朝丘雪路
朝丘 雪路(あさおか ゆきじ、昭和10年(1935年)7月23日 - 平成30年(2018年)4月27日)は、日本の女優・タレント・歌手。昭和の大スターの一人である。
本名は加藤 雪会(かとう ゆきえ)である。旧姓は勝田。元宝塚歌劇団月組娘役。父は日本画家の伊東深水。夫は津川雅彦、娘は真由子。義兄は長門裕之(津川の実兄)、義姉は南田洋子(長門の妻)。日舞の深水流家元として、深水 美智雪の名も持つ。
来歴[編集]
東京市京橋区(現・東京都中央区)築地生まれ。父親は伊藤深水で、溺愛されたという。母親は料亭のおかみだったという。
芸事を好んだ母の勧めで3歳の時から日舞を始め、宝塚歌劇団を経て映画、テレビ、舞台などに幅広い活躍をした。宝塚在団中にジャズ歌手としても注目された。映画デビューは昭和29年(1954年)の「ジャズ娘乾杯」である。
昭和41年(1966年)から約15年間、日本テレビ系「11PM」にレギュラー出演し、司会の大橋巨泉との軽妙なやり取りで人気を博した。胸が大きいことから大橋から「ボインちゃん」と呼ばれて当時の流行語にもなった。歌手としては昭和45年(1970年)の「雨がやんだら」などのヒット曲がある。NHK紅白歌合戦には10回出場している。
昭和60年(1985年)に日本舞踊・深水流を創設して自ら家元となっている。著書に津川雅彦の母とのエピソードをつづった著書・「嫁姑『赤の他人やほっちっち』」も話題を呼んだ。
昭和56年(1981年)に文化庁芸術祭賞最優秀賞、平成15年(2003年)に芸術選奨文部科学大臣賞、平成23年(2011年)に旭日小綬章受章を授章する。平成26年(2014年)、夫の津川と娘で女優の真由子と家族共演した舞台「花や…蝶や…」の出演を最後に芸能活動を休止する。
昭和42年(1967年)に青森県八戸市の内科医師と結婚したが、昭和47年(1972年)に離婚する。昭和48年(1973年)に津川と再婚し、昭和49年(1974年)に長女・真由子が生まれた。その真由子が5カ月の時に誘拐事件に巻き込まれる事件が起きている。津川とはおしどり夫婦で知られた。平成20年(2008年)、津川が玩具事業で6億円もの負債を抱え、その返済のために世田谷区の朝丘名義の自宅を売却したことをきっかけに別居しており、月に何度かは食事をするなど卒婚の形となっていたが、朝丘の体調などを考慮し再び一緒に暮らしていた。
晩年、およそ死去する5年ほど前からはアルツハイマー型認知症のため療養を続けていた。死去する2日前の4月25日までは食事も普段通り食べており、体調に大きな変化は無かったという。しかし4月26日には食欲が少し減り、平成30年(2018年)4月27日に高熱が出るなど容体が急変し、東京都内の自宅で死去したという。82歳没。夫の津川も娘の真由子も臨終には間に合わなかったという。死因は不明である。その死は朝丘の納骨が済まされた後の5月19日に公表された。
逸話[編集]
- 昭和61年(1986年)3月3日、フジテレビ系・「笑っていいとも!」の「テレフォンショッキング」コーナーにゲスト出演した際のお友達紹介で、俳優の宍戸錠の自宅電話番号を声に出して言ってしまい、直後から宍戸宅にいたずら電話が殺到し、宍戸は電話番号を変更せざるを得なくなったという。
- 家事が苦手で津川が「我が家には主婦がいない」とぼやくと「私も家事のできる奧さんが欲しい」と話したといわれる。
- 両親から溺愛され、アルマーニ制服問題で注目を集めた東京・銀座の泰明小学校には人力車で通学し、浮世離れした性格はそのお嬢様体質に由来するのか、結婚するまで自分でお金を支払って買い物をしたことがなかったという。
出演[編集]
テレビドラマ[編集]
NHK
- 花の生涯(1963年) - 唐人お吉
- 潮風の女(1970年) - 比留間アイ
- 繭子ひとり(1971年 - 1972年)
- 陽だまり横丁のラブソング(1984年)
- 道づれ(1988年)
- ええにょぼ(1993年) - 宇佐美千鶴代
- 青空にちんどん(1994年)
- 風のハルカ(2005 - 2006年) - 神崎ちい
日本テレビ系
- 道頓堀(1968年 - 1969年、読売テレビ)
- 姿三四郎(1970年) - 君香 役
- 焼きたてのホカホカ(1971年) - 立花咲子
- 母絶唱(1975年)
- 北都物語(1975年、読売テレビ) - 赤木郁乃
- 鞍馬天狗(1975年) - お芳
- 八丁目のダメ親父!カンナ・トンカチ・キリキリ舞い(1976年) - 森本澄子
- 新春大吉(1977年) - 安部雪江
- キッド(1983年) - 小笠原花江
- 気分は名探偵(1984 - 1985年) - 吉原聖子
- やったぜベイビー!(1986年) - 竹村和江
