ヴァンフォーレ甲府-2005
ヴァンフォーレ甲府-2005
概要[編集]
Jリーグ ディビジョン2(J2)参入後3年連続最下位や経営危機問題を味わうなど「Jリーグのお荷物」とまで言われた甲府が経営再建を進めながらトップリーグに昇格したことや、第42節の後半ロスタイムでの3得点を挙げる大逆転劇や入れ替え戦での停電騒動、さらにJリーグ初となる1試合個人6得点(ダブルハットトリック)などの記録が発生していることなどから、ウィキペディアにはクラブの歴史の項目とは別に「ヴァンフォーレ甲府の2005年シーズン」という記事が熱狂的サポーター有志により立項し、記載された。
その後甲府POVになっていることが問題視され、現在この記事はwp:ja:2005年J2最終節と形を変えているが、本記事ではこの記事を投稿した甲府サポーターに敬意を表し、改変直前の記事をほぼそのままの形で記述する。
なお、ここではベガルタ仙台との入れ替え戦進出条件となる3位争いを演じた2005年J2最終節(2005ねんJ2さいしゅうせつ)やこの年のJ1・J2入れ替え戦についても併せて記載する。
開幕前[編集]
この年のJ2はパウリーニョ、アレモンの両ブラジル人FWをはじめ星大輔や米田兼一郎など他チームの主力選手を獲得した京都パープルサンガが飛びぬけており、前年3位でグラウシオを獲得したアビスパ福岡と佐藤寿人にかわり前シーズン途中まで甲府に所属し、昨シーズン前半戦の得点王バロンを獲得したベガルタ仙台、前年4位のモンテディオ山形が追う展開を予想する人もいたとかいないとか。
前年は前半戦を3位で折り返したものの、バロンの退団や主力選手の怪我で失速し7位に終わった甲府は退任した松永英機にかわり、2002年シーズンに初めて甲府を最下位から脱出させた大木武が監督に復帰。さらに大宮アルディージャのJ1昇格に貢献したバレーを獲得し、上記に挙げたチーム同様昇格候補の一角に挙げられていた。ただ昨年まで第一GKとしてゴールを守っていた阿部謙作がヴィッセル神戸の監督に就任した松永に誘われてレンタル移籍するなど守備面では不安を拭えない状況であったと思われる。
開幕戦から第22節まで[編集]
初勝利が第4節の水戸ホーリーホック戦と遅れるが、その後はゴールデンウィーク中に3連勝するなど次第に順位を上げていった。この年飛躍的に成長したのが長谷川太郎で、前年まで伸び悩んでいたが、Honda FCで指揮を執っていた安間貴義コーチの指導の結果元日本代表の小倉隆史からレギュラーの座を奪うと「温泉ダービー」と謳われた第11節のザスパ草津戦で2得点を挙げるなどバレーとともにゴールを量産する活躍を見せる。
一方守備面では阿部の抜けた穴は大きく、GKは開幕戦は高卒2年目の佐藤優也が守ったが、すぐに鶴田達也に交代。しかし鶴田もミスを重ねたため、第19節からは松下太輔に変更するなど不安定な状況が続く。さらに守備の要として加入したDF・アレックス・オリベイラが長期離脱などにより失点に歯止めがかからない状況に陥った。それでも一時は2位まで順位を上げるが第20節のコンサドーレ札幌戦で藤田健がレッドカードで退場するとそこから3連敗し、6位でシーズン前半戦を折り返した。
J2全体では前評判どおり京都が独走していたが2位以降は混戦で、3位の札幌から9位の水戸まで勝ち点差が6の中に7チームがひしめき合う状態で前半戦を折り返した。
- 第22節までの順位(上位6チームまで)
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 54 | 17 | 3 | 2 | 40 | 21 | +19 |
2 | アビスパ福岡 | 36 | 9 | 9 | 4 | 31 | 22 | +9 |
3 | コンサドーレ札幌 | 33 | 9 | 6 | 7 | 26 | 24 | +2 |
4 | ベガルタ仙台 | 31 | 9 | 4 | 9 | 35 | 26 | +9 |
5 | モンテディオ山形 | 31 | 7 | 10 | 5 | 28 | 21 | +7 |
6 | ヴァンフォーレ甲府 | 30 | 8 | 6 | 8 | 38 | 32 | +6 |
第23節から第39節まで[編集]
