阪本是丸
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阪本 是丸(さかもと これまる、1950年2月7日[1] - 2021年4月18日[2])は、神道学者。國學院大學名誉教授。専攻は国学・近代神道史[1]。
経歴[編集]
熊本県鹿本郡植木町(現・熊本市北区)[3]で同町鎮座の元郷社・正院厳島神社の社家に生まれる[1]。父は神道学者で1933年に國學院大學で折口信夫が誹謗・中傷された十人組徒党事件のメンバーだった阪本健一[4]。1977年國學院大學文学部神道学科卒業。1979年國學院大學大学院文学研究科神道学専攻修士課程修了[1]。國學院大學日本文化研究所助手[5]、助教授を経て[1]、1988年同大学文学部神道学科教授[1][6]、2002年神道文化学部教授[1]。2015年退職[1]。この間、2006年の國學院大學大学研究開発推進センター設置の中心となり[7]、初代センター長(2020年まで)を務めた[8]。また神道文化学部副学部長[1]、初代研究開発推進機構長[8]、副学長を務めた[1]。その後、國學院大學神道文化学部教授(特別専任)[1]。2020年退職、名誉教授[9]。神社新報社論説主幹、神社本庁嘱託[1]、神社本庁教学委員[2]。
人物[編集]
近代神道史研究の第一人者[10]。葦津珍彦の門弟[11]。葦津と同様の見解に立って「狭義の国家神道」を実証的に研究し、村上重良『国家神道』(岩波新書、1970年)など「広義の国家神道」論を批判した。代表作に『国家神道形成過程の研究』(岩波書店、1994年)がある。新田均は「「国家神道」論の系譜(上)」(『皇学館論叢』第11巻第1号、1999年2月)で「国家神道」研究を「狭義の国家神道」論と「広義の国家神道」論に区分するにあたり、百地章、阪本是丸、W・P・ウッダートからヒントを得たという[12]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『東京大神宮百年のあゆみ』(東京大神宮、1980年)
- 『角田忠行翁小傳』(熱田神宮宮庁、1989年)
- 『明治維新と国学者』(大明堂[神道文化叢書]、1993年)
- 『国家神道形成過程の研究』(岩波書店、1994年)
- 『近代の神社神道』(弘文堂、2005年)
- 『近世・近代神道論考』(弘文堂、2007年)
- 『現代神道の"今"を読み解く――阪本是丸先生小論集』(藤本頼生編、阪本是丸先生の緑寿をお祝いする会、2015年)
- 『神道と学問』(神社新報社[神社新報ブックス]、2015年)
共著[編集]
- 『国家と宗教の間――政教分離の思想と現実』(大原康男、百地章共著、日本教文社[教文選書]、1989年)
- 『日本の宗教と政治――近現代130年の視座から』(國學院大學日本文化研究所編、藤原正信、中野毅、百地章、金井新二、大原康男共著、成文堂、2001年)
- 『神仏関係考――古代・中世・近世・近現代』(加瀬直弥、岡田荘司、嵯峨井建、藤田大誠共著、神社新報社[鎮守の杜ブックレット]、2016年)
- 『神葬祭――その歴史を探る』(椙山林継、斎藤忠、岡田莊司、圭室文雄、近藤啓吾、阿蘇谷正彦、加藤隆久、櫻井治男共著、神社新報社[鎮守の杜ブックレット]、2017年)
編著[編集]
- 『お伊勢さま百話』(宇野正人共編、神道文化会[神道文化叢書]、1984年)
- 『日本型政教関係の誕生』(井上順孝共編著、第一書房、1987年)
- 『神道事典』(國學院大學日本文化研究所編、井上順孝、岡田莊司、椙山林継、高塩博共同編集委員、弘文堂、1994年)
- 『国家神道再考――祭政一致国家の形成と展開』(編、弘文堂[久伊豆神社小教院叢書]、2006年)
- 『戦後の神社・神道――歴史と課題』(神社新報創刊六十周年記念出版委員会編、神社本庁総合研究所監修、大原康男、櫻井治男、佐野和史、牟禮仁、茂木貞純、前田孝和共同編集委員、神社新報社、2010年)
- 『プレステップ 神道学』(石井研士共編、弘文堂、2011年)
- 『昭和前期の神道と社会』(責任編集、國學院大學研究開発推進センター編、弘文堂、2016年)
- 『近代の神道と社会』(責任編集、國學院大學研究開発推進センター編、弘文堂、2020年)
監修[編集]
- 茂木貞純、前田孝和『遷宮をめぐる歴史――歴史をつらぬく神宮崇敬』(神道文化会[神道文化叢書]、1988年)
