社会科
社会科(しゃかいか)とは小学校と中学校で学習する地理、歴史、公民、地域社会といった教科の総合的な名称である。
概要[編集]
小学校3年生より学習を開始する。
1991年度までは小学校1・2年生も社会科を学習していたが、理科と共に生活科へ統合された事で1・2年生の社会科の授業は廃止された。これにより、NHK学校放送の小学校低学年向けの社会科番組が放送を終了した。
また、高等学校にも教科として社会科があったが、1994年入学者から地理歴史科と公民科に分割された。
小学校[編集]
小学校では地域社会・産業・国土・歴史・公民について学ぶ。歴史の内容を修学旅行の下調べ学習と関連性を持たせることもある。国土分野で都道府県の場所・県庁所在地を覚えるが、これで苦労した経験を持つ人も中にはいる。鉄道ファンはほとんどそらんじているが。5年で地理を、6年で歴史(日本史)と公民を学ぶことが多い。他に、郷土についても社会科で学ぶが、大抵は学校の所属する市町村内で共通であり、併合された植民地町村の歴史・文化は無視される。たとえ、その土地にある学校であっても。この郷土の歴史に後述する同和教育がある。
中学校[編集]
中学校では地理・歴史・公民の3分野に内容を大別して学ぶ。地歴を並行して学んだ後、3年生で公民を学習するパターン(π型履修と呼ばれる)が一般的だが、1年生は地理、2年生は歴史、3年生は公民を学ぶパターン(ザブトン型履修と呼ばれる)や1・2年生で地歴を学習しつつ途中途中で補助的に公民を学習し、3年生で改めて公民を学ぶパターンもある。
歴史は日本史を主軸に、それと関連の深い世界史の内容も学習する。
同和教育[編集]
同和教育を社会科の一環として教えている地域がある[注 1]。
歴史として教えているところも、郷土の教育として教えているところもあるが、同和対策事業が適用されず、被差別部落が行政上存在しないことになっているところは歴史の授業で、江戸時代の身分制度、1922年の全国水平社設立について触れるのみで深く教えることはない。
「寝た子を起こすな」として教えることにためらう教師も多いが、角岡伸彦は積極的に教えるべきだとしている。しかし、学区内に被差別部落があり、それを知らない生徒に教えることで、却って差別の助長に繋がるのではないかという問題もある。
問題点[編集]
他の教科と異なり、教員の個性が強く影響する。特に近代の歴史の思想背景や同和教育といった正解が一つではない事柄にその傾向が強い。生徒から異議が出ても無視したり、強く否定する教師も中にはいるほか、論争を避けてあえて触れない教師もいる。
その他[編集]
歴史認識問題に見られるように、日本の学校教科で近隣諸国に教育内容が批評されやすい教科でもある。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 藤野豊『被差別部落ゼロ?ー近代富山の部落問題』桂書房2001年6月15日初版発行。
- 森達也『放送禁止歌』光文社2003年6月25日初版第二刷発行。
- 角岡伸彦『はじめての部落問題』文春新書2006年4月25日第6刷発行。