シーズン後半戦がスタートすると仙台、山形と昇格争いをしている2チームに連勝し幸先のよいスタートを切る。また松永が神戸の監督を解任されたことなどにより出場機会のなかった阿部が甲府に復帰。9月にバレーが1ヶ月の怪我を負い離脱したが、かわりに出場した須藤大輔が活躍するなど昇格争いに踏み止まった。この時大木監督はこれまでの4-4-2フォーメーションからMF石原克哉をFWに置く4-3-3フォーメーションへの移行を試しており、当初は結果が出なかったがバレーが復帰した第37節から第39節の3試合で12得点を挙げて3連勝したことにより、以降この4-3-3のスタイルが甲府の基本フォーメーションになった。
なお、シーズン後半も勢いが止まらず首位を独走していた京都は第39節に早くも自動昇格となる年間2位以内を決めている。
- 第39節までの順位(上位6チームまで)
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 87 | 27 | 6 | 6 | 78 | 34 | +44 |
2 | アビスパ福岡 | 67 | 18 | 13 | 8 | 62 | 43 | +19 |
3 | ヴァンフォーレ甲府 | 62 | 17 | 11 | 10 | 72 | 53 | +19 |
4 | ベガルタ仙台 | 60 | 17 | 9 | 13 | 60 | 44 | +16 |
5 | コンサドーレ札幌 | 56 | 15 | 11 | 13 | 45 | 46 | -1 |
6 | モンテディオ山形 | 54 | 13 | 15 | 11 | 46 | 41 | +5 |
天皇杯4回戦[編集]
39節から40節の間をぬって天皇杯4回戦が行なわれ、甲府は4日前にヤマザキナビスコカップを制覇したジェフユナイテッド市原・千葉と対戦した。
ナビスコカップ決勝戦の都合上甲府は他の昇格争いチームより遅れての試合であり、さらにガンバ大阪と対戦する横浜FCを除く他のJ2チームが1週間空くのに対し甲府は中3~4日と日程上不利な状況であったが、昇格争いをしているチームが控えメンバーで挑んだのに対し、甲府はシーズン中と変わらないメンバーで挑んだ。一方千葉もナビスコカップ決勝戦がPK戦までもつれ込んだことや、依然J1優勝争いをしていることから佐藤勇人や羽生直剛を休ませたが、阿部勇樹と巻誠一郎の日本代表コンビが先発で出場するなどこちらもシーズン中の構成と見劣りしない状況であった。
試合は千葉が先制するも前半終了間際にバレーのゴールで追いつき、さらに後半15分に長谷川が得点を挙げて一時はナビスコカップ王者からリードを奪う。しかしすぐに追いつかれ、90分では決着がつかず延長戦に突入。一進一退の状況が続くが延長後半7分に千葉MF水野晃樹が得点を挙げてこれが決勝点となり、2-3で敗退した。
しかし当時千葉の監督で、その後日本代表監督になるイビチャ・オシムは大木に声をかけ、甲府のプレースタイルを絶賛した。大木はこれをきっかけに本格的にJ1へ上がろうと決心したという。
第40節・第41節[編集]
しかし上述の通り過密日程の中での無理な起用がたたり、中2日でおこなわれた40節の水戸戦では2人の退場者を出すなどしたため0-3と大敗。前節まで3位をキープしていた順位を仙台に逆転されてしまう。さらに翌41節の山形戦もスコアレスドローに終わり、2位福岡が40節に続き勝利したため自動昇格の2位以内が絶望的となり、また3位仙台との差も縮めることができずに苦しい状況になる。
- 第41節までの順位(上位6チームまで)
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 93 | 28 | 7 | 6 | 83 | 38 | +45 |
2 | アビスパ福岡 | 73 | 20 | 13 | 8 | 67 | 43 | +24 |
3 | ベガルタ仙台 | 64 | 18 | 10 | 13 | 62 | 45 | +17 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 63 | 17 | 12 | 11 | 72 | 56 | +16 |
5 | コンサドーレ札幌 | 57 | 15 | 12 | 14 | 48 | 52 | -4 |
6 | モンテディオ山形 | 55 | 13 | 16 | 12 | 48 | 45 | +3 |
第42節[編集]
甲府と仙台は第42節を同じ11月23日に迎え、3位の仙台はホーム仙台スタジアムで水戸と、勝ち点差1の4位の甲府は札幌ドームで5位の札幌と対戦した。
