ぐんまちゃん
ぐんまちゃん(英:GUNMACHAN, 中:群馬寶寶)は、群馬県のマスコットキャラクター(ゆるキャラ)。
この名を持つキャラクターは2つあり[1]、本稿ではその両方について説明する。
初代[編集]
初代ぐんまちゃんは1983年に群馬県で開催された第38回国民体育大会(あかぎ国体)のマスコットキャラクターとして馬場のぼるのデザインで登場した[1]。国民体育大会のキャラクターとして愛称が付けられた初めての例である[2]。「4本足で走る馬」をモチーフにしており、蒼色の鬣を持つ。群馬県に著作権を移すときに「デザインの変更」を含めなかったため、デザインが2通りしかない[3]。
国体終了後は県のマスコットキャラクターとなり、テレビ朝日系『さんまのなんでもダービー』に出演していた経歴もある。グッズも2009年頃まで391件ほど制作されていた。後に登場する「2代目」に名称が受け継がれることとなる。そうした中、現在も群馬県馬事公苑(前橋市)[1]や道平川ダム(下仁田町)の壁画などにその姿を留めている[4]。
2代目[編集]
現在、群馬県のPR活動で活躍しているのは2代目である。
- 誕生日 - 2月22日[5](1994年のこの日の新聞紙上に公表された為[6])
- 年齢 - 永遠の7歳[6](何回誕生日が来ても7歳のまま[7])
- 特技 - みんなをいやす不思議な力を持っている[5]
- 性別 - なし[6][注釈 1]
1994年に群馬県で開催された第3回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック)のマスコットキャラクターとして初登場。デザインは公募により、群馬県職員の中嶋史子のものが選ばれた。当初は名前が決まっておらず、愛称を県民らから公募した[9]。
中嶋は『me bu ku』誌の取材に対し「選手たちが一つになれる要素と、群馬という土地柄」を盛り込むため、群馬の馬をモチーフにしたと当時を振り返りコメントした。幼児ならばみんなから愛されるだろうと子供の馬を使用。試合の後には勝者と敗者が生まれるが、ぐんまちゃんはどちらの隣に寄り添っても違和感なく、何かを語り掛けるようにしようと考え、小さな目と少しだけ開いた口のキャラクターを制作した[10]。
名前は公募の結果、ゆうあい + ぐんまからゆうまちゃんと命名された[2]。ポニーをモチーフにした[9]「2頭身・2足歩行」で、「初代のちびっこ版」をコンセプトとした。こちらは群馬県に著作権を移すときに「デザインの変更」を含めたため、基本の「緑色の帽子を被っている(男の子風)」の他に「リボンをしている(女の子風)」もの、各種服装を着ているものなど様々な種類がある。
以降、群馬県の広報紙の表紙を飾るなどして活躍の場が増え、群馬県開催の全国スポーツ・レクリエーション祭(1996年)、全国健康福祉祭(ねんりんぴっく、2004年)など、ゆうあいピック以外のイベントにおいてもでもマスコットを務めた[11][2]。
2008年7月、東京都中央区銀座に群馬県のアンテナショップである「ぐんま総合情報センター(通称:ぐんまちゃん家)」がオープンしたことをきっかけに、「ゆうまちゃん」が「2代目ぐんまちゃん」に改名して、群馬のPRに活躍することとなった[12]。群馬県の取り決める「取扱綱領」では「2代目ぐんまちゃん」が正式名称となっている。2015年の第70回国民体育大会冬季大会(2015ぐんま冬国体)でもマスコットを務める。
2012年12月21日付で「群馬県宣伝部長」に就任している[13]。2015年には「好き好き!すき焼き大使」[14]、その他「ギンヒカリ担当宣伝理事」等のPR大使も拝命。
2024年9月29日の上毛新聞によると、第83回国民スポーツ大会・第28回全国障害者スポーツ大会(2029年)の公式マスコットに決定した[15]。
- 略年表
- 1994年2月22日、ゆうまちゃん誕生。第3回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック群馬大会)のマスコット
- 1996年11月、第9回全国スポーツ・レクリエーション祭(スポレクぐんま)のマスコット[16][17]
- 1998年、第36回技能五輪全国大会(技能五輪ぐんま)のイメージキャラクター[18]
- 2004年、第17回全国健康福祉祭(ねんりんピックぐんま2004)の大会マスコット[19]
- 2008年3月、第25回全国都市緑化ぐんまフェアのイメージキャラクター[20]
- 2008年7月、ぐんまちゃん家オープン。二代目ぐんまちゃん襲名。
