トロリーバス
トロリーバスとは架線より得た電流で電動機を回転させて走行する旅客用車両のことである。
名称[編集]
道路の上に架線を張り、架線からトロリーポールなどの集電器を使用した給電を受けて駆動する旅客輸送用車両である。
軌道上を走行せず、道路上を走行するが、日本の法律では、「バス」は「旅客用大型自動車」であり、「自動車」とは、「架線及び軌道に拠らずして原動機で走行する原動機付自転車以外のもの」となるので、架線によって走行するトロリーバスは自動車ではなく、バスに分類されないので日本語では「無軌条電車」といわれる鉄道車両となる。
しかし、トロリーバスは名前に「バス」とあるように、バスの仲間ではある。
概要[編集]
1928年(昭和3年)に兵庫県東部の新花屋敷トロリーバスが開業する。その後、1930年代に京都市、1951年(昭和26年)ごろに川崎市や大阪市、東京都、横浜市、名古屋市で相次いで開業した。一説によると軌条の必要な路面電車よりも経費が安かったためだとされる[1]。
昭和40年代になると車の量が増えたり地下鉄の建設予定が持ち上がったりして、日本国内では次々と姿を消し、1972年(昭和47年)の横浜市の廃止で都市部では消え、最終的に黒部ダムにある1964年(昭和39年)開業の関西電力と1996年にディーゼルのバスから転換した立山黒部貫光を残すのみとなっていた。なお黒部ダムでは長大トンネルの排気ガス対策から電気を使うトロリーバスを採用したという経緯がある[1]。
関電は2018年12月1日に廃止され、立山黒部貫光も2024年12月1日で廃止することが決定した。少量生産のため、部品の交換に困難をきたしてるのがその理由だという。両者とも今後は電気バスを使用する[2]ことになる。
なお、中国や欧州では、現在もトロリーバスが交通の一翼を担っている都市がある。プラハでは、勾配がきつく路面電車に向かない道路で、2018年にトロリーバスが新規開業した[3]。
特徴[編集]
バスとの違い[編集]
エネルギー源を、車内ではなく架線から供給する形となる。そのため、バスの車体そのものは安価である。一方、架線を張らないといけないので、設備コストは高い。そのため、輸送量の多い区間はトロリーバスが、少ない区間はバスが向いている。
また、ディーゼルのバスと比べると、温室効果ガスの排出量が少ないのも大きな特徴である。
路面電車との違い[編集]
走行輪に車輪ではなくゴムタイヤを用いる。路面にレールが必要ではなく、通常のアスファルトの道路を用いる。既設の道路に路線を敷く場合、路面をそのまま活用できる点に加え、急勾配にも対応できる点が長所。一方、ゴムタイヤを用いるため電力消費が大きく、タイヤの交換が頻繁に必要になる点も短所である。また、+極と-極それぞれの架線が必要となるため(路面電車はレールが-極の役割を果たすため+極の架線だけでOK)、架線コストが高く町の景観にも悪い点も欠点。
AGTとの違い[編集]
専用道路が必須でなく、普通の車道を用いることができる点が長所。一方で、集電靴での集電は一般の車道では使えず、架線を張って高さ方向の広いスペースを必要とする点や、ガイドウェイバスのように専用道で集電靴が使える場合でも、帰線用の架線か第四軌条の敷設を必要とする点が短所。自動運転できないことも短所であるが、今後改善される可能性がある。
トロリーバスが現在走っている国[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注
- 出典
- ↑ a b 黒部ダム 日本唯一のトロリーバス2023年11月5日閲覧。
- ↑ 日本経済新聞 国内最後のトロリーバス廃止へ 立山黒部、2024年12月2023年12月12日閲覧。
- ↑ 今さら復活「トロリーバス」に隠された新技術