木下武男
木下 武男(きのした たけお、1944年10月1日[1] - )は、労働社会学者。昭和女子大学名誉教授[2]。専門は労働社会学、現代社会論、女性労働論[3]。
略歴[編集]
福岡県三池郡出身。東京理科大学工学部、法政大学社会学部卒業。1975年法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了[1]。大学院で中林賢二郎のゼミに参加し労働組合論を学ぶ[4]。1975年労働科学研究所嘱託研究員[1]、1984年法政大学非常勤講師、1999年鹿児島経済大学社会学部教授[5][注 1]、2003年昭和女子大学人間社会学部教授[6]。2007年時点で同大学大学院生活機構学科教授も兼務[7]。2010年同大学特任教授[3]。
渡辺治、後藤道夫、二宮厚美、中西新太郎とともに季刊雑誌『ポリティーク』(旬報社、2001-2006年。12号まで刊行)の編者を務めた[8]。
2017年6月「業種別職種別ユニオン運動」研究会の発足に参加、企画運営委員長に就任[9]。大阪労働学校アソシエ講師[10]。
人物[編集]
企業別労働組合に代わる労働組合の組織形態を研究している。2015年2月に東京で開催された「関西地区生コン支部「50年誌」出版記念シンポジウム」の記念講演では、関西地区生コン支部が取り組んでいるような産業別労働運動が世界では当たり前の労働運動だと発言した[11]。
革マル派は機関紙『解放』第2085号(2009年9月14日)[12]、第2086号(2009年9月21日)に木下の著書『格差社会にいどむユニオン』への批判論文を掲載し、「「連合」労働貴族によって支配され、日共系「全労連」官僚によって補完された日本労働運動の底知れぬ腐敗と閉塞状況のなかで孤軍奮闘する個人加盟ユニオンの活動家たちにとって、木下の、この蛮勇あふれる労働組合論が、〝一服の気つけ薬〟になることはあるかもしれない」と評している[13]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『日本人の賃金』(平凡社[平凡社新書]、1999年)
- 『格差社会にいどむユニオン――21世紀労働運動原論』(花伝社、発売:共栄書房、2007年)
- 『若者の逆襲――ワーキングプアからユニオンへ』(旬報社、2012年)
- 『労働組合とは何か』(岩波書店[岩波新書]、2021年)
共著[編集]
- (黒川俊雄・高橋祐吉・五十嵐仁・永山利和)『労働組合をつくりかえる――労働組合の選択』(労働旬報社[どうなるブックス]、1988年)
- (井出洋・高橋祐吉)『労働運動に未来はある』(大月書店、1994年)
- (中西新太郎・鷲谷徹・乾彰夫)『講座現代日本 3 日本社会の再編成と矛盾』(大月書店、1997年)
- (後藤道夫)『なぜ富と貧困は広がるのか――格差社会を変えるチカラをつけよう』(旬報社、2008年/改訂版、2009年)
- (遠藤公嗣・河添誠・後藤道夫・小谷野毅・今野晴貴・田端博邦・布川日佐史・本田由紀)『労働、社会保障政策の転換を――反貧困への提言』(岩波書店[岩波ブックレット]、2009年)
- (丸山茂樹・本山美彦・田淵太一・武建一)『建設独占を揺がした139日――関西生コン闘争が切り拓く労働運動の新しい波』(変革のアソシエ、発売:JRC、2011年)
編著[編集]
- (中野麻美・森ます美)『労働ビッグバンと女の仕事・賃金』(青木書店、1998年)
- (安達智則)『どんな東京をつくるか――手をのばせばとどく、ほんとうに住みたい東京』(萌文社、2003年)
- (後藤道夫・中澤秀一・今野晴貴・福祉国家構想研究会)『最低賃金1500円がつくる仕事と暮らし――「雇用崩壊」を乗り越える』(大月書店、2018年)
分担執筆等[編集]
- 日本の労働組合運動編集委員会編『日本の労働組合運動 2 労働者の構成と状態』(大月書店、1984年)
- 日本の労働組合運動編集委員会編『日本の労働組合運動 5 労働組合組織論』(大月書店、1985年)
- 情報問題研究集団編『コンピュータ革命と現代社会 2 経済・産業』(大月書店、1985年)
- 労働問題実践シリーズ編集委員会編『労働問題実践シリーズ 5 労働組合を創る』(大月書店、1990年)
- 労働問題実践シリーズ編集委員会編『労働問題実践シリーズ 6 組合運動の新展開』(大月書店、1990年)
- 法政大学大原社会問題研究所編『《連合時代》の労働運動――再編の道程と新展開』(総合労働研究所、1992年)
- 田沼肇編『労働運動と企業社会』(大月書店、1993年)
- 基礎経済科学研究所編『日本型企業社会と女性』(青木書店[働く女性と家族のいま]、1995年)
- 渡辺治編『現代日本社会論――戦後史から現在を読む30章』(労働旬報社、1996年)
- 渡辺治、後藤道夫編『講座 現代日本(4)日本社会の対抗と構想』(大月書店、1997年)
- 東京女性財団『大卒女性のキャリアパターンと就業環境』(東京女性財団、1999年)
- 竹内常一、高生研編『揺らぐ<学校から仕事へ>――労働市場の変容と10代』(青木書店[Aoki教育library]、2002年)
- 鹿児島国際大学附属地域総合研究所編『時代転換の諸断層』(日本経済評論社、2003年)
- 渡辺治編『日本の時代史 27 高度成長と企業社会』(吉川弘文館、2004年)
- 後藤道夫編『日本の時代史 28 岐路に立つ日本』(吉川弘文館、2004年)
- 北九州市立男女共同参画センター"ムーブ"編『ジェンダー白書 2 女性と労働』(明石書店[ムーブ叢書]、2004年)
- 中西五洲『理想社会への道――私の資本主義改造論』(同時代社、2005年)
- 森ます美、浅倉むつ子編『同一価値労働同一賃金原則の実施システム――公平な賃金の実現に向けて』(有斐閣、2010年)
- 「関西地区生コン支部50年誌」編纂委員会編『関西地区生コン支部労働運動50年-その闘いの軌跡――共生・協同を求めて1965~2015』(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、発売:社会評論社、2015年)
- 今野晴貴、藤田孝典編『闘わなければ社会は壊れる――〈対決と創造〉の労働・福祉運動論』(岩波書店、2019年)
- 佐方三千枝編『ひたすら生きて――佐方信一 ある日ある時』(旬報社、2020年)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ↑ a b c 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 1.あ~かと』日外アソシエーツ、2002年、2002頁
- ↑ 関西生コン支部弾圧を許さない10.14東京集会を開催 国鉄千葉動力車労働組合
- ↑ a b 若者の逆襲 / 木下 武男【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ↑ 関生支部の闘いとユニオン運動 全国労働組合交流センター
- ↑ 木下武男『日本人の賃金』平凡社新書、1999年
- ↑ 木下武男のページ―TOP 木下武男のページ
- ↑ 格差社会にいどむユニオン / 木下 武男【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
- ↑ ポリティーク編者紹介 旬報社
- ↑ 「業種別職種別ユニオン運動」研究会-発足シンポジウム 「業種別職種別ユニオン運動」研究会
- ↑ 大阪労働学校/新年度スタート! 連帯ユニオン関西地区生コン支部
- ↑ 関生型労働運動の種をまこう 連帯ユニオン関西地区生コン支部
- ↑ 「個人加盟ユニオン」への底抜けの讃歌 革マル派
- ↑ 「個人加盟ユニオン」への底抜けの讃歌 下 革マル派