通う越境通学は正当な理由があれば認められている。
小学校・中学校[編集]
小学校や中学校の多くは市区町村が設置し、自治体の規模に応じて1つの市区町村内に複数の学校を設置することがある。複数の学校がある場合、学校教育法施行令の規定で市区町村教育委員会は子供を持つ世帯の保護者に入学するべき学校を指定するが、一般的には各学校毎に学区の範囲を設定し、住所地により通う学校を指定している。
学区は、学校単位で区切られており、住所地で通学先が決まる。ただし都市部では、各学校の生徒数を均等にするため、学区の形状が複雑になっており(いわゆるゲリマンダー)、隣接する学区の学校に通学する方が近いことも多い。そうした地域では、越境通学が認められる場合もある。また自治体によっては、学校選択制を設け、隣接する学区の学校に通学しやすくしているところもある。このほか、被差別部落の関係で学区が区切られているところがある。
小学校を中心に学区外へ子供だけで外出することを制限しているところがある他、学区内でも学年によって子供だけで行って良い場所を制限している場合もある。学区の境界に住んでいる子供には、特に制約が多いと感じてしまう。
高等学校[編集]
公立高等学校の学区は都道府県単位で設定されているが、法律上高等学校に関して学区の設定義務はない。ただ名目上都道府県単位で学区が存在している。通常、一つの学区に複数の学校が含まれ、ある程度学校を選択できる様になっている。
なお、学区の設定は県によりまちまちで、全日制普通科は、学校単位の規模や市町村単位の小学区から、旧令制国単位の大学区まで様々である。一方、専門学科、総合学科、定時制や通信制は都府県を一学区(全県一学区)とすることが殆どで、昨今は全日制普通科でも都県全域を一学区とするところが多い。
県境地域は、県境の県教委同士で協定(双務協定[注 1]もしくは片務協定[注 2])が成立すれば、住地の隣県の公立高校に進学可能だが、この場合、住地の県の公立高校の受験資格を喪失する。
私立高校では、全日制は全国から生徒を受け入れるのが前提で学区の縛りはない。遠方の私立高校に通うため、子供だけで下宿させてもよいが、18歳未満は未成年者なので、全て自己責任扱いの大学生と違い、保護者とは別に、クラス担任が連絡可能な成年の保証人を付けることが奨励される。なお、一部の通信制や通信制との技能連携校では認可要件から居住地制限を行う学校がある[注 3]。
国立高校は、学区という縛りではなく、通学時間が長くなりすぎない程度の通学可能範囲を設定していて、そこの住民だけが通学することができる。