- 2012年12月21日、群馬県宣伝部長
- 2014年11月3日、ゆるキャラグランプリ2014優勝
- 公式Twitter(現・X)および公式Instagram開設
- 2021年、アニメ『ぐんまちゃん』シーズン1放送
- 2023年、アニメ『ぐんまちゃん』シーズン2放送。公式YouTubeチャンネル『劇団ぐんまちゃん』開設
(特に断らない限り出典:[21])
人気投票など[編集]
2005年、ネット投票の第一回全国対抗キャラクターコンテスト(毎日新聞社主催)で総票数の半数以上の約2700票を獲得し優勝。2位と約2200票の大差をつけた[22]。
ゆるキャラグランプリにおいて、2011年は18位[23]。2012年は群馬県の公式HPで投票を呼びかけるなどのキャンペーンもあり、3位入賞を果たした[24]。2013年も引き続き3位入賞[25]、そして2014年11月3日に行われた決勝では1,002,505票を獲得し、念願のグランプリを獲得した[26]。第2位のふっかちゃん(埼玉県深谷市)に16万票の大差をつけた[25]。
2012年・2013年の健闘により県外でも知名度が上昇したぐんまちゃんであるが、群馬県のブランド力向上の切り札にしようと県を挙げてのテコ入れが実を結んだのだ[25]。
着ぐるみ貸出制度[編集]
2000年から、ぐんまちゃんの着ぐるみを民間イベント向けに有料で貸し出し、キャラクターの知名度向上に役立てた[14]。
2020年6月時点において、群馬県は合計18体の着ぐるみを所有しており、違う場所・同じ時間帯のイベントにも対応できた。着ぐるみの貸し出し件数はピーク時で906件、2019年度だけでも787件と、多くのイベントに向けて貸し出されてきた。ところが、中の人によって見た目やしぐさに差異が出てしまい、2013年ごろから本来のキャラクターイメージにそぐわない事例に対する苦情が相次ぎ、県議会でも話題になった。ゆるキャラグランプリで1を獲得した2014年、群馬県は中の人向けにキャラクターのしぐさなどを記載したガイドラインを提示したが、順守されていないケースも相次いだ。
2020年5月12日、県のメディアプロモーション課[注釈 2]はキャラクターイメージを守るため、着ぐるみの貸し出しを同年9月を以て終了し、10月以降はぐんまちゃん本人を隊長とした「ぐんまちゃんキャラバン隊」を無料で派遣する方針を立てた。また、これに伴い、キャラバン隊の派遣先も、県や特産品のPRに限定された(以上、出典:[27][28])。これにより、本来のイメージにそぐわない利用を減らすことができた。また、ぐんまちゃんのデザインの利用についても、原作者の中嶋史子の協力を得てデザインチェックを行う体制を整えた[29]。
その他[編集]
- 群馬県の各自治体では、専用のぐんまちゃん入りイラストを制定しており、ご当地ぐんまちゃんとして活用されている[30][31]。
- 毎年元日に群馬県で開催される全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)のTBSテレビの中継ではアイキャッチのCGアニメでBooBo(TBSのマスコット)とのたすきリレーを見せてくれる[注釈 3]。
- TOKYO MXの情報番組『5時に夢中!』では、群馬テレビが同番組をネットしていることから、番組セットにぐんまちゃんのぬいぐるみが飾られている[注釈 4]。同番組では群馬テレビマスコットの「ポチッとくん」のぬいぐるみも飾られている。また群馬テレビで放送中の県広報番組『ぐんま一番』ではMCのエレファントジョン[注釈 5]とともにレギュラー出演している。
- 毎年「群馬県民の日(10月28日)」に発売される群馬県民手帳の表紙には箔押しされたぐんまちゃんがある他、ページの右隅にパラパラ漫画となったぐんまちゃんが掲載されている。
- 群馬県の公式ホームページは通常版に加え「ぐんまちゃんモード」があり、トップ絵やバナーがぐんまちゃん仕様に変化する。
- 群馬県はぐんまちゃんのブランド化に力を入れており、2020年度におけるブランド化関連予算は1億2518万円を計上したのに対し、2021年度の一般会計当初予算案においては、2.6倍にあたる3億2927万円を盛り込んだ。
ぐんまちゃん家[編集]
2008年7月に銀座5丁目の歌舞伎座前にぐんまちゃん
2018年6月に銀座7丁目に移転し、1階にアンテナショップを設け、2階に群馬県産食材を中心とするレストラン銀座「つる」を出店した。しかし、人通りが少ない場所への移転に加えてコロナ禍も重なり、2021年度には情報発信や観光誘客の機能を群馬県東京事務所に移した。
