トロンボーン

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トロンボーン(trombone)は、金管楽器の一つで、中低音域を受け持つ。イタリア語・英語・フランス語ではTrombone、ドイツ語でPosaune(ポザウネと読む)、中国語では长号(長號)、ロシア語ではТромбон。そもそもラッパはイタリア語でTrombaであるが、より大きなものを表す際に語尾変化によって派生語を生み出す拡大辞“-one”を付けたのが語源であり、Tromb(a) + one = Tromboneは「大ラッパ」という意味に該当する。略称は「Tb」,「Trb」,「Tbn」,「Pos」などが見られるが、「Tb」だと“Tuba”の略記と、「Trb」だと“Tromba”の略記と混同されうるため、特にクラシック音楽の分野では「Tbn」または「Pos」の略記が推奨される。口語ではボントロボーントボンと略されることもある。英語が敵性語とされた戦時中の訳語は「曲り抜き差し長ラッパ」。

スライド式のものは、2つの長いU字形の管を組み合わせた構造を持ち、その一部(スライド)を伸縮させて音高を自由に変えることができる。ポジションは最大7段階まである。構造上は、B♭管に低音域拡張のための1m程度の渦巻き型のF管アタッチメントのロータリーバルブが装着されていて、レバーを操作することにより音程が完全4度下がり、遠いポジションが不要でスライドアクションに苦労することがなく、低音域のトリルにおいて効果を発揮しやすい。F管アタッチメントの機能は、セミダブルホルンやユーフォニアム、ピストン式チューバのコンペンセイティングシステムと同じである(?)。「テナーバストロンボーン」とも呼ばれる。記譜するときは移調楽器ではなく実音(原調)で記譜される。音域は2オクターブ半(2.5オクターブ)あり、最低音は周波数約82.41HzのE音で、最高音は、周波数約466.16HzのB♭音がギリギリ出せる音である。音色はトランペットと同様、力強い響きで迫力がある。ベルは直径21cmある。

トロンボーンのスライドを外すと、内管が出てくる。その内管の先端部分は、とても鋭利で、指を切ってしまう事さえある。スライドの外管の上のほうを見ると何やら、得体のしれない小さなものがくっついている。これは、スライドロックで楽器を持ち歩いている時にスライドが抜けて外管が落ちてスライドに傷をつけるのを、防ぐためにある。でもこれは、あまり乱暴に扱うと、すぐに取れてしまうので、注意!!!スライドの先端部分に、ゴムが付いている。これは、楽器をずっと持っていると、腕が疲れてしまうので、楽器を軽く置きたい時に便利である。スライドはトロンボーンの命であり、スライドを下に向けて持つときに、誤って凹ませないようにするという目的もある。

バストロンボーン[編集]

トロンボーンには、トランペットのようなピストンが無い。しかし例外もある。それは、少し大きくて、普通のテナーバストロンボーンよりも重たい「バストロンボーン」と呼ばれる、種類のトロンボーンである。テナーバストロンボーンとは明確に異なる楽器である。バストロンボーン、俗に「バストロ」は、テナーバストロンボーンでは出せない低音域を拡張するために、テナーバストロンボーンの管全体・ベル、マウスピースを更に太くし、管を長くするためにロータリーバルブを2個装着していて、迂回管が付いている。バストロンボーンのベルの直径は24cm。構造はB♭管とF管の切り替えを基本に、F管より長いD管、更にはG♭管が付いている。記譜する時はこれも同じく実音楽器である。オフセット式とインライン式の2種類がある。

●インライン式

インライン式は、調子=B♭/F/D/G♭。第2バルブが主管に沿っていて、ロータリーバルブが両方とも直列に並んでいるシステム。2個のバルブそれぞれを押した時と、両方押した時の3種類の調性に切り替えが可能。ロータリーバルブが作動していない状態であるB♭管時にも2つのロータリーを通っている。ロータリーバルブが2個ともそれぞれ単体で使用可能であり、調性の切り替えがオフセットより1つ多い。ロータリーを使用しない状態⇒B♭管。第1ロータリー⇒F管、第2ロータリー⇒G♭管、第1+第2ロータリー⇒D管。

●オフセット式

オフセット式は、調子=B♭/F/D。2個目の第2バルブが第1バルブの管に付いてて、第2バルブ単独では動かない。ロータリーバルブが作動していない状態であるB♭管時には、1つのロータリーしか通っていないので、抵抗感が少ない。ロータリーを使用しない状態⇒B♭管。第1ロータリー⇒F管、第1+第2ロータリー⇒D管になるが、第2ロータリー単体では動作不能。

音楽的な役割[編集]

クラシック音楽[編集]

オーケストラ

編成は主に、トロンボーン3本(アルト・テナー・バス各1、またはテナー2・バス1)で構成され、パート表記はそれぞれ1st、2nd、3rdである。また、ロマン派以降の作品では、チューバを加えた4声で1編成と捉えられる事が多い。1st、2ndパートと3rdパートで役割が異なる場合もある。

多様な役割を担っている。ハーモニーを奏でたり、他パートとユニゾンすることによって旋律を引き立たせる役割を持つ。強奏時には、オーケストラ全体を圧倒する威力を発揮する。また、美しいコラールも奏でる。反面、ホルンやトランペットなど他の金管楽器に比べると、独奏をする場面が非常に少ない。

アンサンブル

金管五重奏などでは、主に中低音を担当している。また、同種の楽器によるアンサンブルが非常にさかんな楽器の1つであり、最も一般的な形態がトロンボーン四重奏である。

ソロ楽器として

独奏者、独奏曲のどちらにも恵まれておらず、一部の演奏家が精力的にレパートリーを拡大しているものの、ソロ楽器としての一般的な認知は低い。バルブで音を変える他の楽器に比べると早いパッセージが苦手なことがその大きな理由である。ただし現代では重音奏法や超高音域・低音域、素早いパッセージなど特殊奏法の開拓が幅広く行なわれている。

その他

西洋の教会においてトロンボーンは活躍しており、教会専属のトロンボーン奏者もいる。

ジャズ[編集]

ジャズではディキシーランド・ジャズの頃からすでに代表的な地位を確立し、ビッグバンドのホーン・セクションの一員としてだけでなく、独奏楽器としても活躍の場も多かった。そしてその後のスウィング・ジャズなどの時代ではバンド内の主役楽器として活躍していたが、ジャズのスタイルが変化していくにつれて、次第に主役としての地位を他の楽器に渡すことになる。駒野逸美など若い世代の奏者も活躍している。


関連項目[編集]