国鉄キユニ26形気動車
国鉄キユニ26形気動車 (こくてつきゆに26がたきどうしゃ)はかつて日本国有鉄道に在籍した郵便荷物合造の気動車 (液体式ディーゼル動車)である。
名称[編集]
車体幅2800mmの郵便荷物合造車だが、これに該当する車両は本形式以前には存在せず、本来ならばキユニ25となるはずだが、キユニ26となった。これは、本来ならばキユニ27となるはずのキユニ28にも該当する。
登場に至った経緯[編集]
客車列車の気動車化によって、郵便車、荷物車の気動車も必要となり、戦前製の気動車や、国鉄キユニ17形気動車をはじめとする国鉄キハ10系気動車から改造した車両が登場した。しかし、荷重が小さいので、幹線筋の車両には不向きだった。例えば国鉄キユニ17形気動車の郵便室荷重は3トン、荷物室荷重は4トンでキユニ26との差は2トンである。国鉄キユニ18形気動車は郵便室荷重4トン、荷物室荷重5トンに改善したが、数が足りなかった。次に老朽化が進んだ6形式もあった国鉄キハ10系気動車の郵便荷物合造車の形式統一である。また、本形式登場時は幹線電化が進んでこれらに使用されていた気動車が各地で客車列車を置き換えていたので新たに気動車の郵便荷物合造車が必要になった。これによる改造種車に白羽の矢が立てられたのが国鉄キハ26形気動車である。急行列車の一等車冷房化改造から外れた使い勝手の悪い格下げ車両がまとまって存在していたことも理由にあったと推測される。特にキハ26 300番台、キハ26 400番台からの改造が大半を占めた。
概要[編集]
性能[編集]
座席 (名) | - |
立席 (名) | - |
自重 (t) | |
郵便室荷重(t) | 4 |
郵袋数 | 317 |
荷物室荷重 (t) | 5 |
台枠形式 | |
台車形式 | DT22,TR51 |
機関形式 | DMH17C |
出力 (PS)/回転数 (PPM) | 180/1500 |
ブレーキ装置 | DAI同期駆動装置付 |
最高速度 (km/h) | 95 |
照明方式 | |
備考 | 旧キロハ25 1次車より改造 |
座席 (名) | - |
立席 (名) | - |
自重 (t) | |
郵便室荷重(t) | 3 |
郵袋数 | 241 |
荷物室荷重 (t) | 5 |
台枠形式 | |
台車形式 | DT22,TR51 |
機関形式 | DMH17C |
出力 (PS)/回転数 (PPM) | 180/1500 |
ブレーキ装置 | DAI同期駆動装置付 |
最高速度 (km/h) | 95 |
照明方式 | |
備考 | 旧キハ26 1次車より改造 |
座席 (名) | - |
立席 (名) | - |
自重 (t) | 35.5 |
郵便室荷重(t) | 4 |
郵袋数 | 464 |
荷物室荷重 (t) | 5 |
台枠形式 | |
台車形式 | DT22,TR51 |
機関形式 | DMH17C |
出力 (PS)/回転数 (PPM) | 180/1500 |
ブレーキ装置 | DAI同期駆動装置付 |
最高速度 (km/h) | 95 |
照明方式 | |
備考 | 旧キロ25より改造 |
すべて国鉄キハ26形気動車から改造された郵便荷物合造車である。内部は前位側に郵便室、後位側に荷物室がある。便所、洗面所は300番台改造車は前位側、それ以外は後位側車端部にある。郵便荷物気動車としては初めて洗面所を持つ車両となった。郵便室側には「郵〒便」、荷物室側には「荷 物」の外部表記がある。
登場[編集]
種車のキハ26は、0番台、100番台、300番台、400番台があり、さらに300番台も窓の構造の違いがあるため5つの形態があった。さらに、北海道で使用される酷寒地仕様もあったので、現車には多くのバリエーションがあった。1978年から国鉄キユニ28形気動車が登場したが、本形式も並行して改造によって登場した。
塗色[編集]
塗色は急行色、一般色と分けられた。なぜこのようになった理由は不明である。後に全車が朱色5号の首都圏色に塗り替えられた。末期に登場した車両は当初から首都圏色として登場した。
運用[編集]
北北海道と西日本の亜幹線で急行列車から普通列車にまで幅広く連結されて運用された。気動車の荷物専用列車が常磐線にしかないことから、荷物専用列車ヘの連結は確認できない。車両によって郵便室の搭載荷重や郵袋数が異なったが、運用に支障をきたしたかは確認できない。
廃車[編集]