札幌と甲府の試合はまず前半19分に札幌のFW清野智秋が先制点を挙げるが、甲府も前半39分に長谷川のゴールで追いつき1-1で前半を折り返す。後半開始早々の48分、札幌のMF砂川誠がゴールを決め1-2と逆転。その後甲府も攻めるものの、連戦の疲れからか思うように得点を挙げられず後半ロスタイムに突入する。その頃、仙台は水戸に3-0で勝利していた。この時点で札幌のJ1昇格の可能性が消滅。また甲府もこのまま負けると仙台との勝ち点差が残り2試合で4に広がり、昇格の可能性が絶望的になってしまう。
しかしロスタイムに入って間もなく、甲府はパスを受けた長谷川が右サイドでDFをかわしてゴールを決め2-2の同点とする。勝利を目前として追いつかれ、また昇格の可能性が消えたことを知った札幌守備陣がここで落胆。それから間もなくして、右側から甲府MF藤田健がゴールめがけてロングパスを送る。そこへ後半途中から入った須藤が頭で押し込み3-2と逆転。更にクリアボールを処理しようとした札幌GK林卓人が蹴ったボールはミスキックとなって味方DFに当たり、流れたボールを須藤が押し込み4-2とし試合終了。甲府は土壇場での大逆転で、3位仙台との勝ち点差は1のまま残り2試合を戦うことになった。
この節、福岡が徳島ヴォルティスと引き分けて2位以内が確定し自動昇格を決めた一方で、山形はザスパ草津に勝利したが仙台が勝ったため札幌とともに昇格の可能性が消滅した。
- 第42節までの順位(上位6チームまで)
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 94 | 29 | 7 | 6 | 87 | 38 | +49 |
2 | アビスパ福岡 | 74 | 20 | 14 | 8 | 67 | 43 | +24 |
3 | ベガルタ仙台 | 67 | 19 | 10 | 13 | 65 | 45 | +20 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 66 | 18 | 12 | 11 | 76 | 58 | +18 |
5 | モンテディオ山形 | 58 | 14 | 16 | 12 | 52 | 45 | +7 |
6 | コンサドーレ札幌 | 57 | 15 | 12 | 15 | 50 | 56 | -6 |
第43節[編集]
甲府は小瀬陸上競技場で福岡と、仙台は仙台スタジアム(現・ユアテックスタジアム仙台)で京都と対戦。
福岡はこの試合シーズン18得点を挙げたグラウシオと守備的MFとしてチームに貢献したホベルトの両ブラジル人選手を欠いていたが、攻め急ぐあまり得点が奪えず逆に福岡のプレスサッカーの前に甲府DF陣が崩壊し、前半だけで0-3とリードされる。
仙台は前半を終えて0-0のスコアレスで、このまま引き分けでも甲府との勝ち点差が2に広がり、仮に最終節で引き分け以上であれば甲府が勝利しても得失点差で大きくアドバンテージがあり、3位がほぼ確定するところまできていた。しかし後半18分に京都FWのアレモンに決められ0-1となり、その後も仙台は京都の堅固なる守備の前に得点を挙げることができずに試合終了となった。
小瀬の試合は後半も一方的な展開となり、結局甲府は0-5と福岡の前に大敗した。ホーム最終節、かつ入れ替え戦進出がかかった試合での大敗に甲府サポーターからブーイングが飛んだが、大木武監督はサポーターに対し、「まだ1試合残っています。もっと言えばあと3試合残っていると思います。」と入れ替え戦への意欲を口にした。
- 第43節までの順位(上位4チームまで)
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 97 | 30 | 7 | 6 | 88 | 38 | +50 |
2 | アビスパ福岡 | 77 | 21 | 14 | 8 | 72 | 43 | +29 |
3 | ベガルタ仙台 | 67 | 19 | 10 | 14 | 65 | 46 | +19 |
4 | ヴァンフォーレ甲府 | 66 | 18 | 12 | 12 | 76 | 63 | +13 |
最終節[編集]
概要[編集]
甲府は西京極陸上競技場で京都と、仙台は東平尾公園博多の森球技場(現・レベルファイブスタジアム)で福岡と対戦。この試合仙台は福岡に勝てば甲府の結果に関係なくJ1・J2入れ替え戦に出場できた一方で、甲府は仙台の結果に関係なく京都に勝利しなければ入れ替え戦に進出できない苦しい状況であった(上述の通り甲府が引き分けて仙台が負けでも甲府が3位になる可能性はあったが、得失点差が6も離れていたため現実的ではなかった)。さらに甲府はこの年圧倒的強さでリーグを制した京都に3戦3敗と相性が悪く、既に入れ替え戦進出を決めていた柏レイソルも福岡にスタッフを派遣するなど仙台戦を想定した対策を練っていた。
