タクシー
タクシー (TAXI)とは、好きな場所から乗れて好きな目的地の場所まで乗り換え無しで人を運んで行くことが出来る公共交通機関。
概要[編集]
線路と駅のある場所にしか行けない鉄道、バス停のある決まった場所・ルート内でしか乗り降りできない(フリー乗降区間など、ごく一部の例外あり)路線バスと異なり、高い賃走料金が認可されている。なお、路線バスを小型にした運行形態の乗合タクシーもある。
日本では、法人が運行する法人タクシーと自営業の個人タクシーの2種類がある。法人タクシーは47都道府県全部の全域で見られるが、個人タクシーは茨城県、山梨県、鳥取県、島根県の4県において存在しないといわれている。中山間地域では法人タクシーの営業すらままならない地域もあり、NPO法人運営のタクシーもある。
歴史[編集]
日本では大正元年(1912年)8月5日、東京市麹町区の有楽町に「タクシー自動車株式会社」が設立されたのが、タクシーの起源である。当時はT型フォード6台しかなかった。タクシーメーターも整備され、料金は最初の1マイル(1.6キロ)が60銭、そして半マイルごとに10銭が加算される仕組みであった。
使い方[編集]
- タクシー乗り場に止まっているタクシーに乗る
- 街中を空車で走っているタクシーを呼び止める
- 電話なりスマホアプリで指定の場所へ呼ぶ
上記の3つのうち、どれか一つを選ぶ。乗ったら目的地の名前または住所を伝えればOK。
その気になれば東京から大阪、青森など片道100kmオーバーの利用も可能だが、現在使われている車種の航続距離の関係上途中で何度も燃料補給のため停車することは必至だし、場合によっては断られてしまう事も。
タクシー乗り場は各地にあるが、普段タクシーが停まっていない乗場も珍しくない。またタクシー乗り場は、スマホアプリで乗場指定が禁止されていることが多く、電話しか呼ぶ手段が無いことも多い。
なお利用方法の2番目に挙げた「町中を空車で走っているタクシーを呼び止める」だが、ある一定以上の規模を持つ都市でないと使えない。これは田舎だと自家用車の普及率が非常に高く、ちょっとした移動は大抵自家用車で済ませてしまうために流し営業をして利益を上げるのが非現実的なため。ほぼ流し営業だけで利益が上がるのは東京などの超大都市だけである。そうした田舎の地域では、3番目の「電話やスマホアプリで呼ぶ」場合も長時間待たされることが珍しくない。
料金は距離と時間で決まる。例えば東京23区を営業エリアに持つタクシーだと乗車してから1096m進むまでの運賃は500円である。以後は255m進む毎か時速10km以下で進行或いは停止中は1分35秒毎に100円ずつ上がっていく。渋滞に巻き込まれると通常なら初乗り運賃で済む距離なのに倍以上の金額になることがある。
夜10時・11時以降から朝の5時くらいまでは割増料金が適用されるため、昼間よりもメーターの回転が早くなる。業界用語で青タンと呼ぶが、この時間帯になると昼間と同じ距離で乗っても運賃が高くなる。
高速道路・有料道路を利用して欲しいというリクエストは通るが、通行料金が降車時に運賃と一緒に請求される。高速道路等の有料道路を通行中はタクシーメーターに「高速」の表示やランプがつき、その間は停止中の料金加算はされない。なお、通行料を運転手が払え!と要求すると警察を呼ばれます。
料金の支払方法は以下の6種類。
まず最もオーソドックスな現金払い。全てのタクシーで使える。ただし運転手の釣り銭の用意の関係上、料金が4000円を超えない場合は1000円札や小銭での支払を推奨。
続いてタクシーチケット。降車時にチケットに金額を記入することで後日指定の口座から料金が引き落とされるというもので、個人が使用することは出来るのだが、入手は非常に難しい。本来の用途は営業マンの外回り、会社役員の通勤・帰宅時の支払用途などだから当然といえば当然。
3つ目のCABカード。これはタクシーチケットのICカード版で、カードを決済機に差し込んで暗証番号を入力することで支払いが出来るというもの。こちらは個人での入手は不可能に等しい。
4つ目の電子マネーは地方の会社や個人タクシーでは対応していない例が多い。
5つ目のクレジット・デビットカードは地方・個人タクシーでも対応が進んでいる。かつてはインプリンタと呼ばれる番号の転写装置が主流であった。なお、地方のタクシーなどで見られることもあるという。
最後のプリペイドカードは一部の会社が導入している。
なおタクシーチケットの変形として、名刺に日付と乗車区間を書いて後払いにするという物もある。
運賃・料金[編集]
運賃は時間と距離を併用して計算する方式が一般的だが、高速道路上では時間で運賃を計算せず、距離のみで運賃料金を計算する。定額タクシーのように、あらかじめ指定された区域同士間の乗車であれば区域内での発着地点・ルート関係なく一定の決まった運賃とするものや、前もって予約をすることで時間いくらという形で計算する時間運賃がある。
料金としてよく設定されているものは電話・アプリで呼んだ場合にかかる迎車料金、特定の車種を指定して配車を依頼した場合にかかる車種指定料金、早朝の稼働車両数が少ない時間帯に配車を依頼した場合にかかる早朝予約料金などがある。
働く人々[編集]
タクシーを運転して利用者を輸送するタクシードライバーの他、車両の整備を担当する整備士、運行管理者、配車依頼の電話に対応するオペレータなど大勢の人々が働いている。
タクシードライバーの給与は多くの所が月々の売上に対する歩合制で、会社側は稼働する台数が増えれば増えるほど売り上げもどんどん増える。しかし各ドライバーからするとライバルが増えることになり、需要を食い合って1人あたりの売上は落ちていく。そのためタクシーは少し足りないぐらいの台数が適正供給数であるとよく言われる。
車両[編集]
車種[編集]
タクシーに使われる車両は法人タクシーだと燃料費の関係でLPGを指定燃料とするLPG車を含む以下の車種が多い。
一方、個人タクシーについてはオーナーの好みで車両を選べるため、クラウン・センチュリー・フーガ・シーマ・アクセラ・レクサスなど法人タクシーの車両よりもグレードの高い車種が使われる事が多い。長距離乗車を考える利用客は乗り心地のいい個人タクシーを狙って乗る事も多い。なお、北海道の個人タクシーでスバル・レヴォーグを使用している例がある(STI仕様かつHKSの社外マフラー装備)。
2017年にクラウンセダン、クラウンコンフォート、コンフォートの販売が終了し、ジャパンタクシーへ移行した。ジャパンタクシーはシエンタをベースにしたミニバン車で、広い室内空間を活かして車椅子がそのまま乗せられるのが特徴。動力系もLPガスと電気のハイブリッドで環境にも優しい。
今後法人タクシー車両の代替はジャパンタクシーが主流となり、セダンタイプは数を減らしている。一方、バリアフリータクシーとして導入が行われたNV200だが、2021年にタクシー専用モデルは販売を終了した(通常のNV200は生産継続)。
地方部でもLPG車を使用している所が多いが、近年はLPGスタンドの廃業が相次ぎ、ガソリンハイブリッド車を導入している所も多い。
燃料等[編集]
燃料は法人タクシーの場合、LPガス、天然ガス、個人タクシーの場合はガソリンなどが主流。法人タクシーでLPガスを燃料に使う理由は簡単。燃料費が安いからである。
一時エコカーブームでプリウスなどのハイブリッド自動車がタクシーに導入されたが、トランクや後部客席が狭いのと運転のしづらさなどから爆発的に普及はせず、細々と運用されている。