なかにし礼
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なかにし 礼(なかにし れい、昭和13年(1938年)9月2日 - 令和2年(2020年)12月23日)は、日本の小説家、作詞家。本名は中西 禮三(なかにし れいぞう)。
親族[編集]
妻は歌手の石田ゆり(中西由利子)。義妹は女優のいしだあゆみ(妻の実妹)。義姉はスケート指導者の石田治子。
来歴[編集]
満州国(中国東北部)の出身。6歳の時に日本が敗戦し、凄惨な引き揚げ体験をしたとされ、そのことは後に小説「赤い月」で発表されている。
学生時代からシャンソンの訳詞に取り組む。昭和38年(1963年)に旅行先のホテルで、映画のロケで滞在していた俳優の石原裕次郎に勧められて、シャンソンの訳詞から流行歌の作詞に挑戦するという作詞家となる。昭和40年(1965年)に菅原洋一の「知りたくないの」の訳詞を手掛けたことを契機に、一躍人気作詞家となった。その後は1960年代後半から北原ミレイ、細川たかし、黒沢年男(黒沢年雄)など、多くのヒット曲を世に出した。
しかし作詞家としては石原裕次郎が死去する1980年代後半を契機に下火になり、軸足を作家活動に移しだした。平成10年(1998年)に長編小説「兄弟」を発表し、平成12年(2000年)には「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞した。他にも満州国を舞台に激動の時代を生き抜いた女性を描いた「赤い月」やNHK連続テレビ小説・「てるてる家族」の原作となった「てるてる坊主の照子さん」などがある。
安倍晋三が集団的自衛権の行使を容認した閣議決定をした際には、それを批判する詩集「平和の申し子たちへ 泣きながら抵抗を始めよう」を出版している。
令和2年(2020年)12月23日午前4時24分、心筋梗塞のため、東京都内の病院で死去した。82歳没。
作品[編集]
主な作詞曲[編集]
- あ行
- 朝丘雪路 - 「雨がやんだら」(1970年)
- 梓みちよ - 「風来坊」(1968年)
- アン・ルイス - 「グッド・バイ・マイ・ラブ」(1974年)
- 石川さゆり - 「風の盆恋歌」(1989年)
- いしだあゆみ
- 「恋のシャドー」(1967年)
- 「喧嘩のあとでくちづけを」(1969年)
- 「あなたならどうする」(1970年)
- 「昨日のおんな」(1970年)
- 「何があなたをそうさせた」(1970年)
- 石原裕次郎
- 市地洋子 - 「恋算数」(1970年)
- 岩崎宏美 - 「女優」(1980年)
- 岩崎良美
- 小野木久美子 - 「マジカル・ナイト」(1979年、『ザ・スーパーガール』主題歌)
- 奥村チヨ
- 「恋の奴隷」(1969年)
- 「恋泥棒」(1969年)
- 「恋狂い」(1970年)
- 「中途半端はやめて」(1970年)
- 尾崎紀世彦
- 「五月のバラ」(1973年)
- 「許しておくれ」(1974年)
- 「サマー・ラブ」(1987年)
- か行
- 川中美幸 - 「愛は別離(わかれ)」(1986年、『必殺仕事人Ⅴ・旋風編』『風雲竜虎編』主題歌)
- 北島三郎 - 「まつり」(1984年)
- 北原ミレイ
- 「石狩挽歌」
- 「春」
- キャンディーズ - 「哀愁のシンフォニー」(1976年)
- 黒沢年男/なかにし礼 - 「時には娼婦のように」(1978年、作曲も担当)
- グラシェラ・スサーナ -「サバの女王」(1972年)
- 琴風豪規 - 「まわり道」(1982年)
- 小林旭 - 「思いやり」(1982年)
- 小柳ルミ子
- さ行
- ザ・キング・トーンズ - 「暗い港のブルース」(1970年)