前半[編集]
まず試合が動いたのは西京極で前半9分に京都FW田原豊がヘディングシュートで先制するも、前半40分に長谷川が京都DFリカルドのパスミスを狙ってボールを奪い、そのままドリブルシュートを決め同点に追いつく。一方で博多の森は膠着状態となり、ともに得点を挙げることができないまま、前半が終了した。
- 前半終了時の途中経過
- 甲府1-1京都
- 仙台0-0福岡
後半[編集]
後半開始早々の4分に福岡のMF古賀誠史がゴールを決め仙台は先制を許すものの、西京極の試合経過を随時聞いていた仙台の都並敏史監督や選手は落ち着いており、20分にはフリーキックから仙台のDF村上和弘がゴールを決めると選手や仙台サポーターは歓喜に包まれた。その頃西京極は甲府が攻め込むものの得点を挙げることができず時間だけが過ぎていった。
- 後半35分時点の途中経過
- 甲府1-1京都
- 仙台1-1福岡
後半40分、山本英臣が倒されフリーキックを得る。藤田がゴールへ向けてを放つとDFアライールが頭で合わせてこのシーズン初ゴールを決め逆転に成功する。甲府逆転の一報はすぐに博多の森にも届き、このままでは入れ替え戦に進出できない仙台は2001年J2最終節で昇格を決めるゴールを挙げた財前宣之など3人のMFを投入して逆転を狙うもこの年鉄壁を誇っていた福岡のゴールを割ることができずそのまま試合終了となった。
一方、このまま守りきれば入れ替え戦出場が決まる甲府は後半ロスタイムに杉山新が抜け出した田原を自陣ペナルティエリア付近で倒し、一発レッドカードで退場、ペナルティエリア付近から直接フリーキックを与えてしまう(フリーキックかペナルティーキックか微妙な位置だった)。杉山が責任を感じてベンチで涙し、倒された田原が秋本倫孝と一触即発状態になるなど両軍がエキサイトする中、DF鈴木悟の放ったフリーキックはポストに当たってピンチを脱し、そのまま甲府が2-1で勝利。勝ち点1差で仙台を逆転し、入れ替え戦出場権を得た。
なお甲府にとってはこの年の京都戦の初勝利であり、同時にこの年J2全チームに勝利した。
- 最終結果
- 甲府2-1京都
- 仙台1-1福岡
最終順位[編集]
- 上位4チームまで
順位 | クラブ名 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 京都パープルサンガ | 97 | 30 | 7 | 7 | 89 | 40 | +49 |
2 | アビスパ福岡 | 78 | 21 | 15 | 8 | 72 | 43 | +29 |
3 | ヴァンフォーレ甲府 | 69 | 19 | 12 | 13 | 78 | 64 | +14 |
4 | ベガルタ仙台 | 68 | 19 | 11 | 14 | 66 | 47 | +19 |
試合データ[編集]
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入れ替え戦[編集]
概要[編集]
入れ替え戦に進出した甲府の相手はこの年のJ1で16位で2年連続での入れ替え戦となった柏レイソル。奇しくも36年前JSLとの入れ替え戦にて、前身の甲府クラブの昇格を阻んだ日立製作所サッカー部を母体とするクラブである。
柏は当時現役日本代表である玉田圭司をはじめ明神智和、波戸康広、永田充など日本代表経験を持つ選手やその後日本代表に選出される矢野貴章と李忠成、他にも土屋征夫や谷澤達也など日本人選手だけでも錚々たるタレントが揃っており、さらに外国人選手もシーズン中盤に元ブラジル代表のフランサやパリ・サンジェルマンFCに所属していたレイナウドを補強するなど甲府との選手層の差は明らかであった。また前年の入れ替え戦でも福岡に2戦2勝と危なげなく残留を決めており、その福岡より成績が劣っていた甲府が相手であったことから下馬評では柏の有利が予想された。
