トヨタ・クラウンコンフォート

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クラウンコンフォート(CROWN COMFORT)は、トヨタ自動車が開発、販売していた乗用車。

タクシー向けに開発された営業車で、クラウンの名を持つが、本家のクラウンとの結びつきは弱い。

概要[編集]

クラウンコンフォート(CROWN COMFORT)
ボディタイプ4ドアノッチバックセダン
形式YXS10
GXS10
TSS10
駆動方式後輪駆動
トランスミッション4速MTまたは4速AT
全長4,695mm
全幅1,695 mm
全高1,515 mm - 1,525 mm
エンジン3Y-PE型直列4気筒ガスミキサーLPGエンジン
→1TR-FPE型直列4気筒液体噴射式LPGエンジン
1G-GPE型直列6気筒液体噴射式LPGエンジン
総排気量2,000 cc
使用燃料液化石油ガス(LPG)

1995年12月にそれまでタクシー用として販売されていたYS130系クラウン営業車及びYX80系マークⅡ営業車の後継車として姉妹車種のコンフォートと共に発売。

コンフォートの全長を105mm延長して後席足元スペースを広げ、中型タクシーの規格にサイズアップしたもの。「クラウン」と名前がついているが、ベースはあくまでもX80系マークⅡであり、本家クラウンとの結びつきは弱い。ただしフロントにはクラウンシリーズでおなじみの王冠のエンブレムが装着され、ホイールキャップにも王冠がデザインされていることからクラウンのイメージを崩さないようになっている。

姉妹車種のコンフォートと同じく、後席やトランクを可能な限り広くし、運転席周りではタクシーメーター、無線機、タコグラフの搭載スペースを設け、少ない視線移動で左右後方の確認ができるフェンダーミラーを装備し、エンジンは燃料費の安いLPG仕様とするなどタクシーに特化した設計が特徴。本車を含めたコンフォート系は車体のスポット溶接の箇所を減らしてわざと剛性を落とすことで自家用車の4倍以上である40万キロ走行にも耐えられる設計としているのが特徴である。

国外では日本と同じ左側通行圏の香港・マカオ・シンガポールへも輸出され、シンガポール向けは現地の燃料事情に配慮してディーゼルエンジンを搭載していた。国外向けはドアミラーが装着出来る他、香港・マカオ向けは姉妹車種のクラウンセダンとほぼ同一のリアデザインとなっているなどの違いがあった。ただ国内向けでもドアミラーを特注で装着した事例がある。

グレードは直列4気筒エンジン搭載で最下級グレードのスタンダード、内装がスタンダード相当で外観のみデラックス相当としたデラックスAパッケージ、4気筒エンジンの最上級であるデラックス、直列6気筒エンジン搭載でタコメーター装備のスーパーデラックス、スーパーデラックスに起毛地シートやウッドパネルなどを装備するスーパーデラックスQパッケージが設定されていた。主に4気筒エンジン車は台数を必要とする法人タクシー向け、6気筒エンジン車は快適性が売りの個人タクシー向けという扱いだったが、スーパーデラックスとスーパーデラックスQパッケージは2001年にクラウンセダンへ統合する形で廃止された。

また特装車として後部座席がドア側に回転し、身障者や高齢者が楽に乗降できるウェルキャブ仕様、式場に向かう文金高島田の花嫁の角隠しが乗降の妨げとならないよう後席左側の屋根を上に開ける事が出来るブライダルタクシー仕様、起毛地シート仕様が設定されていた。

型式は4気筒エンジンの3Y-PE装備車がYXS10、同じく4気筒エンジンの1TR-FPE装備車がTSS10、6気筒エンジンの1G-GPE装備車がGXS10。

歩行者衝突安全規制の強化に伴い、2017年5月を以て新規受注をストップし、2018年1月を以て生産を終えた。

主なモデルの変遷[編集]

  • 1995年12月 - 姉妹車種のコンフォートと共に発売
  • 2000年1月 - 衝突安全ボディGOAを採用し、エアバッグ装着車のステアリングホイールデザインが変更される。
  • 2001年8月 - クラウンセダンがモデルチェンジで本車の姉妹車種となったため、スーパーデラックス・スーパーデラックスQパッケージを廃止。エアコンがオプションから標準装備へ格上げされ、エアコンレスがオプションへ格下げされる。
  • 2007年8月 - 4速コラムシフト式マニュアルトランスミッションを廃止し、香港・マカオ向け仕様車の外観をクラウンセダンに準じたものとする。
  • 2008年8月 - エンジンがガスミキサー式の3Y-PEからガス液体噴射式の1TR-FPEとなり、出力向上と環境性能が向上する。同時に型式がTSS10となり、エアコンレス・エアバッグレスが廃止される。オートマチックトランスミッションも電子制御化され、シフトレバーがコラムシフトからフロアシフトとなる。この変更により前席ベンチシート6人乗り仕様車も廃止となる。
  • 2013年10月 - 横滑り防止装置・トラクションコントロール・タコメーターが標準装備化され、メーターに照度コントロール機能を追加。この変更でタコグラフ装着スペースを廃止。タコグラフはグローブボックス内に設置するか、タクシーメーター一体型のものを設置する。
  • 2018年1月 - オーダー分の生産を終了。