国鉄クモユニ143形電車
製造所 | 近畿車輛 |
製造年 | 1981年 |
製造両数 | 4両 |
廃車年 | 2019年 |
主な走行路線 | 身延線 信越本線 房総各線 |
主な運用 | 荷物・郵便・新聞輸送 |
所属車両 センター | 沼津機関区→長岡運転所→ 長野総合車両区(1・3) 東京総合車両センター(2) 小山電車区(4) |
国鉄クモユニ143形電車 (こくてつくもゆに143かたでんしゃ)は、日本国有鉄道が設計、開発した郵便荷物合造車である。
登場に至った背景[編集]
旧性能電車で運行されていた身延線の新性能電車への置き換えのため、旅客車は新造の国鉄115系電車に置き換えられた。郵便荷物合造車については既に国鉄クモユニ74形電車や国鉄クモユニ82形電車が存在したが、改造種車の国鉄モハ72形電車が老朽化で引退しており、本形式が新造された。
概要[編集]
車体構造は国鉄クモニ143形電車とほぼ同じであるが、郵便輸送と仕分けを行うための天井に狭い間隔で扇風機が3機設置されている郵便室がある。同時期に在来車を改造して登場した国鉄キユニ28形気動車や国鉄スユニ50形客車と同じ非冷房車で車体構造である。同じ1M方式で旧性能電車である国鉄クモユニ74形電車や国鉄クモユニ82形電車とは窓配置が異なる。 登場時は115系2000番台と同じ塗装だったが、当時の国鉄としては異色のワインレッド(赤2号)に白帯(クリーム10号)の通称「身延色」として登場した。この身延色は後の国鉄分割民営化後の地域色の先駆けとも言われる。
運用[編集]
- 身延線
115系2000番台の登場により一気に近代化した身延線で荷物・郵便輸送を行うために登場した本区分。旧型国電であったクモハユニ44形を置き換える目的で製造された。閑散区向けとして郵便室、荷物室がそれぞれ半室ずつの「クモユニ」とされた。
クモニ143形に準じているものの、中央本線よりも小さい狭小トンネルに対応するためにさらに屋根を切り欠いた専用屋根となり、143系電車の中では一番切り欠かれているグループとなった。
115系に連結され身延線での荷物・郵便輸送を行った他、東海道線でも間合い運用が存在していた。
1985年3月19日にて身延線での荷物・郵便取扱が終了したため、全車両長岡運転所に転属した。
- 長岡
長岡運転所では当時、国鉄クモユニ74形電車や国鉄クモユニ82形電車といった旧性能電車を使った荷物運用が行われていた。そこで、身延線で余剰となったクモユニ143を投入し、管内の旧性能電車を一掃した。このとき、スノープラウ設置など寒冷地に対応した改造が行われ、順次湘南色に塗り替えられていった。ただし、「クモユニ143−1」のみは身延色で運用を行った。
昭和61年11月1日日本国有鉄道ダイヤ改正で荷物輸送が一部を除き廃止されると、今度は幕張車両区(現:幕張車両センター)へ転属した。
- 幕張
房総半島では当時、道路の整備がなされていなかったので、新聞輸送が改正後も残り、それまで国鉄クモユニ74形電車が使用されていた運用を置き換える目的で転属した。なお、温暖地であるためスノープラウは僅か1年半で外された。
1988年には全車横須賀色に塗り替えられている。なお、「クモユニ143−1」は一度も湘南色になったことがなく、転属してからしばらくは横須賀色に塗り替えられた車両・塗り替えられる前の湘南色・身延色を保つ車両の3塗装が混在しており、マイクロエース社からNゲージ(限定品)で発売されている。
その後、1996年12月1日JR東日本ダイヤ改正で内房線・外房線で行われていた新聞輸送は国鉄113系電車を使用することが決まり、クモユニ143は余剰車となってしまったのである。
その後、「クモユニ143−1・3」は長野総合車両所(現:長野総合車両センター)に、「クモユニ143−2」は東京総合車両センターに、「クモユニ143−4」は小山電車区(現:小山車両センター)に転属した。
1・3[編集]
長野総合車両所・長野総合車両センターに転属した「1・3」は入れ替え用として動いていたクモヤ90形を置き換えた。同時に、双頭連結器の配備、スカートの撤去が行われている。
2018年に松本車両センターから先述の「クモヤ143−52」が転属してきたことにより「3」は余剰廃車。東京・大宮総合訓練センターの訓練用車両に転用された。
残る「1」は長らく入れ替え用として動いていたが、2019年10月に除籍された。これにより、最後の荷物・郵便車両の「クモユニ」は消滅した。
2[編集]
東京総合車両センターに転属した「2」は1997年に除籍され、専ら入れ替え用として動いていた。2010年に解体されている。
4[編集]
小山電車区に転属した「4」は長らく大宮に留置されていたが、2000年1月5日に除籍。2003年12月に解体された。
関連項目[編集]