市原悦子

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市原 悦子（いちはら えつこ、昭和11年（1936年）1月24日 - 平成31年（2019年）1月12日）は、日本の女優、声優。本名は塩見 悦子（しおみ えつこ）。夫は舞台演出家の塩見哲。千葉県千葉市出身。ワンダー・プロダクション所属。「家政婦は見た!」や「日本昔ばなし」などで知られる昭和・平成時代を代表する女優のひとりである。

略歴[編集]

千葉県出身で、早稲田大学卒業を経て俳優座養成所に入所し、昭和32年（1957年）に俳優座に入団する。昭和46年（1971年）に退団する。なお、同期にはドラえもんの声優である大山のぶ代や作家のジェームス三木、女優の冨士真奈美らがいる。新人時代から度胸のいい演技で舞台やドラマ、映画で活躍する。退団後は昭和50年（1975年）から始まったアニメ・まんが日本昔ばなしの声優として常田富士男と共におよそ20年間にわたって担当した。

平成2年（1990年）に映画・「黒い雨」の演技で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞する。他にも舞台・「トロイアの女」「近松心中物語」「雪やこんこん」、大河ドラマ「秀吉」など多くの作品に出演し、演技派の女優として人気を得た。また昭和58年（1983年）から平成20年（2008年）にわたって放送された2時間ドラマ・「家政婦は見た!」は高視聴率を記録し、終了後も『家政婦のミタ』、『家政夫のミタゾノ』といったオマージュ作品が製作されている。

私生活では俳優座で同期だった演出家の塩見哲と昭和36年（1961年）に結婚するが、子女には恵まれなかった。おしどり夫婦として知られ、塩見が演出する舞台公演を行なうなどでも知られている。平成24年（2012年）に市原がS状結腸腫瘍の手術を受けた際には塩見が病床の市原を支えたが、塩見は平成26年（2014年）に肺炎で死去し、市原はこの頃から心身共に衰弱していくようになった。平成28年（2016年）11月に自己免疫性脊髄炎のため、東京都内の病院に入院し、以後は入退院を繰り返しながら芸能活動をセーブしながら闘病していた。平成29年（2017年）2月にリハビリ専門病院に転院し、退院した後は都内の自宅でリハビリに励んでいたが思うようには進まなかったという。このこともあり、同年11月にはナレーションの予定だった大河ドラマ・「西郷どん」を降板し、その後の代役を西田敏行に託した。平成30年（2018年）3月にNHK・「おやすみ日本 眠いいね!」内で担当するコーナー「日本眠いい昔ばなし」の朗読を自宅で収録する形で仕事復帰する。これは亀が人里へ助けを求めに行く「亀の使い」の話で、動物たちの声を6種類の声色で演じた。以降、月1回のペースで同番組の声だけの収録を自宅で行なう。

しかし同年7月には日本昔ばなしで長年相方を務めた常田富士男が死去し、市原自身も12月初旬、体調不良を訴えて検査を受け、盲腸と診断される。その際に膿が出るなどの症状があったが、投薬治療などで一時は回復し、12月30日に退院して自宅に戻る。大晦日、そして平成31年（2019年）の正月は自宅で迎えたが、1月5日の夜に再度苦しみだし、別の病院に入院する。それでも1月7日までは事務所社長と会話できたが、その後は徐々に反応しなくなり、意識も混濁して、1月12日昼過ぎの午後1時31分に親族や友人に看取られがら死去したという。死因は心不全であった。82歳没。

最後の仕事は入院中の12月25日に病室で行なった「日本眠いい昔ばなし」の収録であった。また皮肉にも最後に体調を崩した1月7日に、死去する1月12日放送する「日本眠いい昔ばなし」を収録予定だったが収録できなかった。また、1月19日に初日を迎える観月ありさ主演の神奈川芸術劇場公演・「悪魔と天使」にも声で出演を予定していたという。

出演[編集]

舞台[編集]

  • ゴダイゴ・ライブ（2007） - 女王 役

テレビドラマ[編集]

NHK[編集]

日本テレビ系[編集]

TBS系[編集]

