コンピューター
コンピューター(英:Computer)とは、人間に代わって複雑な計算を行う計算機をいう。古くは「計算者」の意であった(ヨハネス・ケプラーなど)が、計算機の普及によって死語となっている。人間にとって面倒なことである計算を、早く正確に行うことができる。コンピュータと伸ばさない表記が後から主流になった[1]。
現在のところ、ノイマン型の EDPS(電子的データ処理システム)を指すことが一般的であるが、過去にはアナログコンピューターという電子回路(ディジタルデータではなく電圧などを利用する)もあった。
概要[編集]
初期のコンピューターは歯車式で、機械的に計算を行なっていた[2]。その後、真空管や半導体など電子的な仕組みを用いるようになった。弾道計算やマンハッタン計画で用いられていた話は有名[3]だが、物理学者のリチャード・ストールマンの自伝によると、マーチャント式の計算機によって計算したという。
コンピューターの構成要素としては、物理的な実体を持つ「ハードウェア」と、物理的な実体を持たない「ソフトウェア」に分けられる。なお、「日本で最初のソフトウェア科学者」は「元祖ハッカー」として知られる和田 英一であり、「ハードウェア(金物)」の対義語として「ソフトウェア」と命名したという。のちに海外でも「ソフトウェア」という言葉が使われるようになったが、「誰でも考えることは一緒なんですねぇ(笑)」と語っていたという。
現時点での基本的なアーキテクチャ[編集]
現時点においては、いわゆる「ノイマン型の EDPS」が主流であるため、それについて述べる。
「CPU(中央演算装置)」「RAM(ランダム・アクセス・メモリ。番地づけられた記憶装置)」「バス・システム」「入出力装置(I/O)」の四つからなる。
基本的には、「メモリからデータを(CPUの)レジスタに引っ張ってきて処理してから、メモリに格納する」というのが基本的な動作である。そのため必ずバス・システムを通過しなければいけないので、「フォン・ノイマンのボトルネック」と呼ばれるが、「ボトルネック」は流量を調整するという機能を負っているため、誤用である。
代表的なハードウェア[編集]
機械式・電気式・電子式など各種ある。
歯車[編集]
機械式ハードウェアで一般的に用いられる。歯の数や歯車の形を利用して、各種計算が行えた。電子式に計算する手法が主流になってからは廃れたが、キャッシュ・レジスターなどでは現在でも使われている。骨董的な価値がある。
流体素子[編集]
機械式ハードウェアの一種で、「そういうものも昔はあった」といった扱いになっている。
真空管[編集]
電気式コンピューターに用いられた。 耐久性に問題があったため、マンハッタン計画の時点で「保守が間にあわない」という話があり、のちに半導体に取って代わられた。
パラメトロン[編集]
ドーナツ型の磁気コアのパラメータ発振を利用した記憶素子。
トランジスタ[編集]
いわゆる「半導体」。
IC[編集]
集積回路。
- CPU(中央演算処理装置)
詳細は「CPU」を参照
- シリコンで出来た電子回路により各種計算を行う。
- 基本的にメインメモリ上のデータにアクセスするが、L1キャッシュ、L2キャッシュといったキャッシュも備えている。
- 8ビットCPUや16ビットCPU、32ビットCPUや64ビットCPUという呼ばれ方は、そのCPUが一度に扱えるデータ量と関連している。
- 例1) 8ビットCPU:Intel 8008、Zilog Z80、モトローラ 6809 など。
- 例1)16ビットCPU:Intel 8086など。
- 例2)64ビットCPU:Intel Core i3、Xeonなど。
現今において普及しているハードウェア[編集]
ケース[編集]
電源とバス・システム、放熱用のファンなどを収納する躯体をいう。各種ハードを繋げる役割を担っている。少なくともマザーボードは必須である。
機能拡張用のスロット等を多数備えており、メモリ、グラフィックボード、LANボードの差し込み口もケースに設けられており、各種機能を拡張できる場合が多い。
- バス・システム