しかし実際は玉田が疲労骨折のため今シーズンの出場が絶望になり、また明神やフランサも怪我で万全な状況ではないなどチーム状況は思わしくなかった。さらに前年は福岡に対して万全の対策を行なっていたのに対し、今回は入れ替え戦の相手を仙台と想定しその対策を行なっていたがプレースタイルが異なりプロ化後は対戦経験のない甲府が相手になった事で現場が混乱、相手が決定してから入れ替え戦までのわずか3日の間で少ない情報をもとに非公開練習で対策をとらざるを得なかった。同年夏にコーチに就任したラモス瑠偉が選手に檄を飛ばすなどしていたが、12月5日付のスポーツニッポンの記事では選手は明らかに動揺の色を隠せず、練習が終わった後も悲壮感を漂わせている状態であった。
それに対し、逆転で入れ替え戦進出を決めた甲府は柏の入れ替え戦進出が11月26日と早めに決まっていたことから万全な対策をとることが可能で、また報道陣に対し練習を公開するなど余裕を見せ、12月6日付のスポーツニッポンの記事で監督や選手は「いつもどおりのサッカーをするだけ」と強気なコメントを残している。
第1戦[編集]
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小瀬陸上競技場での第1戦。リーグ最終節での退場により杉山は出場停止のため、代わりにこの年限りで退団が決まっていた青葉幸洋が先発した。
あいにくの雨模様のなか、前半11分にセットプレーからレイナウドがゴールを決め柏が先制。しかし甲府も負けじと前半25分にアライールのフィードをバレーが折り返し、最後はキャプテン・MF倉貫一毅が決めて同点に追いつき前半を1-1で折り返す。
後半開始直後の3分、甲府は藤田健のロングスローから相手ゴールにたたみかけ、最後はバレーが決め、逆転に成功する。しかしその後は柏ペースとなり、途中宇野沢祐次と李忠成の両FWを投入し、4トップで襲い掛かる。しかし甲府も必死の守りを見せ、後半40分に甲府GK阿部がパックパスをキャッチするというミスによりゴールまでわずか5mのフリーキックを与えるというピンチを迎えるが、これも凌ぎ切りゴールを割らせなかった。
試合終了直前奈須伸也が突破した相手FW矢野貴章にタックルした瞬間競技場が停電し、試合が30分近く中断するというハプニングがあったものの再開後に試合終了となり、甲府は大事なホームゲームでの初戦を白星で飾った。
第2戦[編集]
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後がない柏は明神を先発出場させて迎え撃つが、先制したのは甲府。10分に復帰した杉山のシュート気味のクロスからバレーに決められる。さらに27分、石原の突破からPKを獲得し、バレーに決められ2-0。柏は36分にフランサを投入するが得点に至らず前半を折り返す。
後半4分には、第1戦の敗戦後に「バレーは思ったよりは恐くなかった」[1] と語っていた柏DF永田がこの日2枚目のイエローカードを貰い退場処分となり、数的にも不利になる。7分にレイナウドが1点を返すものの、直後の8分に絶妙なパス回しで柏DF陣がボールを触れないまま最後はバレーに試合を決定付ける3点目を決められる。その後も集中が切れてしまったように思える柏の前に甲府攻撃陣は足を休めることはなく、23分と24分にバレーに立て続けにゴールを決められ、この時点で野口幸司、エジウソン、中山雅史の3人が持つ1試合個人最多得点記録となる5得点に並ぶ。41分に途中出場の柏FW宇野沢が1点を返すが、42分にバレーに新記録となる6得点目を挙げられ、このまま試合終了。2戦合計8-3で甲府がJ2初の入れ替え戦によるJ1昇格を果たした。
大会[編集]
大会 | 成績 |
J2リーグ | 3位 / 12チーム |
天皇杯 | 4回戦敗退 |
結果[編集]
J2リーグ[編集]
試合 | 日付 | チーム | 結果 | チーム | 開催地 |
1 | 2005.03.05 | ヴァンフォーレ甲府 | 2-2 | コンサドーレ札幌 | 小瀬 |
2 | 2005.03.12 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-1 | ベガルタ仙台 | 小瀬 |
3 | 2005.03.19 | モンテディオ山形 | 3-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 山形県 |
4 | 2005.03.27 | ヴァンフォーレ甲府 | 4-1 | 水戸ホーリーホック | 小瀬 |
5 | 2005.04.02 | 湘南ベルマーレ | 1-0 | ヴァンフォーレ甲府 | 平塚 |
6 | 2005.04.09 | ヴァンフォーレ甲府 | 3-1 | サガン鳥栖 | 小瀬 |