その後、群馬県は都内拠点ではなく県内に直接誘客する方針に転換し、ぐんまちゃん家を2022年度内に廃止することになった。1階の物販店舗は2022年12月末で閉店。群馬県と建物の賃貸人との賃貸借契約は2023年3月末までで、2階のレストラン「銀座つる」については協議の上、レストランを運営する田園プラザ川場が直接賃貸借契約を結ぶことになり同年4月以降も同所での営業を継続することになった。 (以上、出典:[32][33])
テレビアニメ[編集]
詳細は「ぐんまちゃん_(アニメ)」を参照
群馬県の製作・著作により、2代目ぐんまちゃんを主人公としたテレビアニメが制作された。シーズン1は2021年10月3日から12月26日までテレビ神奈川(放送幹事局)や群馬テレビほかにて、シーズン2は2023年4月8日から7月1日までBSフジや群馬テレビほかにて放送された。
この背景には、2014年のゆるキャラグランプリ優勝の効果が薄れゆく中、アニメを起爆剤にぐんまちゃんを更なる愛されキャラに育てようという県庁の思惑がある。製作に先立ち、デザイナーの中嶋史子の協力を仰ぎぐんまちゃんの詳細な設定や作品の世界観を再構築した[34]。
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ a b c jomo-news.co.jp 2022a.
- ↑ a b c 濵田, 新田 2023, p. 99.
- ↑ “銀座に群馬県PR拠点「ぐんまちゃん家」-どうする?「ゆうまちゃん」”. 高崎前橋経済新聞 (2008年6月8日). 2016年6月11日確認。
- ↑ 北村ヂン (2014年11月12日). “オレは忘れない!「初代ぐんまちゃん」遺跡を探した”. デイリーポータルZ. 2023年11月6日確認。
- ↑ a b 群馬県メディアプロモーション課 2023, p. 2.
- ↑ a b c 寺沢 2019d.
- ↑ “「ぐんまちゃんお誕生日会」を開催しました(PDF)”. pref.gunma.jp. 2016年3月4日確認。
- ↑ 群馬県メディアプロモーション課 2023, p. 1.
- ↑ a b 上毛新聞 1994.
- ↑ Nahoko Abe「ぐんまちゃんの生みの親」、『me bu ku』第10号、株式会社ぐんま瓦版、2023年10月23日、 6頁。
- ↑ “ゆるキャラグランプリ優勝の「ぐんまちゃん」!県の職員がデザイン”. 株式会社クリーク・アンド・リバー社 (2015年5月29日). 2022年5月23日確認。
- ↑ “ゆうまちゃん「二代目ぐんまちゃん」襲名-「ぐんまちゃん家」オープンで”. 高崎前橋経済新聞 (2008年7月8日). 2016年6月11日確認。
- ↑ “ぐんまちゃん大忙し 県宣伝部長に就任”. sankei.jp.msn.com (2012年12月22日). 2013年1月1日確認。
- ↑ a b 濵田, 新田 2023, p. 100.
- ↑ “ご当地キャラカーニバル きょうまで県庁 全国から103体集結”. 上毛新聞: p. 20. (2024年9月29日)
- ↑ “スポレクぐんまPR塔が登場 月夜野”. 上毛新聞: p. 17. (1995年12月8日)
- ↑ “スポレク祭まであと50日 開会式の全容固まる”. 上毛新聞: p. 21. (1996年9月13日)
- ↑ “期間中11万人が来場 技能五輪ぐんま 6会場で50超す催し”. 上毛新聞: p. 6. (1998年11月17日)
- ↑ “開催まで150日特別展示始まる 7月8日まで県庁”. 上毛新聞: p. 16. (2004年5月20日)
- ↑ “緑化フェアでロゴ入りパン とりせん”. 上毛新聞: p. 19. (2008年3月29日)
- ↑ 「みんな、ありがとう!~ぐんまちゃん30周年~」、『ぐんま広報』第417号、群馬県メディアプロモーション課、2024年2月4日、 2-3頁。
- ↑ “愛らしい姿に親しみ ぐんまちゃんの魅力に迫る”. 上毛新聞. (2010年9月21日)
- ↑ ぐんまちゃん (2011年11月29日). “「ゆるキャラ(R)グランプリ2011」応援ありがとう!”. ぼく、ぐんまちゃん♪ ~ぐんまちゃんのお仕事日記~. 2013年5月1日確認。
- ↑ ぐんまちゃん (2012年11月26日). “ゆるキャラグランプリ2012で3位表彰台に立てました たくさんの応援ありがとうございました”. ぼく、ぐんまちゃん♪ ~ぐんまちゃんのお仕事日記~. 2013年5月1日確認。
- ↑ a b c 上毛新聞 2014.
