クサガメ
クサガメ | |
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分類 | |
目 | カメ目 |
科 | イシガメ科 |
属 | イシガメ属 |
種 | クサガメ |
名称 | |
学名 | Mauremys reevesii (Gray, 1831) |
和名 | クサガメ (臭亀・草亀) |
英名 | Chinese pond turtle Chinese three-keeled pond turtle Reeves' turtle |
保全状況 | |
IUCNレッドリスト | 絶滅危惧種 (IUCN 3.1) |
形状[編集]
甲羅には3本の線が入っており、後縁に切れ込みがない。ほほに黄から黄緑色の斑紋が入る。
甲羅の背面は茶褐色で黄色の筋がある。
成熟したオスは、全身が黒くなりほほの斑紋が消える。
生態[編集]
自然分布は中国南部や朝鮮半島。北海道や本州、四国、九州、佐渡島、淡路島、奄美大島、壱岐島、三島、対馬などに移入された。流れの緩い川や沼、水田で見られる。岩や丸太の上で日向ぼっこをする。
昼行性で夏は朝や夕に活動をする。
雑食性で、虫や小魚、甲殻類、水草、両生類、エビ、貝を食べる。
6~7月に4~11個の卵を産み、約2カ月後に孵化する。
ニホンイシガメやハナガメ、リュウキュウヤマガメ、ミナミイシガメ、マレーハコガメ、ヨツメイシガメと交配することがあり、ニホンイシガメとの雑種は「ウンキュウ」、ミナミイシガメとの雑種は「プリチャードイシガメ」と呼ばれる。
分類[編集]
クサガメは、ジョン・エドワード・グレイによってEmys reevesiiとして1831年に記載された。
William P. McCordによって1997年に記載されたプリチャードイシガメMauremys pritchardiは、遺伝子調査の結果、ミナミイシガメとクサガメの雑種であったと判明している。
稀に頭が大きいクサガメが現れることがある。この頭が大きいクサガメをMauremys megalochephalaとして別種とする説もあったが、現在は否定されている。
1931年にSmith氏によってクサガメ属(Chinemys)が提案され、カントンクサガメと共にクサガメ属に分類されることも多かったが、2000年以降はクサガメはイシガメ属に分類される。
人間との関係[編集]
乱獲やミシシッピアカミミガメとの生存競争により数を減らしている。
小賀野大一によると学校でカメを飼育するのに一番適した種はクサガメとしている[1]。
名称[編集]
元々は、「ヤマガメ」と呼ばれていた。
足の付け根の近くから臭い匂いを出すため「クサガメ」という名がついた。
「ゼニガメ(銭亀)」としてクサガメがペットショップなどで売られている。この「ゼニガメ」という名前は、元々ニホンイシガメの幼体と指していたが、現在はクサガメの幼体を指すことが多くなっている。
近縁種のカントンクサガメと区別するために「リーブスクサガメ」という名前も存在する。
中国のものは「キンセンガメ (金線亀)」と呼ばれることもある。また頭が大きい個体は「オオアタマクサガメ」と呼ばれる。
種小名の“reevesii“は、ジョン・リーヴスに由来する。
移入[編集]
日本のクサガメは、長らく在来種であると考えられていた。
Yabe, (2003)は、本種を化石が見つかっていない事を指摘した。
Hirayama and Isaji, (2010)は、文献を調べても200年以上前にクサガメが描かれた資料が見つかっていない事から外来種の可能性が示唆した。
Suzuki at al., (2012)は、シトクロムb遺伝子およびコントロール領域の塩基配列変異分析の結果、mtDNA的に中国や韓国のものと完全 or ほぼ一致していると分かった[2][3]。
日本にいるクサガメは、A型・B型・C型の3つの遺伝子型に分かれ、A型は日本各地にいて、特に本州西部と四国にはA型しかいなかった。A型は遺伝子的に朝鮮半島のクサガメと殆ど同一である。B型は東日本と熊本県で見つかっており、中国の個体と遺伝子的に同じ。C型は石川県のみで確認されている。このC型は台湾で販売されているクサガメに近縁とされている[3]。
日本に生息しているクサガメは、18世紀末に飼われていたものが逃がされて定着したと思われる。
また台湾のクサガメも人的移入された可能性が指摘されている。
脚注[編集]
- ↑ 小賀野大一「学校ビオトープへの淡水性カメ類の導入:適する種はクサガメ?」、『亀楽』第16巻、神戸市立須磨海浜水族園、2018年、 16-20頁。
- ↑ Dai, Suzuki; Hidetoshi, Ota; Hong-Shik, Oh; Tsutomu, Hikida (2812). “Origin of Japanese Populations of Reeves' Pond Turtle, Mauremys reevesii (Reptilia: Geoemydidae), as Inferred by a Molecular Approach”. Chelonian Conservation and Biology 10: 237-249. .
- ↑ a b 鈴木大「クサガメ日本集団の起源」、『亀楽』第4巻、神戸市立須磨海浜水族園、2012年、 1-7頁。