- ザ・ゴールデン・カップス
- ザ・ドリフターズ
- 西城秀樹
- 坂本スミ子 - 「夜が明けて」(1971年)
- 五月みどり - 「熟女B」
- 佐良直美 - 「風のメロディー」(1978年)
- 志学館中等部・高等部 - 「志学館高等学校校歌」(1983年)
- 島倉千代子 - 「愛のさざなみ」(1968年)
- 島津ゆたか
- 「ホテル」(1985年)
- 「くせになりそう」(1986年)
- 下成佐登子
- 菅原洋一
- 「知りたくないの」(1965年)
- 「今日でお別れ」(1969年、第12回日本レコード大賞受賞)
- た行
- タマコ
- ザ・タイガース
- ちあきなおみ - 「私という女」(1971年)
- 鶴岡雅義と東京ロマンチカ - 「君は心の妻だから」(1969年)
- ザ・テンプターズ - 「エメラルドの伝説」(1968年)
- TOKIO
- 「AMBITIOUS JAPAN!」(2003年)
- 「駅・ターミナル」(2003年)
- 玉井邦彦(東京放送児童合唱団) - 「あっそうか!」(1986年)
- トニーズ - 「アカプルコの娘」(1967年)
- な行
- は行
- ハイ・ファイ・セット - 「フィーリング」(1976年)【日本語詞】
- 橋幸夫
- 「そばにいておくれ」(1967年)
- 「少年時代」(1973年)
- ハナ肇とクレージーキャッツ - 「酒のめば」(1969年)
- 氷川きよし
- ピーター(池畑慎之介☆) - 「夜と朝のあいだに」(1969年)
- ザ・ピーナッツ
- 弘田三枝子 - 「人形の家」(1969年)
- 布施明 - 「バラ色の月」(1969年)
- フランク永井 - 「生命ある限り」(1967年)
- ザ・ブルーインパルス
- 「太陽の剣」
- 「夜明けに消えた恋」
- 「メランコリー東京」
- 「小さな恋人」
- ペドロ&カプリシャス - 「別れの朝」(1971年-日本語詞)
- 細川たかし
- 「心のこり」(1975年)
- 「みれん心」(1975年)
- 「北酒場」(1982年、第24回日本レコード大賞受賞)
- 「星屑の街」
- 「酒場であばよ」
- 「人生航路」
- 「うかれ節」
- 「ねぶた」(2011年)
- 「津軽へ」(2012年)
- ま行
- 前川清 - 「花の時・愛の時」(1987年)
- 黛ジュン
- 水原弘
- 「さよならは言えない」(1969年)
- 美空ひばり
- 「かもめと女」(1974年)
- 「むらさきの涙」(1974年)
- 「かすりの女」(1974年)
- 「初恋」(1974年)
- 「しのび泣き」(1974年)
- 「年下の人」(1974年)
- 「女の部屋」(1974年)
- 「許して下さい」(1974年)
- 「雨の日記」(1974年)
- 「金の星」(1974年)
- 「恨んでいます」(1974年)
- 「海で死んだ人」(1974年)
- 「傷心 (いたみ) 」(1976年)
- 「さくらの唄」(1976年)
- 「おんな酒」(1976年)
- 「われとわが身を眠らす子守唄」(1988年)
- 「終りなき旅」(1988年)
- ムッシュかまやつ - 「20才のころ」【安井かずみとの共作】
- 森進一
- 森昌子
- 「バラ色の未来」(2006年)
- や・ら・わ行
- 矢沢永吉
- 「いつか、その日が来る日まで...」(2019年)
- 「海にかかる橋」(2019年)
- 由紀さおり - 「手紙」(1970年)
- RYTHEM - 「ブルースカイ・ブルー」(2003年)
- レイジー
- 「地獄の天使」(1978年)
- 「ハローハローハロー」(1978年)
- ロス・インディオス - 「知りすぎたのね」(1968年、作曲も担当)
