社会民主主義
社会民主主義 (しゃかいみんしゅしゅぎ、Social democracy) は、社会主義の一種で福祉と人権に重点を置いた思想である。
概要[編集]
社会民主主義は資本主義の枠の中で社会主義的な政策を実行し、労働者の専制主義であるマルクス・レーニン主義(共産主義)を否定し、議会による民主的な方法により社会主義を実現するものである[1]。 ドイツ出身の社会主義者マルクス、エンゲルス、ラッサール、ベルンシュタイン、特にベルンシュタインが提唱した修正主義と、イギリスの社会主義団体フェビアン協会が提唱したフェビアン社会主義が社会民主主義の源流にあたる。欧米では第二インター、社会主義インター系の思想と運動(社会民主主義)を社会主義、コミンテルン系の思想と運動を共産主義と呼ぶのが一般的であり、また西欧の社会民主主義勢力は社会民主主義よりも民主社会主義、社会主義を自称することが多い[2]。
社会民主主義で有名な国は北欧の福祉国家で、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドがある。国民の幸福度や民主主義指数が高く治安が良いのが特徴で、フィンランドは世界幸福度ランキングで世界1位、ノルウェーは民主主義指数で世界1位、アイスランドは治安の良い国ランキングで世界1位である。「高福祉高負担」といわれるが、これらの国では医療・教育など社会保障は無料である。その他、ヨーロッパの国々では、社会民主主義寄りな思想が支持される傾向にある。主な社会民主主義政党にイギリス労働党、ドイツ社会民主党、フランス社会党がある。
日本では社会民主党や立憲民主党内の党内グループ「社会民主主義フォーラム」が社会民主主義を掲げている。日本共産党が社会民主主義政党化しているという見解、立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組の社会民主主義政党化を期待する見解もある。アメリカでは民主社会主義者を自称するバーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが社会民主主義的な政策を掲げ、若者の支持を集めている。
支持層[編集]
フランスの経済学者トマ・ピケティは、今や庶民が右派。高学歴者が左派であるという。
90年代までの冷戦期、西側諸国の庶民は左派・革新派に、富裕層や高学歴者が右派・保守派に投票したが、2000年代以降は、庶民と富裕層が右派・保守派に、高学歴者が左派・革新派に投票する傾向であると発表した。
日本でも庶民や富裕層が右派や極右を支持する傾向にあり、高学歴者がリベラル左派を支持する傾向でありアメリカ化が進行している。2024年現在、高学歴者が多い世田谷区・多摩市・横浜市などの区長・市長は共産党や立憲民主党などの野党共闘で当選した区長・市長である[3]。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- ↑ キッズネット 社会民主主義
- ↑ 瀬戸宏「社会主義と社会民主主義の関係──概念整理と日本での状況を中心に(PDF)」『社会主義理論研究』第2巻第1号、2022年
- ↑ トマ・ピケティ「欧米の左派政党は庶民ではなく、もはや高学歴者のための政党となった」