7 | 2005.04.15 | 徳島ヴォルティス | 1-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 鳴門 |
8 | 2005.04.23 | ヴァンフォーレ甲府 | 0-3 | 京都パープルサンガ | 小瀬 |
9 | 2005.04.30 | 横浜FC | 1-3 | ヴァンフォーレ甲府 | 三ツ沢 |
10 | 2005.05.04 | アビスパ福岡 | 0-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 博多球 |
11 | 2005.05.07 | ヴァンフォーレ甲府 | 4-1 | ザスパ草津 | 松本 |
12 | 2005.05.14 | ベガルタ仙台 | 2-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 仙台 |
13 | 2005.05.21 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-1 | モンテディオ山形 | 小瀬 |
14 | 2005.05.28 | ヴァンフォーレ甲府 | 5-0 | 徳島ヴォルティス | 小瀬 |
15 | 2005.06.04 | サガン鳥栖 | 2-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 鳥栖 |
16 | 2005.06.11 | ヴァンフォーレ甲府 | 2-2 | 湘南ベルマーレ | 小瀬 |
17 | 2005.06.18 | ザスパ草津 | 1-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 群馬サ |
18 | 2005.06.25 | 京都パープルサンガ | 3-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 西京極 |
19 | 2005.07.02 | ヴァンフォーレ甲府 | 2-1 | アビスパ福岡 | 小瀬 |
20 | 2005.07.09 | コンサドーレ札幌 | 3-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 札幌厚別 |
21 | 2005.07.13 | ヴァンフォーレ甲府 | 0-1 | 横浜FC | 小瀬 |
22 | 2005.07.17 | 水戸ホーリーホック | 1-0 | ヴァンフォーレ甲府 | 笠松 |
23 | 2005.07.30 | ヴァンフォーレ甲府 | 2-1 | ベガルタ仙台 | 小瀬 |
24 | 2005.08.02 | モンテディオ山形 | 1-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 山形県 |
25 | 2005.08.06 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-2 | 京都パープルサンガ | 小瀬 |
26 | 2005.08.13 | 湘南ベルマーレ | 1-1 | ヴァンフォーレ甲府 | 平塚 |
27 | 2005.08.20 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-0 | ザスパ草津 | 小瀬 |
28 | 2005.08.27 | 横浜FC | 3-4 | ヴァンフォーレ甲府 | 三ツ沢 |
29 | 2005.08.31 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-1 | サガン鳥栖 | 小瀬 |
30 | 2005.09.04 | ヴァンフォーレ甲府 | 0-1 | コンサドーレ札幌 | 小瀬 |
31 | 2005.09.10 | 徳島ヴォルティス | 1-3 | ヴァンフォーレ甲府 | 鳴門 |
32 | 2005.09.17 | ヴァンフォーレ甲府 | 2-2 | 水戸ホーリーホック | 小瀬 |
33 | 2005.09.24 | アビスパ福岡 | 2-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 博多球 |
34 | 2005.10.01 | ヴァンフォーレ甲府 | 0-0 | 横浜FC | 小瀬 |