- 和田アキ子
アルバム[編集]
- マッチ箱の火事(フォーライフ・レコード、1977年、なかにしが自ら全作詞・全作曲・全歌唱した作品)
- 黒いキャンバス(東芝EMI、1979年、なかにしが自ら全作詞・全作曲・全歌唱した作品)
- 昭和 忘れな歌〜なかにし礼アンソロジー〜(ユニバーサル ミュージック、2004年 - 作詞・訳詞曲を集めた3枚組アルバム)[1]
- なかにし礼と12人の女優たち(日本コロムビア、2015年1月、映画・舞台・ドラマなどを通じて縁のある12人の女優たちがなかにし礼作品を歌唱)
- なかにし礼と75人の名歌手たち(日本コロムビア、2015年11月) - 作家生活50周年記念のオムニバスアルバム [2]
- なかにし礼と13人の女優たち(日本コロムビア、2016年9月、なかにし礼 作詩家・作家生活50周年記念アルバム、シリーズ第2弾)
クラシック音楽[編集]
- ベートーヴェン「歓喜の歌」(交響曲第9番終曲の日本語訳)
- モーツァルト歌曲集(日本語訳 音楽之友社)
- 西村朗:合唱曲「そして夜が明ける」(作詞 NHK全国学校音楽コンクール課題曲)
- ジャック・オッフェンバック:オペラ「天国と地獄」(日本語訳)[3]
- 三木稔:オペラ「ワカヒメ」(台本)[4]
- 三木稔:オペラ「静と義経」(台本)[5]
- 三枝成彰:オラトリオ「ヤマトタケル」(台本)[6]
- 小六禮次郎:世界劇「眠り王 -愛とまごころの約束-」(作・構成)
- 小六禮次郎:世界劇「黄金の刻 -愛と永遠の絆-」(作・構成)
- 甲斐正人:世界劇「源氏物語」(作)
著書[編集]
詞集[編集]
- 『エメラルドの伝説』(作品集 新書館、1969年)
- 『シャンソン詩集141・さらば銀巴里』(さがみや書店、1991年)
- 『なかにし礼訳詞によるモーツァルト歌曲集』(音楽之友社、1991年)
- 『昭和忘れな歌―自撰詞華集』(新潮文庫、2004年)
- 絵本詩集『金色の翼』(響文社、2014年)
- 『平和の申し子たちへ 泣きながら抵抗を始めよう』(毎日新聞社、2014年)
創作[編集]
- 『花物語』(新書館、1970年、のち新潮文庫)
- 『昭和左膳只今参上』(東京スポーツ新聞社、1970年)
- 『大人の紙芝居・まぼろし劇場―丹下左膳 暁のG線上に死す』(継書房、1973年)
- 『兄弟』(文藝春秋、1998年、のち文春文庫、新潮文庫)
- 『長崎ぶらぶら節』(文藝春秋、1999年、のち新潮文庫、第122回直木三十五賞受賞)
- 『赤い月』(新潮社、2001年、のち新潮文庫、文春文庫、岩波現代文庫)
- 『てるてる坊主の照子さん』(新潮社、2002年、のち新潮文庫) - 2003年度のNHK連続テレビ小説『てるてる家族』としてドラマ化
- 『夜盗』(新潮社、2003年、のち角川文庫)
- 『さくら伝説』(新潮社、2004年、のち新潮文庫)
- 『黄昏に歌え』(朝日新聞社、2005年、のち幻冬舎文庫)
- 『戯曲 赤い月』(河出書房新社、2005年)
- 『戦場のニーナ』(講談社、2007年、のち講談社文庫)
- 『世界は俺が回してる』(『産経新聞』2009年1月1日-8月31日 角川書店、2009年)『イカロスの流星』文庫 -『世界は俺が回してる』の鍵となる曲を集めたイメージ・サウンドトラックCD(ソニー・ミュージックダイレクト、2009年)
- 『なかにし礼と12人の女優たち』(日本コロムビア、2015年)-12人の女優によるなかにし礼作詩曲の競演アルバム
- 『なかにし礼と75人の名歌手たち』(日本コロムビア、2015年)-作詩家・作家生活50周年記念アルバム。時代を追ってオリジナル歌手の歌唱で収録されたコンピレーションアルバム
