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(むら、そん)とは、家屋が小規模に集まっている地域のことである。

元義[編集]

家屋は多くの場合、一軒一軒ばらばらではなく、ある程度狭い範囲に固まって作られる。この家の集まりのことを「集落」あるいは「村」と呼ぶ[注 1]。農林業中心の地域の場合、農地や山林に囲まれた所に家が建てられるため、商工業の集落であると異なり、人口密度が高くなりにくい。

江戸時代にあった多くの村は、数十、数百の単位で合併し、現在の市町村となっている。
一方で、当時の村は自治会として残っていて、住所表示上でも「大字」という単位で残っている。特に市や町においては、単に「村」と言うと、地方公共団体としての村ではなく、自治会[注 2]・大字のことを指すことも少なくない。

地方公共団体としての村[編集]

規模の小さな地方公共団体に与えられる行政区分名である。

歴史[編集]

江戸時代は、農漁業中心の集落を「村」と呼んだ。村の多くは人口数十人~数百人だが、人口1000人を越える大きな村もあった。日本の面積のほとんどは村が占めていた。

1889年(明治22年)の町村制により、人口3000人前後の単位で村々が合併した。

昭和の大インフレ合併で、人口8千人〜10000人の単位でさらに合併し、平成の大インフレ合併でも同様の流れとなった。合併により農村部のほとんどが村から町に昇格し、農村地域でも村は少数派となった。

現在「村」は、大規模な合併を行わなかった地域が多く、人口で都道府県の条例で町になる要件を満たしても、村のままであるケースもある。

規模感[編集]

人口2000から4000人、面積50km2から100km2(端から端まで8-15km相当)が一般的なサイズ。
になるのは、都道府県の条例に基づく要件を満たす必要があるが町になるのは自治体の判断に委ねられる。

大きな村の例[編集]

単に人口密度の低い所と、市町村合併を行わなかった所が多い。

  • 福島県南会津郡檜枝岐村
    • 約400km2と広大な村域ながら、人口は500人ほどに過ぎない。尾瀬の山岳地帯で、人口密度が低い。
  • 福島県西白河郡西郷村
    • 人口2万人を越えていて、面積も200km2近い。新白河駅のおかげで人口が増えたが、一方で市町村合併を行わず独立を維持している。
  • 茨城県那珂郡東海村
    • 4万人近くの人口を擁するが、面積は40km2に満たない。原子力のおかげで人口が急増した上に税収が多いため、市町村合併を行わず独立を維持している。
  • 茨城県稲敷郡美浦村
  • 群馬県吾妻郡嬬恋村
    • 約300km2を越える広大な村で、人口も8000人を越えている。明治以降、市町村合併を行っていない。
  • 奈良県吉野郡十津川村
    • 日本一広い村。700km2近い広大な面積を擁する。紀伊山地の山岳地帯。
  • 沖縄県中頭郡読谷村
    • 人口約4万人と、日本一人口の多い村だが、面積は40km2に満たない。嘉手納の基地城下町。市町村合併を行っていないので市の昇格条件を得られていない。

小さな村の例[編集]

市町村合併を行わなかった所と、離島が多い。

  • 東京都青ヶ島村
    • 人口200人に満たない、日本一人口の少ない村。絶海の孤島に位置する村である。
  • 東京都御蔵島村
    • 人口300人ほどの、青ヶ島村に次いで人口の少ない村。同じく、離島の村である。
  • 富山県中新川郡舟橋村
    • 面積3km2ほどの、日本一面積の小さい村。市町村合併を行わず独立を維持している。
  • 奈良県吉野郡上北山村
    • 人口が400人ほどに過ぎない一方で、面積300km2に近い広大な村である。紀伊山地の山岳地帯に位置している。
  • 鳥取県西伯郡日吉津村
    • 面積4km2ほどの小村だが、製紙業や商業が盛んで財政に恵まれており、米子市への合併を蹴っている。
  • 島根県隠岐郡知夫村
    • 約14km2の狭い村。人口も600人ほどに過ぎない。一つの島で村を構成している。
  • 沖縄県中頭郡北中城村
    • 面積は12km2に満たないが、人口は18000人近い。基地の多い地域なこともあり、小さい面積ながら独立を保っている。
  • 沖縄県島尻郡渡名喜村
    • 離島の村。面積は3.74km2で、前述の舟橋村に次いで2番目に小さい。

その他[編集]

  • 長野県上伊那郡宮田村
    • 日本の現存自治体で唯一降格経験のある村。赤石山地の麓で、町制後に駒ヶ根市に合併し、その後独立をしたが、その間に長野県の町になる要件が変わり、町としての分立は認められず、改めて村として分立した。
  • 兵庫県加古郡阿閇村香川県三豊郡財田村
    • 共に昭和期に最後に残った村。阿閇村は1962年、財田村は1970年に町になったことで、両県では早期に村が消滅した。

その他[編集]

  • 市町で大字単位で「町」をつけている地域は多いが、大字単位で「村」をつけている自治体は稚内市など少ない。
  • 市町村合併後、合併前の市町村の名前を、「村」をつけて残している例として、佐賀市三瀬村がある。島根県鹿足郡柿木村も合併による吉賀町発足後も「柿木村」を残していたが、2021年4月に住所表示から削除された。

脚注[編集]

  1. 長崎県の集落のように「免」を用いた地域もあった。
  2. 自治会の場合、「区」、「部」、「町内会」が用いられるケースもある。
出典