武漢
武漢(ぶかん、ウーハン)とは、中国内陸部の湖北省の省都である。日本の大分県大分市と姉妹都市提携を結んでいる。人口は2020年の時点で約1108万人。市域の広さは日本の兵庫県ほどである。2019年末から2020年にかけてCOVID-19の最初の感染が起きたことで一躍有名になった。武漢とはその昔にこのあたりに存在した武昌・漢口・漢陽の旧3都市の頭文字による合成語で名付けられたものである。
概要[編集]
武漢の地は中国大陸のど真ん中に位置する。つまり現在では北は首都の北京、東は上海、西は重慶に成都、南は香港と各都市を結ぶ流通上の重要拠点であり、いわゆる交通の要衝である。そのため、高速鉄道の武漢駅には主要幹線道路が通じている。
このような位置に存在することから、昔も長江と漢水を結ぶ重要な拠点として争奪戦が繰り広げられた。地理的に見ると長江と漢水の合流点に位置し、江漢平野中部の標高33メートルに位置している。
その昔、この地には政治や文化の中心であった武昌、商業の漢口、工業の漢陽という旧3都市が存在し、古来からこの地方の重要な拠点であるとして3つ合わせて武漢三鎮(ぶかんさんちん)と称された。記録によると、戦国時代には既に武昌の都市は建築されていたようであり、重要拠点ゆえに常に争奪の的になった。三国志の時代にも争奪は繰り返されている。漢口はアロー戦争でイギリス・フランス軍に敗れた清が天津条約で1861年に開港することを余儀なくされると、それを機にイギリス・フランス・ロシア・ドイツ・日本などの欧米列強の租借地が設けられるようになった。だがこのために皮肉にも発展も遂げ、1906年には北京と漢口の間に京漢鉄道が開通している。1911年には武昌蜂起が発生し、これを機に清を打倒する辛亥革命が中国全土に拡大してゆくことになった。
1927年、国共合作により国民党政府が武漢に置かれ、一時的とはいえ中国の首都となっている。1938年、日中戦争で戦線を拡大する日本軍により、この都市は1945年の敗戦まで7年間にわたって支配された。この都市は当時、武漢銅鑼などの製鉄業が盛んであり、それに目をつけられたのである。日本の敗戦後は開放され、1949年に旧3都市が統合されて武漢市として新しく発足する。
交通の重要拠点であり、製鉄業も盛んであることから、中国鉄鋼三大コンビナートの1つとして発展を遂げ、1959年には生産を開始した武漢製鉄公司は鞍山に次ぐ中国第2の鉄鋼基地として知られた。また、港での貨物取り扱い量は3000万トン以上で、内陸港の中では中国で南京に次ぐ第2位である。1991年には経済技術開発区を設置した。
2019年末から2020年にかけて武漢で新型肺炎が発症し、騒動となっている。
気候[編集]
夏の武漢はその暑さが有名で、重慶や南京と並んで「中国三大火炉」と言われている。
交通・経済[編集]
2000年の時点での人口は391万2000人であったが、2020年は1108万人と700万以上も増加している。交通の要衝都市であることから、世界各地を結ぶ国際便が運行しており、市内には武漢天河国際空港があり、日本には東京・大阪に直行便が運行されている。
自動車産業が盛んであり、日産自動車やホンダなどの日系メーカーのほか、フランスのルノーなど著名な国際企業が多数進出している。