近代オリンピック

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近代オリンピック(きんだいオリンピック)とは、フランスクーベルタン男爵の提唱により1896年第1回オリンピック古代オリンピック発祥の地・ギリシャ首都アテネで始まった4年に1度世界各国の都市で行われる世界規模の運動会である。「オリンピック精神は、勝つことではなく、参加することにある」という言葉は有名[1]

概要[編集]

オリンピック憲章第1条は、オリンピックの参加基準に於いて、全世界のアマチュア選手が参加できる権利を有していると宣言し、政治人種宗教による差別は許さないとしている。

問題点[編集]

オリンピックは平和の祭典として位置づけられているが、残念ながら近代オリンピックは、常に国際政治のプロパガンダ(文化宣伝)として利用されることが多い。

オリンピック開催費用の問題について[編集]

近代オリンピックは「開催費用がかかりすぎ」という問題に直面している。歴代五輪の経費を並べてみる。

時代が下る毎に開催費用が膨大になっており、小国国家予算に匹敵する額にまでなっている。多額の費用を賄うために五輪の商業化が進められて政治利用、商業利用が進んでいる。

五輪の商業化問題[編集]

聖火リレーは五輪のシンボル的な存在であるが、実はこのリレーのランナーは金で取引されている。リレーのランナーは距離で分割して有料で販売される。1キロメートル当たり3000ドル(約70万円)を寄付すれば、誰でも聖火ランナーになれる。これは当初は五輪の認知度を挙げることを目的にされていたが、商業化が進められて結局、シンボルの聖火を売り物にする結果となった。

1980年のモスクワオリンピックでは「スポンサー契約制度」が開始される。実はこの五輪の当初は約370社の契約があったが、どの企業も小口の契約だったため、1業種1社に限定することで約30社にまで減らし、代わりに莫大な協賛金を求めた。つまり、大口の独占契約を結ぶことで資金集めをやりやすくしたのである。

そして、放映権料の引き上げも行なわれた。五輪のテレビ放送は世界中の人々が自国を応援するために視聴するので、企業にとっては大きなビジネスチャンスとなり、放映権料は右肩上がりで、1996年には約107億円、2000年には約144億円、2004年には約173億円、2012年には約266億円と上昇し、放映権料は美味しいドル箱と化している。しかし、行き過ぎた商業化によって放映権料の価値を高めるために、お茶の間に放送される時間に合わせて大会スケジュールを変更させる事態まで発生。2008年の北京五輪における水泳で、午前に予選、午後に決勝を行なって選手の集中力を徐々に高めるのが一般的なのだが、放映権を買った会社が自国で視聴率が取りやすい時間に放送するために、午前に決勝、午後に予選とスケジュールを通常とは逆にする、つまり、選手の都合などそっちのけで利権を優先したのであった。

2020年に開かれる予定だった東京五輪も開催費用は7000億円で抑えられるはずが、あらゆる費用のかかりすぎで、いつの間にか総額3兆円にまで達する始末である。新型コロナウイルスで開催時期が延長されているので、これをさらに上回るのは避けられないと見られる。そもそも東京五輪は従来の施設をそのまま利用するはずであったが、自民党や政府が新築路線を提唱し、大手ゼネコン会社に現場を任せたり、IOCへの招致裏金疑惑やロゴの著作権違反問題など、商業化問題が絶えず発生している。

なぜ、五輪で利権問題が起こるのか[編集]

五輪で利権問題が起こる理由として「大義名分が成立しやすい」ということが挙げられる。
日本では1964年1964年東京オリンピックが開催されているが、そのためにかけた費用は1兆円で、当時の日本の国家予算の3割を占めていた。そして、この開催費用で使用された大半がインフラの整備であった。東海道新幹線高速道路上水道下水道など、生活には欠かせないライフラインの整備が「五輪のため」という大義名分を掲げることで行なわれており、つまり大義名分が成立しやすいので利権が発生してその温床が生まれやすいのである。
また、1998年長野冬季オリンピックでは、長野行新幹線が半年前に開業した反面、並行在来線処置で、信越本線が分断され、通学の高校生等が犠牲になる負の側面が生じた。

五輪の政治問題[編集]

五輪は政治利用化されることも多い。1972年ミュンヘンオリンピックでは、パレスチナゲリラ集団が選手村のイスラエル宿舎を襲撃して、11人の犠牲者を出す大惨事となった。また、1980年のモスクワ五輪でもソ連のアフガニスタン侵攻によって西側諸国がボイコットする事態になった。近年では2022年の北京冬季五輪で、中国の政治に抗議すべく外交的ボイコット (閣僚や政府関係者は出席しないが、選手や選手団関係者は通常通り参加) が行われている。

ただ、世界的に注目される国際的なイベントのため、近代五輪では「五輪の政治利用はしない」という方針を大義名分としている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. でも、多くの国で、国内の予選を勝ち上がった人しか参加できない。