- 火曜サスペンス劇場
- 「女検事・霞夕子」(1993 - 2005年) - 霞瑞江
- DRAMA COMPLEX
- 「ダイエットの女王 鈴木その子」(2006年) - 山中末野
TBS系
- 金色夜叉(1962年) - お宮(鴫沢宮)
- 気になる関係(1973年、MBS) - 産代 役
- 必殺仕置人(1973年、ABC) - お波
- 真実一路(1979年、CBC)
- なぜか初恋・南風(1980年) - 英子 役
- ひまわりの歌(1981年)
- 愛の十字架(1982年、MBS)
- スチュワーデス物語(1983 - 1984年) - 木下富子
- 水曜ドラマスペシャル
- 「松本清張スペシャル・支払い過ぎた縁談」(1985年) - 桃川恒夫の母
- 時間ですよ(1989年)
- 千利休 〜春を待つ雪間草のごとく〜(1990年、MBS) - 高台院
- 水戸黄門
- 第31部(2003年) - おせい
- 第40部(2009年) - お鹿
- 月曜ドラマスペシャル
- 「演歌・唱太郎の人情事件日誌」(1996 - 1997年) - 早乙女紫織
- 「弁護士芸者のお座敷事件簿」(1997 - 2000年) - 栗原みさえ
- 月曜ミステリー劇場
- 「棟居刑事シリーズ」(2004年) - 本宮敦子
- 「やとわれ女将 菊千代の事件簿3」(2006年) - 桂木道代
- 月曜ゴールデン
- 「占い師みすず 事件は運命の彼方に」(2006年 - ) - 丸山千景
フジテレビ系
- マラソン人生(1962年) - 富士山さくら
- 日々の背信(1967年、東海テレビ)
- せっかちネエヤ(1968 ‐ 1969年) - おそめ
- 徳川おんな絵巻(1971年、関西テレビ) - お雪
- 座頭市物語(1974年) - おせい
- 新・座頭市(1978年) - お蝶太夫
- 裸の大将放浪記(1983年、関西テレビ) - 市川染千代
- 月曜ドラマランド
- 「ぐうたらママシリーズ」(1983年 - 1984年) - あざみ 役
- 「意地悪ばあさん2 意地悪ばあさんの逆襲」(1984年) - ミチ子 役
- 「いたずらスチュワーデス! お嬢さまお手やわらかに」(1985年)
- 愛と青春の宝塚(2002年) - 紫貴彩華
- 金曜エンタテイメント「おんせんデカ 修善寺温泉駐在日記」(1999年11月、フジテレビ) - 和泉清子 役
- ブスの瞳に恋してる(2006年、関西テレビ) - 山口恵美子
- 金曜プレステージ
- 「花瀬ちなつの殺人スクープ」(2000年) - 花瀬芳乃
- 「ひみつな奥さん」(2007年) - 藤乃秋子
- 「妻たちからの三行半〜夫たちの(秘)離婚回避マニュアル〜」(2008年) - 実原そよ子
テレビ朝日系
- 非情のライセンス(1975年) - 茜ひとみ
- 遠山の金さん(1976年)
- 吉宗評判記 暴れん坊将軍(1978年) - おゆき
- 遠山の金さん 第1シリーズ 第53話「流転の旅芸人・面影橋の女!」(1983年) ※高橋英樹版
- くどき屋ジョー(1989年)
- 無用ノ介(1990年) - お品
- 続続・三匹が斬る! 第6話「母しぐれ、金が仇の地獄旅」(1990年)
- また又・三匹が斬る! 第13話「鬼っ子が母と慕うはいかさま女」(1991年) - お島 役
- 新・三匹が斬る! 第12話 「非情剣!これが噂のオオカミ男」(1992年) - おりき
- 名奉行 遠山の金さん
- 第3シリーズ 第12話「説教強盗の女」(1990年) - おくま 役
- 第4シリーズ 第17話「大金を猫ばばした母と娘」(1992年) - お富 役
- 第6シリーズ 第16話「女金貸しの仇討ち」(1994年) - お滝 役
- 第7シリーズ 第5話「白い肌の誘惑 嫁姑の真剣勝負」(1995年) - お辰 役
- 京都迷宮案内(2003年) - 二宮美佐子
- 土曜ワイド劇場
- 「温泉 (秘) 大作戦」(2005年 - 2006年、ABC) - 進藤聖子
- 「火の粉」(2005年、ABC) - 梶間尋恵
- 古都(2005年)
- 7人の女弁護士(2008年) - 吉岡フミ
テレビ東京系
- 旅人異三郎(1973年) - お芳
- 死を呼ぶ人形(1989年1月30日) - 秋野夕雨子
- 四匹の用心棒 (4) かかし半兵衛ひとり旅(1992年、東映) - 河童のお仙 役
- 徳川剣豪伝 それからの武蔵(1996年)
- 赤穂浪士(1999年)
- 女と愛とミステリー
- 「脅迫者 平凡な下町主婦を襲う恐怖」(2001年) - 椿夫人
- 「伊豆・金沢犀賀焼殺人事件」(2003年) - 冬木鞠子
映画[編集]
- 千万長者の恋人より 踊る摩天楼(1956年) - 中田ルリ子 役
