近江谷左馬之介

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近江谷 左馬之介(おうみや さまのすけ、1925年6月14日[1] - 1999年10月11日[2])は、マルクス経済学者。元・九州大学経済学部教授。

経歴・人物[編集]

神奈川生まれ[3]小牧近江(本名:近江谷駧)の長男[2]。1948年東京大学経済学部経済学科卒業[4]東京大学社会科学研究所に勤務[3]。1949年6月-1952年3月東京大学社会科学研究所助手[5]。1955年6月九州大学経済学部助教授[3]。のち九州大学経済学部教授を経て[4][6]、『現代の世界』編集長[5]

向坂逸郎の門下生で、社会主義協会に所属した。九大在職中の向坂が東京滞在中に自宅で開いていた『資本論』の研究会に参加していた[7]。1985年6月に社会党の綱領等基本問題検討委員会の新宣言作業小委員会が宣言草案「日本社会党の新宣言――愛と知と力のパフォーマンス」を取りまとめた際、社会主義協会は機関誌『社会主義』の緊急号外「日本社会党の新宣言(草案)批判」を発行し、近江谷『社会主義』編集長を委員長とする「『新宣言』に関する小委員会」作成の論文という形で「新宣言」を全面的に批判した[8]。1998年2月に佐藤保代表が召集した社会主義協会第31回総会に参加せず、同年3月に新社会党系の社会主義協会(いわゆる「再建協会」「坂牛協会」)の結成に参加し[9]、機関誌『科学的社会主義』の監修を塚本健とともに引き受けた[10]

二村一夫によると、向坂逸郎の膨大な蔵書は、1985年7月に大原社研に寄贈される前に、洋書は近江谷左馬之介、和書は和気誠を中心に社会主義協会のメンバーによって目録が作成されていたため、短期間で仮目録が完成した[11]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『ドイツ革命と統一戦線』(社会主義協会出版局、1975年)
  • 『科学的社会主義』(労働大学[労大新書]、1975年)
  • 『ドイツの社会主義』(ありえす書房、1981年)

編著[編集]

  • 『現代の軍国主義』(編著、十月社、1984年)
  • 『社会民主主義を考える』(篠藤光行共編著、労働大学[労大新書]、1993年)

訳書[編集]

  • マルクスエンゲルス『マルクス・エンゲルス選集 第3巻 哲学の貧困,ドイッチェ・イデオロギー』(高橋義孝、湯村武人、副田満輝、森恒夫共訳、新潮社、1956年)
  • ソ連邦共産党中央委員会附属マルクス・レーニン主義研究所編『平和・民主主義・社会主義とともに――ブレジネフ小伝』(日本語訳監修、現代の世界社、1977年)
  • SED中央委員会付属マルクス・レーニン主義研究所編著『ドイツ社会主義統一党SED史』(監訳、労働大学、1980年)
  • D. アイヒホルツ、K. ゴスヴァイラー編『ドイツ民主共和国におけるファシズム研究』(塚本健共監訳、日本DDR友好協会連絡会議、1983年)
  • L・F・イリチョフ編『エンゲルス伝』(労働大学、1983年)
  • マルクス、エンゲルス『ゴータ綱領批判 エルフルト綱領批判』(細井雅夫共訳、労働大学[古典シリーズ]、1994年)
  • ヴォルフガング・グラッツァー、ハインツ-ヘルベルト・ノル編『統一ドイツの生活実態――不均衡は均衡するのか』(長坂聰共訳、勁草書房、1994年)

出典[編集]

  1. 毎日新聞社編『毎日年鑑 1977年版』毎日新聞社、1977年
  2. a b 安斎育郎、‎李修京編『クラルテ運動と『種蒔く人』――反戦文学運動“クラルテ”の日本と朝鮮での展開』御茶の水書房、2000年
  3. a b c 九州大学創立五十周年記念会編『九州大学五十年史 学術史 下巻』九州大学創立五十周年記念会、1967年
  4. a b 大内兵衛向坂逸郎監修『大系国家独占資本主義 8 現代史と社会主義革命』河出書房新社、1971年
  5. a b 東京大学社会科学研究所編『社会科学研究所の30年――年表・座談会・資料』東京大学社会科学研究所、1977年
  6. 近江谷左馬之介『ドイツ革命と統一戦線』社会主義協会出版局、1975年
  7. 小島恒久「歌集『晩禱』」『九州大学経済学部同窓会報』第57号PDF九州大学経済学部同窓会、2014年11月15日
  8. 日本労働年鑑 第56集 1986年版PDF法政大学大原社会問題研究所
  9. 社会主義協会第三一回再建総会宣言(附:社会主義協会再建運動に合流しよう) 労働者運動資料室
  10. 発刊にあたって 社会主義協会
  11. 二村一夫「向坂文庫」について」初出は『法政』No.404 1990年2・3月合併号。

関連文献[編集]