鷲尾悦也
鷲尾 悦也(わしお えつや、1938年9月20日 - 2012年2月26日)は、労働運動家[1]。日本労働組合総連合会(連合)第3代会長。弟は歌人の小高賢(本名・鷲尾賢也)[2]。
経歴[編集]
東京都生まれ。東京都立両国高等学校を経て[3]、1963年東京大学経済学部経済学科卒業。八幡製鐵株式会社(のち新日本製鐵株式会社)に入社[4]、人事部に所属[3]。1970年4月新日本本社労働組合協議会副議長、同年10月新日本製鐵本社労働組合書記長に就任[5]、労組専従となる[6]。1974年8月新日本製鐵本社労働組合組合長(1976年8月まで)[5]。1978年新日鐵労連書記長[4]。鉄鋼労連書記次長、宮田早苗衆院議員秘書も務めた[7]。1984年9月金属労協事務局次長(1986年8月まで)[8]。1986年新日鐵労連副会長[7]。1988年9月鉄鋼労連書記長[9]。1990年9月鉄鋼労連中央執行委員長(1994年まで)[1][10]、金属労協副議長(1994年8月まで)[8]。
1990年に連合副会長、1993年10月に連合事務局長となり[11]、初代会長の山岸章、第2代会長の芦田甚之助を補佐[1]。1997年10月連合第3代会長[4]。2001年4月国際自由労連運営委員会議長[12]。同年10月、後任に笹森清を推薦して連合会長を退任[13]。会長退任後、連合国際代表に就任[12]。2009年に旭日大綬章を受章[13]。
2012年2月26日、死去[1]。73歳没。東京都港区の自宅マンションで一人暮らしをしており、連絡が取れないのを不審に思った次男と秘書が自宅を訪ね、居間に倒れている鷲尾を発見した。最近、転倒して頭部を打ち、前日に病院で受診していたという。死因は病死とみられる[13]。
人物[編集]
1976年に鉄鋼労連書記次長を兼務したまま政策推進労組会議の事務局に派遣された[14]。1981年に労組の中堅幹部などを集めた勉強会組織である春秋会を結成し、初代世話人代表を務めた[3][14]。政策推進労組会議、全民労協の事務局で活動した後、連合の事務局長、会長を歴任した[15]。
1996年11月に歌手の美帆さゆみ(当時18歳)とのデュエット「初めまして」(作詩・作曲は藤圭子)をCDシングルとしてバンダイ・ミュージックエンタテインメントから発売した。
1998年4月の民主党結成大会来賓挨拶で「公正、公平な社会の実現をめざす民主党の結成は、われわれにとっても積年の悲願であり、きたるべき参議院議員選挙では全面的に支援する」と表明した[16]。
役職等[編集]
- 財政制度審議会委員
- 税制調査会委員
- 経済審議会委員[3]
- 社団法人教育文化協会初代理事長(1995~1999年)、顧問(2001~2012年)[17]
- 財団法人全国労働者福祉・共済協会(旧全労済協会)理事長(2000年9月~2004年3月)
- 財団法人全国勤労者福祉振興協会(福振協)理事長(2001年9月~2004年5月)[18]
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)理事長(2001年9月~?)[19]、顧問[20]
- 社団法人日本共済協会会長(2001〜2003年)[21]
- 財団法人全国勤労者福祉・共済振興協会(全労済協会)理事長(2004年6月~2009年8月)[18]
- パソナグループ仕事大学校校長(2006年~?)[6]
- 公益社団法人全国老人福祉施設協議会理事(2009年5月~?)[22]
- 独立行政法人国際交流基金監事(2009年10月~2011年9月)[20]
- 学校法人日本社会事業大学理事長(2010年5月~)[23]
- 財団法人松下政経塾評議員[24]
著書[編集]
- 『「連合」のすべて』(山田精吾監修、高梨昌、加藤敏幸共編、エイデル研究所、1990年)
- 『会社本位主義を変える』(奥村宏共著、日本社会党機関紙局[社会新報ブックレット]、1993年)
- 『今こそ前へ――大変革の時代を生き抜く知恵』(樋口廣太郎、堀田力、瀬在幸安共著、法研、1998年)
- 『共助システムの構築――新たなる公共性の創造』(明石書店、2009年)
- 『これから「働き方」はどうなるのか』(竹中平蔵、南部靖之編、[大竹文雄、島田晴雄、鷲尾悦也執筆]、PHP研究所、2010年)
出典[編集]
- ↑ a b c d デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説 コトバンク
- ↑ 「小高賢氏が死去 歌人、評論でも活躍」『日本経済新聞』2014/2/11付
- ↑ a b c d 高木郁朗『ものがたり現代労働運動史2 1993~1999――失われた10年の中で』明石書店、2020年、175頁
- ↑ a b c 鷲尾悦也「敗軍の将、兵を語る 鷲尾悦也氏(連合前会長)組合変革は次代に託す」『日経ビジネス』1124号、2002年1月
- ↑ a b 歴代本部役員 日本製鉄本社労働組合
- ↑ a b 鷲尾悦也 | 人名事典 | お楽しみ PHP研究所
- ↑ a b 法政大学大原社会問題研究所編『日本の労働組合100年』旬報社、1999年
- ↑ a b 金属労協50年史編纂プロジェクトチーム編集『金属労協50年史 新たな50年に向けて「飛躍」(PDF)』全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)、2015年
- ↑ 日本労働年鑑 第59集 1989年版(PDF)法政大学大原社会問題研究所
- ↑ 法政大学大原社会問題研究所編『日本労働年鑑 第61集(1991年版)』労働旬報社、1991年
- ↑ 鷲尾悦也「特別インタビュ-・鷲尾悦也連合事務局長に聞く(前編)「労組の期待する鳩山新党も具体的な政策が示されないと,コミットできない」」『政界』18巻10号、1996年10月
- ↑ a b 厚生労働省労使関係担当参事官室編著『第2版 日本の労働組合――歴史と組織』日本労働研究機構、2002年、131頁
- ↑ a b c 「元連合会長の鷲尾悦也氏が死去」『日本経済新聞』2012/2/27付
- ↑ a b 青木慧『KKニッポン労連』青木書店、1989年
- ↑ コラム:3人のリーダーの死と日本的労使関係/労働政策研究・研修機構(JILPT)
- ↑ 厚生労働省労使関係担当参事官室編著『第2版 日本の労働組合――歴史と組織』日本労働研究機構、2002年、72頁
- ↑ 『ILEC通信』No.31(PDF) 社団法人教育文化協会、2012年4月5日
- ↑ a b 『「絆を紡ぎ未来を奏でる勤労者ネットワークの構築」 : 財団法人全労済協会創立30周年記念誌(PDF)』全国勤労者福祉・共済振興協会、2013年4月
- ↑ 共済商品・サービス最新情報 保険Web
- ↑ a b 選考結果総括表(PDF)内閣官房
- ↑ 人事速報 農業協同組合新聞
- ↑ 平成21年度事業報告書(PDF)公益社団法人全国老人福祉施設協議会
- ↑ 「社事大の新理事長に元連合会長の鷲尾氏」『社会保険旬報』2010年6月11日付
- ↑ 埼玉県新聞販売組合定期総会懇親会 たけまさ公一「今日のたけまさ」(2012年4月23日)