日本酒
日本酒(にほんしゅ)とは、米を麹によって糖化し、乳酸菌と酵母による並行複発酵した醸造酒の一種である。ただし、「日本酒」というと「濁り酒」あるいは清酒のことをいう。
概要[編集]
日本においては古来より親しまれてきた酒類とされ、日本各地に酒蔵や地酒と呼ばれるものが存在している[1]。東北地方や中部地方は酒蔵も多く、新潟県は酒蔵数と日本酒の消費量が多いことでも知られている。製法の違いや原料によって味が変わることも珍しくなく、さらには季節や地域が限定して販売されることもあるため、一種の沼であると評する人も多い。一般的には水などで割らずにそのまま飲まれることが多いが、アルコール度数が15度と高めのため、近年では飲みやすい低アルコール度数の日本酒も製造されつつある。
「日本産の米を用いて日本国内で醸造したもの」という見解もあるが、カリフォルニア米をハワイで醸造した「寶正宗」というブランドもあり、「ハワイが生んだ日本のお酒」と PR していた。
日本刀をポン刀と呼ぶようにポン酒と呼ぶ場合もある。アメリカではそのまま「SAKE」と呼ばれる。
なお、どぶろく(濁酒)はあまり日本酒とは呼ばれない。
利用[編集]
冷蔵庫などで冷やし、冷酒として飲んだり、燗をしてして飲まれることも多い。
なお、日本では古くは「徳利」で燗して「ちろり」に入れ、杯で飲むといった儀式的な手続きがあり、世界的に見ても珍しい文化とされている。
日本酒についてもさまざまな意見があり、「冷酒」「冷や酒」「人肌」「ぬる燗」「熱燗」などと区別される。酒によっては適した温度帯を明記してあることも珍しくなく、熱燗用と冷酒用で別の日本酒を買うことは特段珍しいことではない。近年ではカクテルとしても使われることがある(「サムライ」は「サケ・ライム」が発祥)ほか、日本酒をベースとしたフルーティなリキュールなども販売されている。
飲用以外にも料理酒としての日本酒は広く利用されている。
神事に用いられることも多く[2]、供え物や清めに使われることもある。
製法[編集]
吸水させたのち炊いた(蒸しあげた)白米にコウジカビの胞子(もやし)を加えて麹を作り、それに白米を加えて糖化したのちに乳酸恰好させ、酵母を加えて白米を足しつつアルコール発酵させる。
この後に「絞り」「加熱消毒(火入れ)」などを行ない、水を足してアルコール度数を調節するなどして出荷する。
なお、理化学研究所が日本酒のうまみ成分である琥珀酸の合成に成功したため、「糖と琥珀酸とアルコールを混ぜれば日本酒風のリキュールができる」とのことで合成した「合成酒」を、「リキュール」に引っ掛けて「利休」という銘柄で発売したことがある。一部からは「雑巾バケツの水」といった酷評もあったが、いまだに懐かしむひともいる。
名産地[編集]
内航海運[編集]
江戸時代、上方から江戸に日本酒を輸送する際、各港に寄港する菱垣廻船では日本酒が腐敗するので専用船である樽廻船が竣工した。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 滋賀の食事文化研究会『ふなずしの謎』サンライズ出版2006年7月31日初版第9刷発行。
- E・ローゼンバーグ、I・R・コーエン『入門現代生物学』培風館2001年4月10日初版第15刷発行。
- 吉田邦久『チャート式要点と演習新制新生物ⅠB・Ⅱ』数研出版1997年3月1日発行。
関連作品[編集]
- 尾瀬あきら『夏子の酒』