萩原伸次郎
萩原 伸次郎(はぎわら しんじろう、1947年8月[1] - )は、マルクス経済学者。横浜国立大学名誉教授。専攻は現代アメリカ経済政策、日米経済関係史[2]。
略歴[編集]
京都市生まれ。1970年福島大学経済学部卒業。1976年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1977年北海学園大学経済学部教授、1978年横浜国立大学経済学部助教授、1989年教授。1990年~1991年米国・マサチューセッツ大学経済学部客員研究員。2000年~2002年横浜国立大学経済学部長。2002年横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授。2013年定年退職、横浜国立大学名誉教授[1]。
神奈川県労働者学習協会会長[3][4]。労働運動総合研究所(労働総研)会員[5]。
人物[編集]
アメリカ経済の研究者。経済史の研究から出発し、福島大学・東京大学大学院で毛利健三(イギリス経済史)、東京大学大学院で鈴木圭介(アメリカ経済史)に師事した[6]。
日本共産党の機関誌『前衛』、共産党系の雑誌『経済』『学習の友』にたびたび執筆している。共産党の機関紙『しんぶん赤旗』について「私の専門であるアメリカ経済を知る上で「しんぶん赤旗」は欠かせません」と評価している[7]。2016年の参院選では「果敢な経済政策を提示し、私たちの生活を豊かな方向に持っていこうとしています」と共産党を支持した[8]。2019年9月に日本共産党社会科学研究所監修による新版『資本論』(全12分冊、新日本出版社)の刊行が開始された際、都内で開かれた新版『資本論』刊行記念講演会で講演を行った[9][10]。また不破哲三・党社会科学研究所所長、山口富男・党社会科学研究所副所長との鼎談が赤旗紙上に掲載された[11]。
2016年11月15日の参議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会公聴会に公述人として出席し、「TPPから離脱することこそ、日本の賃金、経済、地域の底上げになります」と陳述した[12]。2017年3月9日の参議院予算委員会の2017年度予算案に関する中央公聴会に公述人として出席し、安倍政権の経済政策の基本は「富裕層重視の経済政策」になっていると指摘した上で、「米オバマ政権が最低賃金を大幅アップし、税制の応能負担を提唱した背景」を解説した[13]。
雑誌『エコノミスト』が毎年発行する臨時増刊号『米国経済白書』の監修者[2]。アメリカ合衆国の民主社会主義者、バーニー・サンダースの自伝の監訳者。
著書[編集]
単著[編集]
- 『アメリカ経済政策史――戦後「ケインズ連合」の興亡』(有斐閣、1996年)
- 『通商産業政策』(日本経済評論社[国際公共政策叢書]、2003年)
- 『世界経済と企業行動――現代アメリカ経済分析序説』(大月書店、2005年)
- 『ワシントン発の経済「改革」――新自由主義と日本の行方』(新日本出版社、2006年)
- 増補改訂版『日本の構造「改革」とTPP――ワシントン発の経済「改革」』(新日本出版社、2011年)
- 『米国はいかにして世界経済を支配したか』(青灯社、2008 年)
- 『TPP 第3の構造改革』(かもがわ出版[かもがわブックレット]、2011年)
- 『TPPと労働者、労働組合』(本の泉社[労働総研ブックレット]、2012年)
- 『オバマの経済政策とアベノミクス――日米の経済政策はなぜこうも違うのか』(学習の友社、2015年)
- 『新自由主義と金融覇権――現代アメリカ経済政策史』(大月書店、2016年)
- 『トランプ政権とアメリカ経済――危機に瀕する「中間層重視の経済政策」』(学習の友社、2017年)
- 『世界経済危機と『資本論』』(新日本出版社、2018年)
- 『金融グローバリズムの経済学――格差社会の形成と世界金融危機の勃発』(かもがわ出版、2020年)
共著[編集]
- 『西洋経済史』(神武庸四郎共著、有斐閣[有斐閣Sシリーズ]、1989年)
- 『概説アメリカ経済――アメリカン・グローバリゼーションの構造』(平井規之、中本悟、増田正人共著、有斐閣、1994年)
- 『戦後70年の日本資本主義』(渡辺治、石川康宏、藤田実、鳥畑与一、佐々木憲昭、山田博文、北村洋基、米田貢、大泉英次、牧野富夫、佐貫浩、友寄英隆、屋嘉宗彦共著、新日本出版社、2016年)
編著[編集]
- 『現代の経済政策』(田代洋一、金澤史男共編、有斐閣[有斐閣ブックス]、1996年、新版2000年、第3版2006年、第4版2011年)
- 『現代アメリカ経済』(中本悟共編、日本評論社、2005年)
- Crises of Global Economies and the Future of Capitalism: Reviving Marxian crisis theory edited by Kiichiro Yagi,Nobuharu Yokokawa, Shinjiro Hagiwara and Gar y A. Dymski, Routledge, London and New York, 2013.
- 『TPP――アメリカ発、第3の構造改革』(編著、かもがわ出版[安倍新政権の論点]、2013年)
- 『21世紀のいま、マルクスをどう学ぶか』(山田敬男、牧野広義共編著、学習の友社、2018年)
監訳[編集]
- 『バーニー・サンダース自伝』(バーニー・サンダース著、大月書店、2016年)
監修[編集]
- 『米国経済白書 2014』(『米国経済白書』翻訳研究会訳、蒼天社出版、2014年)
- 『米国経済白書 2015』(『米国経済白書』翻訳研究会訳、蒼天社出版、2015年)
- 『米国経済白書 2016』(『米国経済白書』翻訳研究会訳、蒼天社出版、2016年)
- 『米国経済白書 2017』(『米国経済白書』翻訳研究会訳、蒼天社出版、2017年)
- 『米国経済白書 2020』(『米国経済白書』翻訳研究会訳、蒼天社出版、2020年)
出典[編集]
- ↑ a b 「萩原伸次郎教授の経歴と業績」『エコノミア』64巻1号、2013年5月
- ↑ a b TPP第3の構造改革 / 萩原 伸次郎【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ↑ オバマの経済政策とアベノミクス / 萩原 伸次郎【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ↑ トランプ政権とアメリカ経済 / 萩原 伸次郎【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ↑ 労働総研ニュースNo.327 2017年6月(PDF) 労働運動総合研究所
- ↑ 萩原伸次郎「世界経済論を講義して35年: 世界経済は,どのように変わったか」『エコノミア』64巻1号、2013年5月
- ↑ 横浜国立大学教授 萩原伸次郎さん/私と「赤旗」 2012 しんぶん赤旗
- ↑ ここがいいネ!共産党/経済問題果敢な提案/横浜国立大学名誉教授 萩原伸次郎さん しんぶん赤旗(2016年6月13日)
- ↑ 新版『資本論』刊行記念講演会/今なぜ新版『資本論』を学ぶのか 萩原伸次郎 横浜国立大学名誉教授/新しい条件生かした新版の魅力 山口富男 日本共産党社会科学研究所副所長 しんぶん赤旗(2019年9月24日)
- ↑ 新版『資本論』刊行記念講演会 日本共産党中央委員会
- ↑ マルクス『資本論』のすすめ/新版の刊行によせて/不破哲三・萩原伸次郎・山口富男 3氏語る しんぶん赤旗(2019年8月18日)
- ↑ 『しんぶん赤旗』2016年11月26日付
- ↑ 中間層重視の政策を/参院予算委 公述人が意見陳述/大門氏が質問 しんぶん赤旗(2017年3月10日)