電動機

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

電動機(でんどうき)とは電気エネルギーを機械エネルギーに変える機械である。

概要[編集]

磁場の中で鉄心の周りにnか所(n≧2)以上巻いたコイルに電流を流すとコイルの中の鉄心が磁化して磁場と誘引、あるいは反発して1/n回転する。鉄心を支えているブラシと鉄心側の整流子の接触している箇所がスリットで分断されており、再び電流が流れて磁化して1/n回転する。これの繰り返しで鉄心とその周りに巻いたコイルが回転する。これが電動機である。使用する電流によって直流電動機と交流電動機がある。

直流電動機[編集]

磁極の励磁の方法で他励式と自励式がある。

他励式[編集]

電機子の電源とは別に他に直流電源を用意して界磁巻線と可変抵抗器を直列に接続し、界磁巻線を励磁する。

自励式[編集]

電機子と界磁巻線は同じ直流電源を使用して界磁巻線を励磁する。

  • ①直巻電動機
    • 界磁巻線を電機子に直列に接続する。
  • ②分巻電動機
    • 界磁巻線と界磁抵抗器を電機子に並列に接続する。
  • ③複巻電動機
    • 直巻界磁巻線を直列に、分巻界磁巻線と界磁抵抗器を並列に電機子に接続する。

交流電動機[編集]

交流発電機とほぼ同じ構造だが、交流電流を運動エネルギーに変換する機械が交流電動機である。

  • ①.誘導電動機
    • 三相交流で使われる。安価、軽量で構造の簡単なのが特徴である。コイルに流された三相交流で作られた回転磁界の磁場の中で導体が引っぱられて回転する。コイルは一つよりも複数あった方がより多くの磁場を発生させるので糸車のような形になる。これをかご形回転子という。
  • ②.単相誘導電動機
    • 家庭内で使われる電化製品に使われる単相交流で回転する誘導電動機である。
  • ③.同期電動機
    • 同期発電機の電機子巻線に交流を流すと電動機になる。内部の回転子は直流励磁で電磁石となっており[1]、周囲のコイルに電流が流れて磁場を帯び、反発しあって回転する。回転する速度が常に一定である。
  • ④.交流整流子電動機
    • 直流直巻電動機と同じ構造である。直流、交流いずれにも使用できる電動機である。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 堀孝正『パワーエレクトロニクス』オーム社出版局2002年2月25日第1版第7刷発行
  • 酒井善雄『電気電子工学概論』丸善株式会社
  • 力武常次、都築嘉弘『チャート式シリーズ新物理ⅠB・Ⅱ』数研出版株式会社新制第11刷1998年4月1日発行
  • 矢野隆、大石隼人『発変電工学入門』森北出版株式会社2000年9月13日第1版第4刷発行
  • 西巻正郎・森武昭・荒井俊彦『電気回路の基礎』森北出版株式会社1998年3月18日第1版第12刷発行
  • 電気学会「電気学会大学講座電気機器工学Ⅰ」社団法人電気学会2002年1月31日14刷発行

脚注[編集]

  1. 同期機の界磁はごく小型のものに永久磁石を用いることがある。