武田清子

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武田 清子(たけだ きよこ、大正6年(1917年6月20日 - 平成30年(2018年4月12日)は、日本思想史学者、国際基督教大学名誉教授。本名は長 清子(ちょう きよこ)。武田は旧姓[1]。夫は経済学者の長幸男

来歴[編集]

兵庫県伊丹市生まれ[2]神戸女学院大学部に進み、昭和13年(1938年)にキリスト教の受洗を受けた。昭和14年(1939年)に交換留学生として渡米し、昭和16年(1941年)にオリペット大学を卒業。その後、コロンビア大学ユニオン神学校大学院で学ぶも、同年12月8日真珠湾攻撃により太平洋戦争が開戦したため、昭和17年(1942年)に日米交換船で帰国した。留学中、ラインホルド・ニーバーパウル・ティリッヒに師事した。

戦後の昭和21年(1946年)に丸山真男鶴見俊輔ら6人と雑誌「思想の科学」を創刊した。これにより日本の学問に英米思想を導入する契機を作り上げた。昭和33年(1958年)に東京大学文学博士。昭和28年(1953年)から国際基督教大学に勤務し、昭和36年(1961年)に同大教授に就任。昭和63年(1988年)に同大名誉教授[3]

日本の伝統的思想とキリスト教を含む外来思想とのかかわりを研究した[4]。代表的な著書に『人間観の相剋』『天皇観の相剋』(毎日出版文化賞受賞)などがある。

平成30年(2018年)4月12日、老衰により死去。100歳没。

著書[編集]

単著[編集]

  • 『人間・社会・歴史――ニーバーの人と思想』 創文社(フオルミカ選書)、1953年
  • 『人間観の相剋――近代日本の思想とキリスト教』 弘文堂、1959年/弘文堂新社、1967年
  • 『天皇制思想と教育』 明治図書出版(教育問題新書)、1964年/明治図書出版(社会科教育選書)、1975年
  • 『土着と背教――伝統的エトスとプロテスタント』 新教出版社、1967年
  • 『背教者の系譜――日本人とキリスト教』 岩波書店岩波新書)、1973年
  • 『正統と異端の"あいだ"――日本思想史研究試論』 東京大学出版会、1976年
  • 『天皇観の相剋――1945年前後』 岩波書店、1978年/同(同時代ライブラリー)、1993年/同(岩波現代文庫)、2001年
  • 『わたしたちと世界――人を知り国を知る』 岩波書店(岩波ジュニア新書)、1983年
  • 『婦人解放の道標――日本思想史にみるその系譜』 ドメス出版、1985年
  • 『日本リベラリズムの稜線』 岩波書店、1987年
  • 『峻烈なる洞察と寛容――内村鑑三をめぐって』 教文館、1995年
  • 『戦後デモクラシーの源流』 岩波書店、1995年
  • 『私の敬愛する人びと――考え方と生き方』 近代文芸社、1997年
  • 『横浜バンドの女性観――『日本の花嫁』事件をめぐって』 明治学院大学キリスト教研究所編、明治学院大学キリスト教研究所(MICSオケイジョナル・ペーパー)、1997年
  • 『未来をきり拓く大学――国際基督教大学五十年の理念と軌跡』 国際基督教大学出版局、2000年
  • 『植村正久――その思想史的考察』 教文館、2001年
  • 『湯浅八郎と二十世紀』 教文館、2005年
  • 『出逢い――人、国、その思想』 キリスト教新聞社、2009年

共著[編集]

  • 『戦争と平和について』 関根正雄、松木治三郎共著、新教出版社(基督教論叢)、1950年
  • 『倫理・社会』 中村元、宮城音彌共著、東京書籍、1964年
  • 『イギリス思想と近代日本』 武田清子ほか著、北樹出版(フマニタス選書)、1992年
  • 『日本文化のかくれた形』 加藤周一、木下順二、丸山真男著、岩波書店(同時代ライブラリー)、2004年
  • 『賀川豊彦を知っていますか――人と信仰と思想』 阿部志郎、雨宮栄一、森田進、古屋安雄、加山久夫共著、教文館、2009年

編著[編集]

  • 『思想史の方法と対象――日本と西欧』 創文社、1961年
  • 『世界教育学選集 29 日本プロテスタント人間形成論』 明治図書出版、1963年
  • 『現代日本思想大系 6 キリスト教』 筑摩書房、1964年
  • 『比較近代化論』 未來社、1970年
  • 『戦後日本思想大系 2 人権の思想』 筑摩書房、1970年
  • 『近代日本思想大系 10 木下尚江集』 木下尚江著、筑摩書房、1975年
  • 『明治文学全集 88 明治宗教文学全集2』 筑摩書房、1975年
  • 『明治文学全集 46 新島襄・植村正久・清沢満之・綱島梁川集』 吉田久一共編、筑摩書房、1977年
  • 『日本文化のかくれた形』 加藤周一、木下順二、丸山真男著、岩波書店、1984年/同(同時代ライブラリー)、1981年
  • 『中国のきり拓く道――日本より見る』 勁草書房、1992年
  • 『中国へのかけはし』 宋慶齢日本基金会、2000年

訳書[編集]

  • 『光の子と闇の子――キリスト教人間観によるデモクラシー及びマルキシズムの批判』 ニーバー著、新教出版社、1948年
    • 『光の子と闇の子』 R・ニーバー著、新教出版社(新教新書)、1964年
    • 『光の子と闇の子――デモクラシーの批判と擁護』 R・ニーバー著、聖学院大学出版会、1994年
    • 『光の子と闇の子――デモクラシーの批判と擁護』 ラインホールド・ニーバー著、晶文社、2017年
  • 『キリスト教人間観 第1部 人間の本性』 ラインホールド・ニーバー著、新教出版社、1951年
  • 『世界大思想全集 社会・宗教・科学思想篇 第30』 バルト著、井上良雄、蓮見和男、森岡巌訳、ニーバー著、高木誠共訳、河出書房新社、1960年

監修[編集]

  • 『近代日本哲学思想家辞典』 伊藤友信ほか編、中村元共監修、東京書籍、1982年

脚注[編集]

外部リンク[編集]

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