バスファン

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バスファンとは、主にバス(公共交通機関)を趣味とする人の総称である。

概要[編集]

乗り物趣味の代表格と言っても差し支えない鉄道趣味に対して、バスを趣味とするバス趣味も存在する。このように、交通機関のうち「バス」を趣味とする人物を総称して「バスファン」という。鉄道ファンよりも人口は少ないが、鉄道よりも手軽に撮影・乗車ができることや、後述の理由などから、近年バスファンの人口は増加傾向にある。また鉄道ファンと兼任している者も多い。これは鉄道事業者がバスの経営をしていること、鉄道路線の廃止後の代替交通としているためである。

線路の上しか走ることのできない鉄道に対し、バスは道路上であればどこでも走ることが出来る。そのため除籍された車両が中古市場に流通しやすい。都市圏のバス会社が排出ガス規制の適合から外れた車両などを除籍し、それが郊外のバス会社に移籍するケースが近年非常によく見られる。中には都市圏の貸切事業者が独特な仕様の中古バスを走らせていたり、年式の浅い元自家用ナンバーの車が名の知れたバス会社に移籍することもある。カーディーラーなどに売却されたバスは個人で購入することもできる[1]。この中古車流通性は、バスファンの人口増加に拍車をかけている要因の1つともいえる。

一口に「バス」といっても、路線バスから高速バス、観光貸切バス、マイクロバスなど範囲は広く、近年は国土交通省標準仕様化が進んで見られなくなったが、小規模なバス会社が非常に珍しい仕様のバスを所有していることもあり、それらを目当てに多くのバスファンが集うこともある。

歴史[編集]

鉄道ファン明治時代から存在していたのに対し、バスファンの歴史は比較的浅い。1960年代には既に本格的な活動をしていたとされるが、認知されるようになったのはごく最近である。しかし、鉄道ファンと比較して認知度はなお低く、バスの撮影などの活動で不審者扱いされ、バスファンが警察から職務質問を受けるケースもそこそこある。

それでも日を追うごとにバスファンの認知度は高まっており、最近では東京パラリンピックにおいて選手輸送を撮影するバスファンをニュースが取り上げたことで、さらなる認知度の上昇が期待できる。

種類[編集]

鉄道ファン同様バスファンにも様々な分野の人物がいる。ここでは一部を紹介する。

撮影[編集]

バスの撮影を趣味としているファン。「撮りバス」と呼ばれ、鉄道ファンでいう「撮り鉄」にあたる。大半のバスファンがあてはまる。 バスが走る道路上であればどこでも撮影ができるため、わざわざ鉄道の沿線まで赴く必要はなく、鉄道と比較しても撮影は容易である。 しかし公共性が高いためか、「運転手や乗客へのモザイク処理」など、撮り鉄よりもルールに厳しい一面があり、歩行者や他の自動車が被ることも圧倒的に多いため、強いメンタルが求められる。

乗車[編集]

路線バスの乗車を趣味としているファン。「乗りバス」と呼ばれ、鉄道ファンでいう「乗り鉄」にあたる。バス趣味者では前項の撮りバスと一二を争うほど人口が多い。一日乗車券などを用いて乗りつぶしを行っているファンも多い。これにはJRバスと民鉄系バスのいずれか、あるいは両方に対応しているファンがいる。 バス独特の風景を楽しみ、中には隔日運行のいわゆる「免許維持路線」を目当てに乗車する熱心なファンもいる。

走行音収録[編集]

バスの走行音を収録することを趣味としているファン。鉄道ファンでいう「音鉄」にあたる。エンジン音に加え「エンジンの回転数」や「マニュアルトランスミッションのシフト音」など、鉄道にはない走行の魅力を求めるファンが多い。

貸切(貸切会)[編集]

自ら旅行行程を立て、バス会社からバスを貸し切るファン。週末には毎週のように各地で貸切会が行われ、バスファンの浸透を感じる。

バス関連の物品収集[編集]

バスの部品や模型、グッズを収集することを趣味としているファン。鉄道模型と同様、バスにも模型が存在する。トミーテックから発売している「ザ・バスコレクション」が最も有名で、様々な事業者や車種を収集するファンも少なくない。他にも、バス関連のイベントでは廃車となったバスの部品や、使用しなくなった路線図やバス停の看板が売られることがあり、熱心に収集するファンもいる。