- 眼の壁(1958年) - 永井章子 役
- ある落日(1959年) - 額田まさみ 役
- 三百六十五夜(1962年) - 大江照子 役
- 嵐を呼ぶ男(1966年)
- 座頭市(1967年) - ともえ 役
- 炎の肖像(1974年)
- 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982年) - 桃枝 役
- ダイアモンドは傷つかない(1982年) - 三村真知子 役
- 胸さわぎの放課後(1982年) - 桑田里子 役
- 伊賀野カバ丸(1983年) - 大久保蘭 役
- 迷走地図(1983年) - 星さゆり 役
- プルメリアの伝説 天国のキッス(1983年) - 石井圭子 役
- 時代屋の女房(1983年) - 菊池松江 役
- 必殺!THE HISSATSU(1984年) - 柳橋のお甲 役
- テラ戦士ΨBOY(1985年) - MOMOKOの母 役
- ザ・サムライ(1986年) - 血祭静 役
- まんだら屋の良太(1986年) - 大山ヨネ 役
- 藏(1995年) - 谷村昌枝 役
- 極道の妻たち(2000年) - 西宮鴇子 役
- 次郎長三国志(2008年) - 和田島の女房 役
オリジナルビデオ[編集]
劇場アニメ[編集]
- ホーホケキョ となりの山田くん(1999年) - 山田まつ子 役
- かぐや姫の物語(2013年) - 北の方 役 ※友情出演
バラエティ[編集]
- 11PM(1966年 - 1982年)アシスタント
- 夜のヒットスタジオ(1974年)2代目アシスタント
- クイズ!年の差なんて(不定期)
- 一枚の写真(1985年12月16日)
- 三枝の愛ラブ!爆笑クリニック(1986年4月 - 9月)5代目アシスタント
- お昼の独占!女の60分 月曜日、火曜日担当
- クイズ どんなMONだい?!(1992年 - 1994年)
- ジャングルTV 〜タモリの法則〜(1997年)
- 王様のブランチ(1996年4月 - 1997年9月)
- 快傑熟女!心配ご無用(不定期)(1997年 - 2000年)
- シルシルミシル
- 絶対に笑ってはいけない地球防衛軍24時 (2013年)
音楽[編集]
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
1957年・第8回に初出場。翌年は出場ならなかったものの、翌々年(1959年)・第10回で復帰し、そこから1966年・第17回まで8年連続で出場を果たす。その後しばらく出演は無かったものの、1971年になかにし礼作詞・筒美京平作曲の『雨がやんだら』が大ヒット。第22回で5年ぶり10回目のカムバック出場を果たしたが、この第22回出場が最後の紅白出場となった。
年度/放送回 | 回 | 曲目 | 出演順 | 対戦相手 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1957年/第8回 | 初 | 星はながれる | 07/25 | 若原一郎 | 初出場 |
1959年/第10回 | 2 | シング・シング・シング | 04/25 | 武井義明 | 2年ぶりカムバック |
1960年/第11回 | 3 | ドンパン節 | 06/27 | 旗照夫 | |
1961年/第12回 | 4 | チャチャで飲みましょ | 01/25 | 神戸一郎 | |
1962年/第13回 | 5 | 島育ち | 13/25 | 三波春夫 | |
1963年/第14回 | 6 | 永良部百合の花 | 12/25 | 田端義夫 | |
1964年/第15回 | 7 | 夜の八丈島 | 01/25 | 北島三郎 | |
1965年/第16回 | 8 | ハロー・ドーリー | 10/25 | 立川澄人 | |
1966年/第17回 | 9 | ふり向いてもくれない | 21/25 | バーブ佐竹 | 8年連続で出場 |
1971年/第22回 | 10 | 雨がやんだら | 13/25 | フォーリーブス | 5年ぶりカムバック |
シングル[編集]
- うい・う・のん 1964年9月
- ふり向いてもくれない 1965年
- スキャンドール 1968年12月
- 雨がやんだら 1970年10月21日
- いつもなら 1971年6月21日
- お別れしましょう 1972年3月21日
- 朝まで待って 1972年8月21日
- さよならの季節 1973年1月21日
- 別れのスナック 1975年3月21日
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 朝丘雪路の部屋(朝丘雪路事務所公認ブログ)