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オランダ鉄道
オランダ鉄道(オランダ語:Nederlandse Spoorwegen、略称:NS(読み:エヌ・エス))とはオランダで鉄道事業を行う国有鉄道会社である。
概要[編集]
ドイツ鉄道(DB)と同様に国が所有する法律上独立した公開有限会社である。鉄道網はNSの所有ではなく運輸省監督下のプロレイル社が保有する。NSは毎日約4000本の列車を走らせ、約110万人の乗客を輸送している。
歴史[編集]
創設[編集]
第一次世界大戦の影響でオランダ鉄鉄道会社(Hollandsche IJzeren Spoorweg-Maatschappij(HIJSM))と国鉄運行会社(Maatschappij tot Exploitatie van Staatsspoorwegen(SS))が1917年に合弁会社を設立した。両社は共同の鉄道事業を設立したが法律上は独立したままだった。1938年にHIJSMとSSが完全に合併してオランダ鉄道(NS)が成立した。
第二次世界大戦時[編集]
ドイツによるオランダ占領時代はNSはヴェステルボルク通過収容所におけるユダヤ人などの移送に使用された。オランダで捕らえられたユダヤ人は一旦ヴェステルボルクまで列車で一旦移送され、そこからドイツ帝国鉄道に引き継がれポーランドなどにある絶滅収容所などへと移送された。
1943年のオランダ国内で起こったドイツに対する4月5月ストライキには、NSの社員は参加しなかった。
1990年代以降[編集]
1993年2月19日、オランダ政府はNSの大幅な独立に同意した。年間約4億5000ギルダーの補助金は2000年までに打ち切りとなった。また1994年にはNS独自で運賃を設定できるようにもなった。インフラ設備は新しく設立したプロレイルに引き継がれ、プロレイルはそれ以降、インフラの管理の費用として年間約10億ギルダーの補助金を受け取ることになった。
NSの貨物輸送部門(旧NSカーゴ)は2003年以降NS所有のものではなくなりDBカーゴ・オランダとして運行されている。
2022年4月3日に技術的な問題によりNSの鉄道輸送はほぼすべて停止するという事態が発生した。民間の会社が運行する列車は何ともなかったそう。
鉄道網[編集]
NSは数十年にわたり、全国で一定間隔で運行している非常に密度の高い路線網で輸送を行っており、多くのヨーロッパ諸国の鉄道のモデルとなっている。1時間に2~4本の列車が国内の主要都市を結んでおり、特にアムステルダム、ロッテルダム、ハーグ、ユトレヒトの4大都市間では1時間に最大12本運転されている。
オランダ国内の鉄道網の大部分が電化されている。一部区間を除き直流1500Vである。
構造[編集]
Nsは主に5つの事業に分かれて運営している。NS Reizigers、NS International、Abellioは旅客輸送を行っている。NedTrainは車両の検査を行っている。オランダの駅はNS Stationsが管理する、
NS Reizigers[編集]
オランダ国内の旅客輸送を担当している。従業員は1万人を超え、売上高は約20億ユーロでNS最大の部門である。オランダの旅客輸送では以下の種別に大別される:
- インターシティ(Intercity(IC)):国内の大都市を結ぶ列車である。
- Sprinter:地域列車(普通列車)のオランダでの愛称。
- Sneltrein:インターシティよりやや停車駅が多い。近年は民間の会社のみで運行され、NSではインターシティやSprinterに置き換えられている。
日本の急行と似てるような...
長距離列車(国内列車、国際列車)は全てNS Reizigersによって運行されている。地域列車は、地方によってはケリオス・オランダ、ヴェオリア、アリーヴァが運行している。
NS International[編集]
高速輸送と国際輸送を担当している。現在はNS Reizgersに統合されている。
国際的な接続はヨーロッパの各鉄道会社と共同で運行している。ドイツ鉄道とはICE78がアムステルダムとフランクフルト・アム・マインを2時間おきに運行し、スイスのバーゼルまで運行されることもある。またIC77(ICベルリン)がオスナブリュックとハノーファーを経由してアムステルダムとベルリンを2時間おきに運行している。 シティ・ナイト・ラインウィーン、コペンハーゲン、ベルリン、プラハ、チューリッヒ、ミュンヘンへの列車も運行されている。2020年のコロナウイルスより以前はアムステルダム、ワルシャワ、ミンスク、モスクワを結ぶユーロナイトも運行されていた。またフランス国鉄と共同でアムステルダムからブリュッセルやパリへ向かうタリス列車も運行される。アムステルダムからブリュッセルへはIC Brusselとして機関車牽引で運行している。
Abellio[編集]
主に地域輸送やバス輸送を行っている。また海外でも運行を行っており、イギリスなどでも活動をしている。かつてはチェコでも活動していた。
ドイツで事業を行うAbellio Deutschlandがドイツでの事業で損失が多くなったためBeNEX社に2024年に買収された。
NedTrain[編集]
NS Reizigersなどその他の鉄道会社の車両の検査を行っている。列車の近代化も行っている。
NS Stations[編集]
インフラ会社であり、400以上の旅客駅を管理している。毎日約220万人の利用者がこれらの駅で乗降する。
サービス[編集]
ヨーロッパにおいてNSの列車遅延に対する払い戻し制度は模範的とされている。長距離輸送でも地域輸送でも30分以上の遅延では運賃の50%、1時間以上の遅延には運賃全額を払い戻す。停電や線路工事など事前に発表されていた場合と2.3ユーロ未満の払い戻しは出来ない。
車両[編集]
1958年初めて3737号機関車が最後の蒸気機関車による運転を行い、ヨーロッパで初めて蒸気機関車による運行を終了した。1940年代以降NSでは旅客輸送に電車を使用してきた。しかし、近隣諸国の電力システムに対応していないために、国際列車はほとんど交換が可能な電気機関車による運行であった。しかし1996年以降、タリス列車がベルギーとフランスに乗り入れ、2000年からはICE 3M車両もドイツに乗り入れる。
- 主な車両
→オランダ鉄道の車両を参照。