  • 虫は死ね（1963年） - 愛子 役
  • 近鉄金曜劇場 / 目撃者（1964年） - 江口の妻 役
  • ザ・ガードマン 第53話「雪崩」（1966年）
  • 泣いてたまるか（1967年）
  • ポーラテレビ小説「パンとあこがれ」（1969年） - ナレーター
  • 人間の歌シリーズ冬の雲（1971年）久子 役
  • 私は忘れたい（1972年 - 1973年）
  • 事件狩り（1974年）
  • 赤い殺意（1975年）
  • 岸壁の母（1977年）
  • いごこち満点（1976年）
  • 冬の運動会（1977年） - 船久保初枝 役
  • わが母は聖母なりき（1980年） - ふみ 役
  • 絶唱（1981年）
  • はまなすの花が咲いたら（1981年 - 1982年） - 金沢しず 役
  • 外科医 城戸修平（1983年）
  • ザ・サスペンス「高2の体験 闇からの殺意 盲導犬ベティの反則」（1982年12月） - 香取正子 役
  • 女橋（1983年） - 佐原ちよ 役
  • お鏡（1985年） - お鏡 役
  • 東京卒業（1996年） - 正木萌子 役
  • 水曜プレミア「大都会の女たち」（2004年5月） - 園田葉子 役
  • ハンチョウ〜神南署安積班〜 第1話（2009年4月）
  • 新参者 第1話（2010年4月）
  • 開局10周年記念ドラマ・松本清張特別企画「一年半待て」（2010年12月、BS-TBS） - 高森たき子 役　※日本テレビ版（1976年）にも出演
  • 月曜ドラマスペシャル→月曜ミステリー劇場→月曜ゴールデン
    • 西新宿俳句おばさん事件簿シリーズ - 主演・里宮初子 役
      • 西新宿俳句おばさん事件簿1「私でない私の犯罪」（1993年4月19日）
      • 西新宿俳句おばさん事件簿2「霊園ツアーの犯罪」（1994年5月9日）
      • 西新宿俳句おばさん事件簿3「愛犬家に捧げる犯罪」（1995年6月26日）
    • バスガイド愛子シリーズ - 主演・徳丸愛子 役
      • バスガイド愛子1「これが最後の恋」（1993年8月30日）
      • バスガイド愛子2「みちのくの恋」（1994年10月24日）
      • バスガイド愛子3「恋は神代の昔から」（1995年11月27日）
      • バスガイド愛子4「会津磐梯山は恋の山」（1997年5月19日）
    • 弁護士高見沢響子シリーズ - 主演・高見沢響子 役
      • 弁護士高見沢響子1（1998年6月15日）
      • 弁護士高見沢響子2（1999年4月5日）
      • 弁護士高見沢響子3（2000年4月24日）
      • 弁護士高見沢響子4（2001年5月7日）
      • 弁護士高見沢響子5（2002年5月6日）
      • 弁護士高見沢響子6（2003年4月28日）
      • 弁護士高見沢響子7（2005年6月27日）
      • 弁護士高見沢響子8（2006年11月6日）
      • 弁護士高見沢響子9（2008年5月12日）
      • 弁護士高見沢響子10（2009年10月19日）
      • 弁護士高見沢響子11（2011年10月17日）
      • 弁護士高見沢響子12（2014年7月7日）
    • 楽園のライオン（2007年5月28日） - 主演・井上たつえ 役
    • ホームドクター・神村愛シリーズ - 主演・神村愛 役
      • ホームドクター・神村愛1（2012年4月9日）
      • ホームドクター・神村愛2（2013年8月26日）

フジテレビ系[編集]

テレビ朝日系[編集]

テレビ東京系[編集]

映画[編集]

テレビアニメ[編集]

劇場アニメ[編集]

吹き替え[編集]

ラジオ[編集]

バラエティ[編集]

ナレーション[編集]

CM[編集]

著書[編集]

  • 市原悦子の大アマゾン紀行 ブラジル5000kmの旅（1997年11月、フジテレビ出版、ISBN 978-4-594-02339-3）
  • ひとりごと（2000年12月、春秋社、ISBN 978-4-393-43614-1）
    • ひとりごと〈新装版〉（2017年7月、春秋社、ISBN 978-4-393-43648-6）
  • やまんば　女優市原悦子43人と語る（2013年9月、春秋社、ISBN 978-4-393-43644-8）
  • 白髪のうた（2017年7月、春秋社、ISBN 978-4-393-43649-3）

ディスコグラフィー[編集]

  • ねねしな灯台（TBS系テレビ愛の劇場『わが母は聖母なりき』主題歌）
  • 母さんは青い空（『お待ちどおさま』主題歌）
  • きっと倖せ（『家政婦は見た!』より）
  • 見返り美人（『家政婦は見た!』より）

脚注[編集]

  1. ↑ “関西ジャニーズJr.の西畑大吾、渡辺謙主演ドラマに出演”. ORICON STYLE. （2016年10月19日）. http://www.oricon.co.jp/news/2079765/full/ 2016年10月19日閲覧。 
  2. ↑ “太陽の王子 ホルスの大冒険”. メディア芸術データベース. 2016年10月30日確認。
  3. ↑ “新海誠「君の名は。」追加キャストに長澤まさみ、市原悦子、悠木碧、島崎信長ら7名”. 映画ナタリー. （2016年6月7日）. http://natalie.mu/eiga/news/189903 2016年9月16日閲覧。 

外部リンク[編集]

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