伯備線直流電化による米子在籍車の国鉄クモニ143形電車置き換えにより1982年度から廃車が始まり、昭和59年2月1日日本国有鉄道ダイヤ改正、昭和60年3月14日日本国有鉄道ダイヤ改正による荷物、郵便合理化の影響を受けて1986年3月31日までに全車廃車となった。
車両履歴[編集]
番号 | 種車番号 | 落成年月日 | 改造 | 落成配置 | 最終配置 | 廃車 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
キユニ26 1 | キハ26 301 | 1973.09.30 | 松任 | 松本 | 高松 | 1986.02.04 | |
キユニ26 2 | キハ26 302 | 1973.09.30 | 松任 | 松本 | 高松 | 1984.12.21 | |
キユニ26 3 | キハ26 303 | 1973.10.19 | 名古屋 | 浜田 | 大分 | 1984.04.20 | |
キユニ26 4 | キハ26 310 | 1973.09.30 | 多度津 | 浜田 | 岡山 | 1986.03.31 | |
キユニ26 5 | キハ26 312 | 1973.09.30 | 多度津 | 浜田 | 米子 | 1982.09.21 | 急行色 |
キユニ26 6 | キハ26 305 | 1975.01.16 | 後藤 | 浜田 | 岡山 | 1984.07.13 | |
キユニ26 7 | キハ26 311 | 1975.02.20 | 後藤 | 鳥取 | 岡山 | 1984.07.13 | |
キユニ26 8 | キハ26 316 | 1974.10.23 | 後藤 | 浜田 | 岡山 | 1984.07.13 | |
キユニ26 9 | キハ26 19 | 1975.03.07 | 後藤 | 福知山 | 岡山 | 1985.03.04 | 一般色 |
キユニ26 10 | キハ26 308 | 1975.01.23 | 多度津 | 高知 | 大分 | 1984.11.01 | 一般色 |
キユニ26 11 | キハ26 309 | 1975.02.24 | 多度津 | 高知 | 高松 | 1984.09.19 | |
キユニ26 12 | キハ26 314 | 1974.12.10 | 多度津 | 高知 | 高松 | 1983.11.22 | |
キユニ26 13 | キハ26 315 | 1975.02.13 | 多度津 | 高知 | 高松 | 1984.10.04 | |
キユニ26 14 | キハ26 22 | 1976.02.18 | 苗穂 | 稚内 | 旭川 | 1984.05.14 | |
キユニ26 15 | キハ26 433 | 1976.11.07 | 幡生 | 七尾 | 七尾 | 1985.12.03 | |
キユニ26 16 | キハ26 459 | 1976.11.07 | 幡生 | 七尾 | 七尾 | 1985.12.03 | |
キユニ26 17 | キハ26 313 | 1977.03.25 | 多度津 | 高知 | 高松 | 1984.10.04 | |
キユニ26 18 | キハ26 169 | 1978.03.29 | 多度津 | 高松 | 高松 | 1986.02.10 | 急行色 |
キユニ26 19 | キハ26 453 | 1977.11.07 | 幡生 | 大分 | 大分 | 1984.03.07 | |
キユニ26 20 | キハ26 451 | 1977 | 五稜郭 | 遠軽 | 北見 | 1984.06.12 | |
キユニ26 21 | キハ26 424 | 1978.09.14 | 苗穂 | 北見 | 北見 | 1984.06.12 | 首都圏色 |
キユニ26 22 | キハ26 446 | 1978.10.07 | 幡生 | 高松 | 高松 | 1984.07.13 | 首都圏色 |
キユニ26 23 | キハ26 1 | 1979.03.05 | 旭川 | 遠軽 | 北見 | 1986.03.31 | 首都圏色 |
キユニ26 24 | キハ26 413 | 1980.03.31 | 旭川 | 稚内 | 深川 | 1984.03.10 | 首都圏色 |
キユニ26 25 | キハ26 118 | 1980.10.04 | 旭川 | 北見 | 北見 | 1984.06.12 | 首都圏色 |