- ↑ “「ゆるキャラ(R)グランプリ 2014」結果発表!”. ゆるバース製作委員会 (2014年11月3日). 2023年11月6日確認。
- ↑ 池田知之 (2020年6月29日). “ぐんまちゃん着ぐるみ 貸し出しを9月で終了 がに股や高すぎる背に苦情”. tokyo-np.co.jp. 2023年11月6日確認。
- ↑ “ぐんまちゃん着ぐるみ 9月で貸し出し終了 派遣でブランド強化”. jomo-news.co.jp (2020年5月13日). 2020年5月27日確認。
- ↑ 濵田, 新田 2023, p. 103.
- ↑ “「ぐんまちゃん」のご当地版パネル展 きょうまで東京 36市町村PRでデザイン”. 上毛新聞. (2010年1月13日)
- ↑ “着物姿の「ぐんまちゃん」桐生の路線バス きょうから運行”. 上毛新聞. (2010年10月1日)
- ↑ “群馬県が銀座・ぐんまちゃん家の廃止を正式発表”. jomo-news.co.jp (2022年11月25日). 2023年11月6日確認。
- ↑ “銀座のぐんまちゃん家、レストランの営業は継続へ”. jomo-news.co.jp (2023年3月3日). 2023年11月6日確認。
- ↑ “ぐんまちゃんアニメ化 本県PRの起爆剤に 人気再燃、経済効果狙う”. 上毛新聞. (2021年4月26日)
参考文献[編集]
- “《上州調べたい!》初代ぐんまちゃんはどこ? 県内30施設を記者が取材 調べてみたら…”. jomo-news.co.jp (2022年7月19日). 2023年11月6日確認。
- 『ぐんまちゃん利用の手引き』 群馬県メディアプロモーション課、2023年4月11日。2023年11月6日確認。
- “「ご当地ぐんまちゃん」ができました!”. 全国知事会. 2022年7月3日確認。
- 寺沢尚晃 (2019年4月5日). “ぐんまちゃん 飛躍の25年”. asahi.com. 2023年11月6日確認。
- “「ゆうあいピック群馬大会」マスコットの名前を募集”. 上毛新聞. (1994年2月22日)
- “ぐんまちゃん日本一 観光誘客の切り札に”. 上毛新聞. (2014年12月29日)
- 濵田俊也、新田都志子「キャラクターを活用した地域ブランディングの現在―群馬県のメディア戦略と「ぐんまちゃん」のブランド化事業―」、『マーケティングジャーナル』第42巻第4号、日本マーケティング学会、2023年3月31日、 97-107頁、 。
外部リンク[編集]
- ぐんまちゃんオフィシャルサイト
- ぐんまちゃん (@gunma_gunmachan) - Instagram
- ぐんまちゃん(@gunma_gunmachan) - X(旧:Twitter)
- ぐんまちゃんねる - YouTubeチャンネル
- ぐんまちゃん出演動画 - YouTubeプレイリスト(tsulunos)
- 群馬県のマスコット「ぐんまちゃん」 - Facebook
- 「ぐんまちゃん家」東京・銀座にある群馬県のアンテナショップ
- ぐんまちゃんワールド - ウェイバックマシン(2017年1月18日アーカイブ分) - 大黒食品工業
- ぐんまちゃんのお仕事日記 - ウェイバックマシン(2019年8月15日アーカイブ分)(2019年3月まで)
- ぼく、ぐんまちゃん♪ 〜ぐんまちゃんのお仕事日記〜(2015年8月まで)
- 群馬県のマスコット「ぐんまちゃん」登場 - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分)
- ゆるキャラグランプリ