高槻市中学生殺人死体遺棄事件
高槻市中学生殺人死体遺棄事件(たかつきししたいいきじけん)とは、大阪府高槻市の物流会社駐車場において2015年8月13日深夜に少女H(当時13歳)の遺体が発見された事件である。後に少年A(当時12歳)の遺体も発見され、大阪府のY(当時45歳)が死体遺棄の容疑で逮捕された。
事件の経過[編集]
- 8月8日
- 8月10日
- 8月11日
- 8月12日
- 8月13日
- 午前1時前、AのLINEから友人に電話[5]。
- 午前1時から午前1時30分頃、寝屋川市内の商店街の防犯カメラに2人と見られる男女が映り込む[5]。
- 午前1時20分頃、HがLINEで友人に「野宿しようと思う」と送信する[5]。
- 午前5時10分頃、寝屋川市駅近くの商店街の防犯カメラに再び2人と見られる人物が映る[5]。
- 午前6時35分から同42分、HがLINEで友人に「今からAと電車で京都に遊びに行ってくる」「多分、もう寝屋川には帰らない」と送信する[5]。これらの通信はYの成りすましの可能性があるという[6][7]。
- 午後2時58分、LINEでYが同僚男性に溜息をつくような顔文字のメッセージを送信[2]。
- 午後3時頃、京阪寝屋川市駅前の駐輪場にAの自転車が停められる。Hの自転車も近くに停められる[5]。
- 午後7時頃、Hの死亡推定時刻と見られる[5]。
- 午後10時35分から11時10分頃、大阪府高槻市の物流会社の駐車場に2台の不審車両が停車し、走り去る様子が防犯カメラに写る[5]。
- 午後11時30分頃、駐車場で運転手がHの遺体を発見する[5]。この発見現場は通っている中学校から北に僅か7キロの場所である。
- 8月14日
- 8月15日
- 8月16日
- Yが千葉県を出発して福島県に行く[2]。
- 8月17日
- 8月19日までYが福島県内の放射性物質の除染作業に従事していたと見られる[8]。
- 8月18日
- 8月19日
- 時刻不明、大阪府警がAの顔写真を公表し、公開捜査にする[5]。
- 8月20日
- 8月21日
- 9月12日
- 時刻不明、大阪府警がHに対する殺人罪でYを再逮捕する。
- 10月2日
- 時刻不明、大阪地検がHに対する殺人罪でYを起訴する。死体遺棄罪に関してはHの死亡推定時刻が特定できない点などから処分保留とし、継続捜査となる。
被害者について[編集]
遺体の状況からHは別の場所で殺害され、遺棄されたと見られている。友人によるとラインで友人に向けて「野宿しようと思う」という書き込みがあった。この2人は同じ小学校の出身で、2人は学校では違うクラスであるが、互いの兄弟を通じて仲が良かった。Aは「Hの家へ行く」と言って家を出たが、実際には訪れていない。また2人と会話したという40代の男性が「家に帰らなくていいの?」と質問したのに対して、「いいよ」と答えたという。遺体発見時、Hは粘着テープで後ろ手に縛られ、全身に30箇所以上の切り傷があり[11]、特に左前面に傷は集中していたという。財布や携帯電話は見つかっていない。8月21日の犯人逮捕により、Aの遺体が柏原市内で見つかった[12]。Aの遺体もHと同じく顔に粘着テープが何重にも巻かれ、死後数日が経過していたという[12]。Aの遺体発見現場の近くには黄色のサンダルがあり、本人の物である可能性が高いという[6]。
Hは4姉妹の末っ子で「むっちゃ元気な子」「(小学校の卒業文集で四国での修学旅行の思い出に触れ一緒にうどん作りに挑戦したことから)将来の夢はうどんの会社に入る」とあった[5]。中学においては吹奏楽部に入部し、トロンボーンを担当していたという[5]。
Aは中学でソフトテニス部に所属し、ゲームが上手で小学生の妹と仲が良く家族思いだったという[5]。
被疑者について[編集]
8月21日の夜に被疑者が大阪府警により大阪市城東区内の路上で身柄を確保され逮捕された[12]。逮捕されたのは大阪府寝屋川市香里新町・職業不詳Y(当時45歳)である[12]。大阪府警は遺体を運んだと見られる自動車を防犯カメラ映像を収集して割り出して特定し、Yを割り出した[12]。Yには前科があり、2002年3月に大阪府寝屋川市香里南之町の路上で当時中学2年の男子生徒に「京阪寝屋川市駅に行きたい。車に乗って案内してほしい」と声をかけて車に乗せ、「俺は警察や。持ち物を調べる」と脅迫して中学生に手錠をかけ、1500円の現金と携帯電話を奪ったとして強盗、逮捕監禁などの容疑で大阪府警に逮捕された[12]。他にも同月、寝屋川市内で少年2人を乗用車内に監禁、連れまわすなどしたとして再逮捕されていた[12]。この際、被害にあったのは10代の男子など合わせて8名にのぼり、逮捕されたYは最初は一部を否認していたが最終的に容疑を認めたという[13]。
中学生時代には同級生の男子生徒の後をつけ回したり、勢力の大きい暴走族に入るなどしていたという同級生の証言もある[7]。
Yは殺害の2日前に東京都の秋葉原で職務質問を受け、所持していたバッグからスタンガンや手錠、注射器が出てきたため最寄の警察署に任意同行された。警察官が止めたのはYらを見て「ちょっと変だな」と感じたからで、Yは職質に「ちょっと遊びに」と答えたという。注射器は使用された形跡は無く、尿採取による薬物検査の結果も陰性で、手錠は「遊びに使う」と説明し、スタンガンについては正当な理由が無い所持を禁じた軽犯罪法違反に当たるか検討されたが、Yが「護身のため」と主張したこととスタンガンに電池が入っていなかったことなどから法令違反に問えないと判断して帰したという。逮捕時にYはスタンガンや手錠は所持しておらず、事件で使われて処分したものと推測されている[4][14]。
影響[編集]
大阪府寝屋川市の寝屋川まつり実行委員会は8月25日までにこの事件で2人の遺体が見つかったことを受け、8月29日と8月30日に開催する予定であった「第38回寝屋川まつり」を中止することを決めた。実行委員会は「中学生が巻き込まれる痛ましい事件がいまだ全容解明に至っておらず、市民の安全安心に不安が残るため自粛する」と理由を説明している[6]。
脚注[編集]
- ↑ a b c d e f g h 日本経済新聞、2015年8月27日、39面
- ↑ a b c d e f 朝日新聞、2015年8月27日、35面
- ↑ 日刊スポーツ、2015年8月31日、23面
- ↑ a b スポーツ報知、2015年8月27日、17面
- ↑ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 読売新聞、2015年8月22日、32面
- ↑ a b c 日刊スポーツ、2015年8月26日、18面
- ↑ a b 夕刊フジ、2015年8月26日、3面
- ↑ a b c d e f 日本経済新聞、2015年8月26日、39面
- ↑ カレー店男性店長(当時40歳)の証言。
- ↑ 読売新聞、2015年8月27日、39面
- ↑ 日本経済新聞、2015年8月21日、39面
- ↑ a b c d e f g 読売新聞、2015年8月22日、1面
- ↑ 産経新聞、2015年8月27日、31面
- ↑ 産経新聞、2015年8月27日、1面