- 『なかにし礼と13人の女優たち』(日本コロムビア、2016年)-女優たちによるなかにし礼作詩曲の競演アルバム、前作のヒットにより第2弾リリース。
- 『昭和レジェンド 美空ひばりと石原裕次郎』(テイチクエンタテインメント、2016年)-なかにし礼が手掛けた、美空ひばり・石原裕次郎のすべての音源を収録。
- 『夜の歌』(毎日新聞出版、2016年、のち講談社文庫) - がん再発との闘いの中で執筆開始した「サンデー毎日」連載小説の単行本化。
随筆・その他[編集]
- 『ズッコケ勝負―終わりなき愛の遍歴』(双葉社、1969年)
- 『青春の愛について』(新書館、1972年)
- 『遊びをせんとや生まれけむ~なかにし礼の作詩作法』(毎日新聞社、1980年)
- 『音楽への恋文』(共同通信社、1987年) - 「音楽の話をしようす」(改題、新潮文庫)
- 『翔べ!わが想いよ』(東京新聞出版局、1989年、のち文春文庫、新潮文庫) - 自伝
- 『時には映画のように』(読売新聞社、1997年) - 「口説く」(改題、河出文庫)、「恋愛100の法則」(改題、新潮文庫)
- 『愛人学』(河出書房新社、1997年、のち河出文庫)
- 『天上の音楽・大地の歌』(音楽之友社、2001年)
- 『道化師の楽屋』(新潮社、2002年、のち新潮文庫)
- 『さくら伝説―松坂慶子写真集』(フォーブリック、2002年) - 原作・監修
- 『人生の黄金律 自由の章―なかにし礼と華やぐ人々』(2003年、清流出版)- 対談集
- 『月夜に飛んで人を斬る』(作画:ふくしま政美、芳文社、1979年)- 劇画原作
- 『三拍子の魔力』(毎日新聞社、2008年)
- 『歌謡曲から「昭和」を読む』NHK出版新書 2011
- 『人生の教科書』(ワニブックス、2012年)
- 『生きる力 心でがんに克つ』(講談社、2013年)
- 『天皇と日本国憲法 反戦と抵抗のための文化論』(毎日新聞社、2014年)
- 『生きるということ』(毎日新聞社、2015年)
- 『闘う力 再発がんに克つ』(講談社、2016年)
- 『芸能の不思議な力』(毎日新聞出版、2018年)
- 『がんに生きる』(小学館、2018年11月)
- 『わが人生に悔いなし 時代の証言者として』(河出書房新社、2019年7月)
- 『作詩の技法』(河出書房新社、2020年10月)
翻訳[編集]
映画[編集]
- コント55号とミーコの絶体絶命(1971年、出演)
- 超能力だよ全員集合!!(1974年、出演)
- 時には娼婦のように(1978年、原案、脚本、出演)
- 動天(1991年、企画、原作)
脚注[編集]
- ↑ 昭和 忘れな歌〜なかにし礼アンソロジー〜 - CD Journal(2004年3月24日)
- ↑ “TOKIOから美空ひばりまで!なかにし礼、作家生活50周年4枚組アルバム”. 音楽ナタリー (2015年11月10日). 2015年11月10日確認。
- ↑ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
- ↑ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
- ↑ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
- ↑ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
外部リンク[編集]
- なかにし礼公式ホームページ
- JASRAC作品データベース検索サービス - 権利者の項目に「なかにし礼」と入力し、作品詳細を見ることにより、権利譲渡を確認できる