声優
声優(せいゆう)は、俳優の一種で、声をあてる仕事をする人。アニメ、ボイスコミック、ラジオドラマ、ドラマCD、コンピューターゲーム、映画、テレビ(テレビアニメやドラマなど)、海外の映像作品の日本語吹き替えといった作品に出演する。
日本における声優の歴史[編集]
日本では現在こそ声優という職業に爆発的な人気が生まれているが、1970年代前半まではむしろ声優は人気以前に芸能人、職業としてすら見なされない蔑まれた存在と見なされることが多かった。つまり芸能人でも落ちこぼれのような存在に見なされていたのである。1960年代の頃は、洋画や海外ドラマの吹き替え、ナレーションなどを舞台俳優などが兼任することが多かった。そんな中、海外ドラマや洋画の需要によって吹き替えを多く担当し、人気を博して追っかけが出るほどとなった野沢那智らの人気声優も現れだしていくこととなった。
その声優という仕事に本格的にファンの注目が集まりだしたのは1970年代後半のアニメブームからである。それ以前からアフレコスタジオに見学に来ていたファンがいないこともなかったが、脚光を浴びて社会現象にまでなりだしたのはやはりアニメブームの時だった。声優がレコードを出したり、ラジオでDJを務めるようになったのもこの時期が最初のことである。昭和52年(1977年)、神谷明・野島昭生・曽我部和恭・古川登志夫・古谷徹の5人の声優で組んだスラップスティックは当時の声優ブームのシンボル的存在となった。このバンドは後に神谷が脱退し、三ツ矢雄二や鈴置洋孝らいわゆる現在の声優界における人気大御所声優が加わることになる。
この流れに便乗するように、昭和63年(1988年)に放送された『鎧伝サムライトルーパー』という作品で出演した草尾毅・竹村拓・佐々木望・中村大樹・西村智博によってその翌年、平成元年(1989年)に結成されたNG5はコンサートに多数の女性ファンが押しかけ、失神するファンが出るほどの社会現象を生み出した。
また昭和60年(1985年)の『超獣機神ダンクーガ』に出演した声優である矢尾一樹・山本百合子・塩沢兼人・中原茂の4人が劇中のグループ名と同じ獣戦機隊を結成する。このグループもコンサートやライブ活動を行ない、その模様がビデオソフトで発売されるなど人気を呼んだ。
このような声優の音楽活動の盛り上がりが声優という職業そのものを注目させるようになってゆく。また、平成初期までは声優の活動は主に男性声優が主導的な役割を果たしていたが、1990年代に入るとアイドル的な女性声優の人気も高まる。基本的に声優は声の演技で勝負するものであり、トーク、まして顔出しなどはあり得なかったのだが、いわゆるアイドル声優(声優アイドル)の誕生であり、彼女たちが声優業界をリードするようになった。女性声優はほとんどが「夢の国の住人」であり、生年(=年齢)を明かさない。
ゲーム[編集]
アニメと違って一人ずつの収録が基本。
コンピュータエンターテインメント協会はランク制を採用しているため、家庭用ゲームの多くはランク制のもとで出演料が支払われる。
アダルトゲーム・アダルトアニメ[編集]
アダルトゲーム・アダルトアニメに出演する声優は、基本的に顔出しをしない。顔出しをする声優もいるが少数派であり、一般作品に出演している声優がアダルトゲームに出演するときは別名義を使う場合も多いとされている。ただし、一般作品とアダルト作品で同じ名義を使う声優も存在している。
出演料はランク制の影響を受けないため、アニメなどに比べて高額だといわれているが、実際にデータはないので不明。
ランク制[編集]
アニメとコンピュータエンターテインメント協会加盟会社の作品、多くの日本語吹き替え作品に適用される声優の出演料制度。コンピュータエンターテインメント協会に加盟していない会社によるアダルトゲームやソーシャルゲーム、ナレーション、同人アニメには適用されない。また、ランク制は「協同組合日本俳優連合」に加盟する声優限定の話である。
この制度では、声優の人気やキャリアに応じてランクづけがされる。これによってランクに応じた出演料が支払われることになる。この制度によってアニメでは、ランクの高い(出演料の高い)ベテラン声優の出演よりも若手声優の出演が多くなる傾向があるともいわれる。そのためか、ベテラン声優はこうした制度の影響を受けないナレーションに出演していたりもする。