日本酒
日本酒(にほんしゅ)とは、米を麹によって糖化し、乳酸菌と酵母による並行複発酵した醸造酒の一種である。
概要[編集]
日本においては古来より親しまれてきた酒類とされているおり、日本各地に酒蔵(造り酒屋)や地酒と呼ばれるものが存在している[1]。 また税収のために清酒の製造は管理され、明治に入ってからは軍備増強のための財源とされた。 東北地方や中部地方は酒蔵も多く、新潟県は酒蔵数と日本酒の消費量が多いことでも知られている。製法の違いや原料によって味が変わることも珍しくなく、さらには季節や地域が限定して販売されることもあるため、一種の沼であると評する人も多い。一般的には水などで割らずにそのまま飲まれることが多いが、アルコール度数が15度と高め(もともとは18度くらい。加水して調整している)のため、近年では飲みやすい低アルコール度数の日本酒も製造されつつある。
日本酒という表示は地理的表示(GI)保護制度に基づき、「日本産の米を用いて日本国内で醸造したもの」という定義がなされている(2015年12月~)。そのため、カリフォルニア米のように国外で生産された米を利用し、ハワイで醸造したような「寶正宗」は日本酒を名乗ることはできない。
日本刀をポン刀と呼ぶようにポン酒と呼ぶ場合もある。アメリカではそのまま「SAKE」と呼ばれる。
利用[編集]
冷蔵庫などで冷やし、冷酒として飲んだり、燗をしてして飲まれることも多い。 なお、日本では古くは「徳利」で燗して「ちろり」に入れ、杯で飲むといった儀式的な手続きがあり、世界的に見ても珍しい文化とされている。 日本酒についてもさまざまな意見があり、「冷酒」「冷や酒」「人肌」「ぬる燗」「熱燗」などと区別される。酒によっては適した温度帯を明記してあることも珍しくなく、熱燗用と冷酒用で別の日本酒を買うことは特段珍しいことではない。近年ではカクテルとしても使われることがある(「サムライ」は「サケ・ライム」が発祥)ほか、日本酒をベースとしたフルーティなリキュールなども販売されている。 飲用以外にも料理酒としての日本酒は広く利用されているほか、神事などの宗教的な儀式に用いられることも多く[2]、供え物や清めに使われることもある。
製法[編集]
吸水させたのち炊いた(蒸しあげた)白米にコウジカビの胞子(もやし)を加えて麹を作り、それに白米を加えて糖化したのちに乳酸恰好させ、酵母を加えて白米を足しつつアルコール発酵させる。そうしてできた醪(もろみ)を熟成させ、その後に「絞り」「加熱消毒(火入れ)」などを行ない、水を足してアルコール度数を調節するなどして出荷する。
なお、この醪を絞らずにそのまま引用とするものがどぶろくであり、絞りにより濾す工程を経たものが清酒である。絞り工程を経ていれば清酒となるため、澱が残っているにごり酒も分類上は清酒に含まれる。
理化学研究所が日本酒のうまみ成分である琥珀酸の合成に成功したため、「糖と琥珀酸とアルコールを混ぜれば日本酒風のリキュールができる」とのことで合成した「合成酒」を、「リキュール」に引っ掛けて「利休」という銘柄で発売したことがある。一部からは「雑巾バケツの水」といった酷評もあったが、いまだに懐かしむひともいる。
名産地と銘柄[編集]
内航海運[編集]
江戸時代、上方から江戸に日本酒を輸送する際、各港に寄港する菱垣廻船では日本酒が腐敗するので専用船である樽廻船が竣工した。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 滋賀の食事文化研究会『ふなずしの謎』サンライズ出版2006年7月31日初版第9刷発行。
- E・ローゼンバーグ、I・R・コーエン『入門現代生物学』培風館2001年4月10日初版第15刷発行。
- 吉田邦久『チャート式要点と演習新制新生物ⅠB・Ⅱ』数研出版1997年3月1日発行。