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ベルギー国鉄
ベルギー国鉄(オランダ語:Nationale Maatschappij der Belgische Spoorwegen (NMBS)、フランス語:Société nationale des chemins de fer belges (SNCB))とはベルギー王国で鉄道事業を行う国有鉄道会社である。
歴史[編集]
始まり[編集]
ベルギーはヨーロッパ大陸で初めて鉄道を建設した国で1835年にメヘレンからブリュッセル間が開通した。オランダ連合王国から独立した際にベルギーは、運河がオランダの支配下だったために運河とは別の交通手段を持つことが目的だった。そこでベルギーはヨーロッパ大陸で初めて鉄道を建設した。1842年までにベルギーは国内にどんどん鉄道を建設していった。これは1832年に設立されたChemins de fer de l'État belge(ベルギー国鉄)によるものだった。1853年に出版されたベルギーの旅行ガイドの『Baedeker』には19世紀半ばの鉄道路線の詳細が記されていた。その後ベルギー国鉄は当初はイギリスの企業、その後はフランスのCompagnie des chemins de fer du Nordの子会社に利権を売却し最終的に国内に約600㎞の鉄道網が敷かれた。そして19世紀末にベルギー国鉄は売却した大部分を買い戻し、「鉄道管理局」を設立した。
しかしいくつかの私鉄は存続した。最後に残った2社はInternational de Malines à TerneuzenとChemin de fer de Chimayは1948年に最終的に国有化された。
1914-1945年[編集]
1914年の第一次世界大戦中ベルギーはドイツの占領下におかれ、鉄道は当初ドイツ鉄道管理局の管理下に置かれ、1915年6月1日からはドイツ軍の管理下に置かれた。ドイツが戦利品として没収した鉄道車両は全てブリュッセルの軍総局から割り当てられ、形式が付された。その後、出所が特定できるように元の所有者を示すコードも追加された。
1926年にChemins de fer de l'État belgeは現在のSociété nationale des chemins de fer belges(SNCB)と改称された。当時同社は機関車4624両、客車9319両、荷物者1602両、貨車123941両を保有していた。
1930年代末までに、ベルギーはヨーロッパおよび世界で最も速い蒸気機関車を保有するようになった。ブリュッセルからオーステンデまでの2本の列車がこの機関車によって牽引され1939年には時速114.3㎞に達し、ブリュッセルとブルッヘ間の列車で120.46㎞に達しこれらは現在でも2つの定期停車駅区間の蒸気機関車の最高速度としてヨーロッパの記録となっている。→NMBS/SNCB-12型流線形蒸気機関車を参照。
1927年からはパリ発ブリュッセル経由アムステルダム行きのエトワール・デュ・ノール号が初のプルマン急行がベルギーに入線した。1928年にはアムステルダム-ブリュッセル-ナミュール-ルクセンブルク-ストラスブール-バーゼル-チューリッヒのエーデルワイス号が続いた。1929年にはパリ発ブリュッセル経由アントウェルペン行きのオワゾー・ブルー号にはオーステンデ-ケルン-プルマン急行が使用された。これらの列車は第二次世界大戦がはじまると全て廃止された。
1945-1990年[編集]
第二次世界大戦後、SNCBは再び国有化された。1966年に蒸気機関車による運行を終了させた。同年12月20日にNMBS/SNCB-29型蒸気機関車の29.013号機がアト-デンデルリュー間での蒸気機関車による運行が終了した。
第二次世界大戦後、路線の数は減少した。人口の少ない地域を結ぶいくつかの路線は廃止になり、安価なバスに取って代わられた。戦時中に破壊された路線の一部は再建さえされなかった路線もある。1980年代には利用者の少ない数多くの駅も廃止されたが、どれと同時に農村部における鉄道の再開が行われたりした。再開された主な例はアントウェルペン-ネールペルト間やウェルケンラエード-ウーペン間などがある。オーステンデ-ケルン間の長距離列車は1970年代末から標準化された新しい車両のユーロフィマ車両が大部分を占めより快適な車両が導入された。これらの車両は冷房が完備されていた。同じく標準化されたユーロフィマC1の塗装(ピュアオレンジにライトグレーのストライプ)もユーロフィマ客車とともに導入され、他の多くのベルギー客車もそれに合わせて塗装された。
また1980年代には長距離輸送のための全国的な標準化されたインターシティネットワーク、インターレギオネットワークが構築された。1984年6月3日からは13本のICと16のIRがベルギーの主要駅を結んだ。またP列車とL列車が地方輸送用に導入された。P列車はブリュッセルやアントウェルペンを結ぶ列車で朝夕時間帯のみ運行される。また休日や祝日はT列車が運行される。これらの列車システムは今日に至るまでその価値を証明し。インターシティとインターレギオの路線が追加されてきた。現在ではベルギー国内で38のIC路線が運行される。2014年にはインターレギオはICに置き換えられた。
1991年以降[編集]
1991年以降NMBS/SNCBは「独立企業」となった。ヨーロッパの鉄道輸送のさらなる需要にこたえるために1990年代にはブリュッセル-リエージュ-アーヘン間の高速線などの路線の全面改築、主要駅の大規模な近代化、車両のさらなる近代化が決定された。そしてこの10年の間にユーロスター・グループとタリス・インターナショナルの創立メンバーともなった。