- 大きく分けて、「アドレス・バス」「データ・バス」「コントロール・バス」に分類されるが、電源線はいずれにも属さないという見解もある。アドレスバスは RAM のアドレスを指定し、データバスはデータを転送し、コントロールバスはクロック信号などを伝えてタイミングの同期を行う。
基盤[編集]
- マザーボード
- 通常、CPUが実装されている。
- コンピューターの電源投入時にはまずマザーボードが起動し、BIOSと呼ばれる制御プログラム(ブートローダーともいう)が起動し、各種ハードのチェックが走る。異常があるとビープ音が鳴ったりする。
- コプロセッサ
- 数値演算などに用いられる。あまりボードとして頒布されているという例を知らない。だいたいマザボに載っている。
- グラフィックボード
- マザーボードと外部モニターの間に介在する、映像処理用の基板。各種演算が行えたりする。
- マザーボードにオンボードで実装されていたり、CPUに内蔵されていたりする場合もある。
- ビデオカードとも呼ばれる。
- いわゆる「サーバ」にはグラボが搭載されていないため、パソコンで作ったサーバー・サイド・アプリケーションをサーバにもってゆくと、グラボにアクセスしていきなり落ちたりする。それを避けるために起動の際に -headless オプションを指定すると、こんどはいきなり遅くなる。
- メインメモリ、物理メモリ(主記憶装置)
- シリコンで出来た電子回路によりデータを記憶する。CPUが直接情報を読む事が出来る。
- 補助記憶装置に比べると高速で読み書きが出来るが、電源が落ちると全てのデータが消えるという特徴がある。
- 記憶装置全体を机に例えると、主記憶装置が机の上、補助記憶装置が引き出しに相当する。
- ストレージクラスメモリ
「二次記憶」ともいう。
- 主記憶装置と補助記憶装置の速度差を補うべく、注目されるようになった不揮発性メモリ。
- こちらもキャッシュのようで、SSDよりも速度が早い模様。
- ストレージ(補助記憶装置)
- HDDやSSD、USBメモリなど。主記憶装置に比べると、データの読み書き速度は劣る。
- コンピューターに電源が投入された際には補助記憶装置から主記憶装置にOS等の動作に必要なプログラム等のデータがロードされる。
- コンピューターの電源OFF時にもデータを記憶している。
- 主記憶装置の容量が足りなくなると、「仮想メモリ」といって、一部のデータを主記憶装置に変わって記憶する機能がある。これが頻繁に発生するようなコンピューター構成だと、補助記憶装置と主記憶装置の間でのデータのやり取りが頻繁に発生し、コンピューターとしての動作速度が落ちる。
- 特にアクセスの多い業務用コンピューターではHDDの読み書き速度がボトルネックになる事が早期に判明し、SSDへの切り替えが進んだ。個人用のパソコンでもHDDではなくSSDにOSを入れると起動速度が改善される事例が多い。
- 記憶装置全体を机に例えると、補助記憶装置が引き出し、主記憶装置が机の上に相当する。
- LANボード
- マザーボードとネットワークケーブルの間に介在する、ネットワーク接続用の基板。マザーボードにオンボードで実装されていたりする。Network Interface Card、NIC、ニックと呼ばれる事もある。
ケース外にあるもの[編集]
ここでは旧 Mac やノートパソコンは除外する。
一般的なソフトウェア[編集]
一口にソフトウェアと言うと、プログラミングされたプログラムを指す。
用途別に分類でき、オペレーティングシステムやアプリケーション、表計算ソフト、文章作成ソフト、テキストエディタ、各種ゲーム等が挙げられる。
何か新しいハードウェアを使用する際にインストールするドライバやファームウェアもソフトウェアに分類できる。
その他[編集]
電源、バス・システム、CPUクーラー、等、コンピューターのシステム的には必須でも、情報処理や計算には直接介在しないパーツは「ハードウェア」には分類されないこともある。「ケース」の項を参照のこと。
脚注[編集]
- ↑ jawp:ノート:コンピュータ#「コンピュータ」と「コンピューター」
- ↑ jawp:機械式計算機とか。「マーチャント式」という呼称もある。「タイガー式」などもそこそこ有名だが、原型はパスカルが設計した「パスカリーヌ」とされている。
- ↑ jawp:ENIACとか。