個人所有[編集]

中古ディーラーなどを経てバスを個人所有するファン。バス車両は鉄道車両よりも小さく、故障車でなければ道路上を輸送する費用も抑えられるため、個人所有するユーザーが多い。特に、トヨタ・ハイエースなどのバン型車両や、三菱ふそう・ローザなどのマイクロバス、日野・リエッセなどの小型車は、比較的リーズナブルな価格で入手でき、移動事務所やテレワークスペースとして活用も出来るため、個人所有者は増加傾向にある。中には大型免許を取得して運転するバスファンもいる。

調査[編集]

時刻表や地域史などの参考文献から経営などの歴史を学ぶ。

乗車券収集[編集]

鉄道路線との連絡運輸を行っている場合、連絡運輸が廃止される前に購入することがある。硬券や手書きの乗車券、フリー切符も人気がある。

企画[編集]

バスファンの中には自らが主催者となって企画を立てることが多い。中には同じバス趣味者を集めてバス車両を貸し切る「貸切会」を実行して、自らルートや撮影場所の企画を立てて撮影・乗車するファンもいる。現在では休日になると日本のどこかでファンがバスの貸切会を行うほど、SNS上に多くの貸切会報告が投稿されている。

またバスを取り扱う雑誌やファン雑誌が多く出版され、バスをテーマにしたテレビ番組も放送されることがある。ファンの中にはバス関連の同人誌を出版し、コミックマーケットにおいて同人誌として出展するなど、バスファンが表にでる例も目立ってきている。

バスは鉄道よりも所有することが簡単である。そのためカーディーラーなどを通じて中古のバスを購入し、個人所有し保存するファンが急激に増えてきている。大型免許を取得し、一定の条件を満たせば個人で自家用ナンバーの取得もできるため、ナンバーをつけてバスを自由に運転するファンまでいる。最近では東京ディズニーリゾートまで中古の路線バスを運転したカップルが話題となった。中にはバスが好きすぎてバス会社を設立した例も見られる。

バスの譲渡[編集]

バス車両は鉄道車両よりも寿命が短い反面、他のバス会社に譲渡される車両は鉄道車両よりも圧倒的に多い。近年、老朽化により都市部の事業者で除籍された車両を、地方のバス会社が購入して走らせるケースが見られる。そのようなバスの元事業者や元車両番号を特定することは、バスファンの醍醐味でもある。譲渡されたバスには、都市部のバス会社の仕様をそのまま残しているバスも見られ、懐かしさを感じに行くバスファンもいる。中には地方のバス会社から地方のバス会社へ譲渡されることや、都市部の貸切事業者に譲渡されることもあり、とても奥が深い。なお、中古サイトなどで販売中の車両の出元を公開することは中古子バスを販売している会社に迷惑がかかるため、してはいけない。

中古のバスが多く譲渡されるバス会社には、秋田県のバス会社、新潟県の越後交通系の事業者、茨城県の茨城交通、熊本県のバス会社(九州産交バス熊本都市バスなど)、鹿児島県の鹿児島交通南国交通、沖縄県のバス会社など、無数に存在する。

海外に輸出されることもあり、特にミャンマーへは日本製バスが多く輸出されている。

問題行動[編集]

近年の人口増加によるものか、マナーを守れないバスファンや、他人に迷惑をかけるバスファンが目立ってきてる。バスは鉄道よりも身近に存在する分、迷惑がられる対象となる人物も増える。ひとたび迷惑行為をはたらくと、バスの運転手や乗客はもちろん、バス会社の職員や通行人、道路を走るバス以外の車両の運転手や同乗者、果てには沿線住民にも迷惑となりかねない。そのため、活動をする際は特に気配りが必要となる[2]。 詳しくはバス界隈#問題行動参照。

関連項目[編集]

外部サイト[編集]

脚注[編集]

  1. ただし、会社によっては個人での購入が不可能とされることがある。
  2. もちろん鉄道や他界隈も同様である。