35 | 2005.10.05 | ザスパ草津 | 1-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 群馬陸 |
36 | 2005.10.15 | ベガルタ仙台 | 1-0 | ヴァンフォーレ甲府 | 仙台 |
37 | 2005.10.22 | ヴァンフォーレ甲府 | 5-0 | 徳島ヴォルティス | 小瀬 |
38 | 2005.10.30 | サガン鳥栖 | 1-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 鳥栖 |
39 | 2005.11.06 | ヴァンフォーレ甲府 | 5-2 | 湘南ベルマーレ | 小瀬 |
40 | 2005.11.13 | 水戸ホーリーホック | 3-0 | ヴァンフォーレ甲府 | 笠松 |
41 | 2005.11.19 | ヴァンフォーレ甲府 | 1-1 | モンテディオ山形 | 小瀬 |
42 | 2005.11.23 | コンサドーレ札幌 | 2-4 | ヴァンフォーレ甲府 | 札幌ド |
43 | 2005.11.26 | ヴァンフォーレ甲府 | 0-5 | アビスパ福岡 | 小瀬 |
44 | 2005.12.03 | 京都パープルサンガ | 1-2 | ヴァンフォーレ甲府 | 西京極 |
選手[編集]
番 | Pos. | 選手 | 生年月日(年齢) |
1 | GK | 松下太輔 | 1981-10-31 (23) |
2 | DF | 秋本倫孝 | 1982-09-24 (22) |
3 | DF | 津田琢磨 | 1980-10-04 (24) |
4 | DF | 山本英臣 | 1980-06-26 (24) |
5 | DF | 青葉幸洋 | 1979-07-26 (25) |
6 | DF | 仲田建二 | 1973-10-04 (31) |
7 | MF | 土橋宏由樹 | 1977-11-27 (27) |
8 | MF | 倉貫一毅 | 1978-11-10 (26) |
9 | FW | 須藤大輔 | 1977-04-25 (27) |
10 | MF | 藤田健 | 1979-08-27 (25) |
11 | FW | 小倉隆史 | 1973-07-06 (31) |
13 | MF | 横山博敏 | 1975-05-09 (29) |
14 | MF | 石原克哉 | 1978-10-02 (26) |
15 | DF | アライール | 1982-01-27 (23) |
16 | FW | バレー | 1982-01-18 (23) |
17 | MF | 千野俊樹 | 1985-07-19 (19) |
18 | FW | 長谷川太郎 | 1979-08-17 (25) |
19 | DF | 池端陽介 | 1979-06-07 (25) |
20 | MF | 水越潤 | 1975-01-15 (30) |
21 | GK | 鶴田達也 | 1982-09-09 (22) |
22 | DF | 井上雄幾 | 1977-10-31 (27) |
23 | FW | 山崎光太郎 | 1978-10-19 (26) |
24 | FW | 大西容平 | 1982-10-30 (22) |
25 | MF | 鈴木健太 | 1985-09-16 (19) |
26 | MF | 保坂一成 | 1983-03-24 (21) |
27 | FW | 白尾秀人 | 1980-09-30 (24) |
28 | MF | 奈須伸也 | 1978-12-29 (26) |
29 | MF | 鈴木隼人 | 1982-05-13 (22) |
30 | GK | 佐藤優也 | 1986-02-10 (18) |
31 | GK | 島津虎史 | 1978-08-20 (26) |
32 | DF | 杉山新 | 1980-07-25 (24) |
33 | DF | アレックス・オリベイラ | 1978-06-17 (26) |
34 | GK | 阿部謙作 | 1980-05-13 (24) |
脚注[編集]
- ↑ 気持ちを切り替える柏/入れ替え戦 日刊スポーツ、2005年12月8日
関連項目[編集]
ヴァンフォーレ甲府 |
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1999 |