タクシーメーター
タクシーメーターとは、タクシーに装備されている機器であり、走行距離や時間に応じて運賃を表示するメーターのことである。
概要[編集]
タクシーのセンタークラスター付近に設置されることが多く、客席となる後部座席から見やすい位置に設置されている。スーパーサインやプリンター、行灯やETCと連動することができるのが一般的。料金の計算以外にも空車と実車のそれぞれの走行距離や料金の加算回数などが記録されており、不正が発見しやすい仕組みとなっている。
デジタルタコグラフと一体化した機種も存在する。
機能[編集]
運賃の自動計算のほか、22時~5時までの深夜自動割増し機能(だいたい2割増しが多い)がついていることが多い。また、長距離割引を設定している会社の場合はそれも自動で計算する。貸切機能についても現在の経過時間を表示するものもある。 通常はプリンターは別体式であることが多いが、一部の機種はプリンターと表示器が一つの筐体のものもある。
会社の仕様で様々な機能が追加されることもあり、同型の機種でもボタン配置や機能の有無が異なることも珍しくない[注 1]。近年はボタンレスのフルディスプレイタイプのタクシーメーターが増えているため、機能の追加が容易になっている。
主なボタン[編集]
- 空車
- 乗客を降ろした後、メーターをリセットするためのボタン。機種によっては空車状態で空車ボタンを押すと画面に時計が表示されることもある。
- 賃走・実車
- 乗客が乗り込み、走り出す前に押すボタン。このボタンを押すとメーターに初乗り料金が表示され、距離・時間に応じて料金が加算されていく。
- 支払
- 目的地に到着し、料金精算を行う際に押すボタン。このボタンを押すと時間による計算がストップし、走行距離のみで運賃が加算されていく。ただし支払ボタンを押して走ると警告ブザーが鳴ることが多い。
- 合計
- 高速道路の通行料金や遠距離割引などを合算し、最終的な金額を表示するボタン。
- 高速
- 高速道路へ出入りする際に押すボタン。時間による計算がストップし、走行距離のみで運賃が加算される。フルディスプレイタイプでは実車状態でないと表示されない事もある。
- 障割
- 障害者手帳を持つ利用者が乗車し、手帳の提示を受けた場合に押すボタン。
仕組み[編集]
原理はとても単純であり、車速パルスの入力回数と時間により速度・距離を算出している。停車中の加算についても、車速パルスの間隔が一定以下の場合に切り替わって計算する(ニシベの機種の場合、時計マークがつくことが多い)。そのため、自動車の配線にある程度の知識があるものなら簡単に取り付けることができる[注 2]。
メーターの表示内容[編集]
表示部には以下の表示がある
- 料金表示
- 料金上がり予告
- 送迎料金表示
- 現在のモード(空車/実車/高速/割増しなど)
封印[編集]
タクシーメーターには封印と呼ばれるものがあり、タクシーメーターの検査に合格した際に取り付けられる。これが取り付けられる場所には運賃計算に必要な係数を操作する場所であることが多い。封印には有効期限があり、検査のたびに封印を取り換える。
よくある誤解[編集]
よくあるタクシーメーターの勘違いとして、料金を不正に釣り上げる裏コマンド的なものが存在すると思われがちであるが、当然そういう類のものはなく、ボタン一つでメーターが回るようなボタンもない。上記で述べた通り、走行距離以外にも料金の加算回数も記録されているため、車の走行距離や時間と照合すればすぐに不正がわかってしまう。数十円から数百円程度の不正利益で行政処分や懲戒処分のリスクを負うドライバーは少ない。 この場合はいつもより道が渋滞していた・信号にいつもより多く引っかかったということが多い。距離加算は変わらないものの、いつもより停止時間が長い分時間加算が上乗せされるためである。 また、「高速」の表示は時間加算の停止を意味しており、高速道路等においては時間加算をしてはならないことからこの機能がついている。そのため、「高速」の表示があるからと言って料金が高くなるわけではない。なお、高速料金は乗客が支払う必要があるため、運賃とは別に請求される[注 3]。
なお、上記で記述している「封印」がないタクシーメーターを装備していたり、ナンバーが事業用ではない「白タク」の場合はこれらの常識が通用しないこともある。
メーカー[編集]
- 矢崎総業 アロフレンドシリーズなど
- ニシベ ルミナスなど
- 二葉計器株式会社