- 宮地正人共同監修『全國神職會會報(全52巻)』(ゆまに書房、1991-1993年)
- 大島敏史、中村幸弘編著『現代人のための祝詞――大祓詞の読み方』(岡田荘司共同監修、右文書院、2000年)
- 中村幸弘、西岡和彦編著『『直毘霊』を読む――二十一世紀に贈る本居宣長の神道論』(右文書院、2001年)
- 明治神宮、乃木神社編『明治天皇と乃木大将――明治天皇百年祭・乃木神社御祭神百年祭記念展』(明治神宮、2012年)
- 明治神宮国際神道文化研究所編『明治天皇御年譜 改訂版』(明治神宮、2013年)
- 神社新報社編『戦後神道界の群像――神社新報創刊七十周年記念出版』(櫻井治男、佐野和史、竹本佳徳、牟禮仁、前田孝和、大中陽輔共同監修、神社新報社、2016年)
分担執筆等[編集]
- 國学院大学日本文化研究所創立百周年記念論文集編集委員会編『維新前後に於ける國学の諸問題――創立百周年記念論文集』(國学院大学日本文化研究所、1983年)
- 葦津珍彦著、阪本是丸註『国家神道とは何だったのか』(神社新報社、1987年、新版2006年)
- 安丸良夫、宮地正人校注『日本近代思想大系 5 日本近代思想大系』(岩波書店、1988年)
- 井門富二夫編『占領と日本宗教』(未來社、1993年)
- 井上順孝、大塚和夫編『ファンダメンタリズムとは何か――世俗主義への挑戦』(新曜社、1994年)
- 葦津珍彦 [著] 、葦津珍彦選集編集委員会編『葦津珍彦選集(一)天皇・神道・憲法』(神社新報社、1996年)
- 比較憲法学会編『信教の自由をめぐる国家と宗教共同体』比較憲法学会[国際比較憲法会議報告書]、2006年)
- 中西輝政、日本会議編著『日本人として知っておきたい皇室のこと』(PHP研究所、2008年)
- 國學院大學研究開発推進センター編『史料から見た神道――國學院大學の学術資産を中心に』(弘文堂、2009年)
- 神社新報社編『次代へつなぐ葦津珍彦の精神と思想――生誕百年・歿後二十年を記念して』(神社新報社[神社新報ブックス]、2012年)
- 北海道神宮、國学院大學研究開発推進センター編『北海道神宮研究論叢』(弘文堂、2014年)
- 澁川謙一氏を偲ぶ会『澁川謙一氏 偲び草』(神社新報社、2015年)
出典[編集]
- ↑ a b c d e f g h i j k l 神道と学問 紀伊國屋書店
- ↑ a b 阪本是丸氏(神社本庁教学委員、國學院大名誉教授) 中外日報、2021年4月26日
- ↑ 近代の神社神道 紀伊國屋書店
- ↑ 阪本先生にとって、「折口信夫」というのは 斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」、2021年4月27日
- ↑ 松本久史「COEプログラム申請前後のことども」『國學院大學研究開発推進機構ニュース』Vol.15 No.1、No.29(通号)(PDF)、2021年6月25日
- ↑ 井上順孝「是丸さんは厳しく、そして情厚く」『國學院大學研究開発推進機構ニュース』Vol.15 No.1、No.29(通号)(PDF)、2021年6月25日
- ↑ 齊藤智朗「阪本是丸先生と校史・学術資産研究センター」『國學院大學研究開発推進機構ニュース』Vol.15 No.1、No.29(通号)(PDF)、2021年6月25日
- ↑ a b 宮本誉士「阪本是丸先生と研究開発推進センター」『國學院大學研究開発推進機構ニュース』Vol.15 No.1、No.29(通号)(PDF)、2021年6月25日
- ↑ 「6氏に名誉教授の称号を授与」『國學院大學学報』No.691、2020年6月20日
- ↑ 神道と学問 BOOKS鎮守の杜
- ↑ 藤生明「日本会議と葦津珍彦(PDF)」『現代宗教 2018』国際宗教研究所、2018年1月31日
- ↑ 新田均「最近の動向を踏まえた「国家神道」研究の再整理」『宗教法』32号、2013年10月
関連文献[編集]
- 子安宣邦『国家と祭祀――国家神道の現在』(青土社、2004年)
- 島薗進『国家神道と日本人』(岩波新書、2010年)
外部リンク[編集]
- KAKEN
- 書評と紹介:阪本是丸編『国家神道再考――祭政一致国家の形成と展開』弘文堂 二〇〇六年一〇月(島薗進・宗教学とその周辺)
- 近代神道史の研究を大きく進展させた研究者(斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」)