ベルギーの鉄道輸送は2005年1月1日から自由化された。それ以来ベルギー国鉄は独立した国有企業となっている。EU全域に及ぶ鉄道輸送の対応と自由化の過程でSNCBは3つの部門に分離された。:NMBS/SNCBホールディング・グループ(統括本部・上位組織)、Infrabel(鉄道網管理)、NMBS/SNCB(鉄道輸送)である。この構成はベルギーがInfrabelの80%、NMBS/SNCBホールディング・グループの99.9%の株を保有し、NMBS/SNCBはInfrabelの単独の所有者であり、残りの20%を保有していた。2013年初めにベルギー政府は新しい構造改革を行い、NMBS/SNCBホールディング・グループを解体してベルギー王国がNMBS/SNCB、HR Rail、Infrabelの唯一の所有者となった。
電化[編集]
ブリュッセルとアントウェルペン間の路線が1935年に最初に電化された。ここでは3000ボルトの直流電圧が採用された。ただし1950年代以降、コスト的にディーゼル機関車での運用が優先されたため、電化は遅れた。しかし、その後も鉄道網の完全電化を目指している。
SNCBは、鉄道網の大部分で直流3000Vの直流を使い続けている。一部の近代化された区間(アテュー-ムーズ間)と高速線のみが交流25kV50Hzで電化されている。3000Vでの電化を採用したことで、すべての近隣諸国との国境に電気系統分離駅が設けられた。そのため、SNCBは早い段階から交直流機関車を開発した。最初のその設計のひとつが、1966年に運行を開始した16型電気機関車である。
鉄道網[編集]
ベルギーは世界で最も鉄道網の密度が高い国の一つでブリュッセルを南北に貫く南北連絡線は1日約1200本の列車が通り、世界で最も交通密度の高い路線となっている。Infrabelはこの路線のさらなる拡張を行っている。
ベルギーでの高速鉄道はligne à grande vitesseまたはhogesnelheidslijnと呼ばれている。この路線網はフランス(およびイギリス)、ドイツ、オランダの国境から首都ブリュッセルに向けて結ばれている。
路線 | 区間 | 最高速度 | 距離 | 開業 | 主な列車 |
---|---|---|---|---|---|
HSL1号線 | ブリュッセル-リール間 | 時速300㎞ | 88㎞ | 1997年 | TGV、ユーロスター、タリス |
HSL2号線 | ルーヴェン-リエージュ間 | 時速300㎞ | 62㎞ | 2002年 | タリス、ICE、IC |
HSL3号線 | シェネー-ヘルゲンラート間 | 時速260㎞ | 36㎞ | 2009年 | タリス、ICE |
HSL4号線 | アントウェルペン-ノールデルケンペン間(-ロッテルダム(南高速線)) | 時速300㎞ | 40㎞ | 2009年 | ユーロスター、タリス、IC |
旅客輸送[編集]
ベルギーの旅客輸送はSNCBがほぼ独占的に運営している。どこかの国とは大違い。リエージュ-アーヘン間(euregioAIXpress)とアントウェルペン-ローセンダール間(S-Zug Antwerpen)の国境を超える地域列車も運行している。列車の種別は以下の通り:
種別 | 名称 | 概要 |
---|---|---|
EST | ユーロスター | ロンドン、パリ、アムステルダム、ケルン、ドルトムントへの高速列車 |
ICE | インターシティ・エクスプレス | ケルンとフランクフルトへの高速列車 |
TGV | Train à grande vitesse | 主にフランス行きの高速列車 |
IC | インターシティ | 1時間に36本の路線がIC01からIC35までの名称で運行している。たこくとことなり、停車駅が多く、長距離輸送だけでなく平均時速70㎞~90㎞で地域急行列車の役割も果たす。 |
ICT | 観光向けインターシティ(旧T-Train) | |
L | Lokale trein/Train local | 普通の地域列車 |
S | S-Trein/Train S | アントウェルペン、ブリュッセル、シャルルロワ、ヘント、リエージュで都市輸送を行う列車。ドイツのSバーンに相当。 |
P | Piekuurtrei/Train d’heure de pointe | 通勤時間帯のみ運行される列車。平日の6時~9時/16時~19時まで運行される。 |
運賃[編集]
ICEとタリスを除いて、ベルギーでは地域列車と長距離列車の運賃の区別はない。運賃は距離制の計算で150㎞を超えると最高運賃が適用される。特定の人(老人、子供、身体障害者、戦争病人など)には割引が適用される。また40%から60%割引が適用されるフリー切符の1日乗車券や週末乗車券などがあり、リエージュ/アーヘン/マーストリヒトの国境三角地帯で1日有効な「EUREGIO-Ticket」などもある。
統計情報[編集]
ベルギー国鉄は世界で最も密度の高い鉄道網の一つを運営している。
ブリュッセル中央駅は、ロンドン、パリ、アムステルダム、ケルン、パリ行きのユーロスターやフランクフルト・アム・マイン行きのインターシティ・エクスプレスが発着する欧州高速鉄道の中心地のひとつである。他にアントウェルペン駅、ルーヴェン駅、ヘント・シント・ピーテルス駅、ブルッヘ駅、リエージュ-ギユマン駅、ナミュール駅、シャルルロワ南駅などがベルギーの鉄道輸送の拠点となっている。
近年では車両の全面的な近代化が行われている。
数値データ[編集]
2001年には総延長3545㎞の路線網で約1億6000万人の乗客を輸送した。路線網のうち2701㎞が電化されてる。鉄道網の密度は112.6m/km²で欧州平均の51.2m/km²の約2倍となる。これとかそれとかあれが足を引っ張ってる。SNCBは537の駅と停留所があり、毎年新しい駅が設置されている。(毎年数は更新中。)
2004年、SNCBは12億7000万ユーロのベルギー最大の企業であり、SNCBの売上高は約22億1000万ユーロにのぼる(2004年現在)。
貨物輸送[編集]
子会社のLineasはIFBおよびXpedysというブランドで貨物輸送を提供している。所有者はArgos SoditicとSNCBである。