有料着席列車

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有料着席列車は、日本の大都市圏で主に通勤時間帯に運行される列車の形態で、通常の運賃に加え、有料の座席指定券(定員制の乗車整理券)を購入することで、必ず着席できることを特徴とする列車を指す。

概要[編集]

従前の有料特急に近いが、ターゲット層を通勤客に絞り、座席指定券(乗車整理券)の前売りを制限して販売時間を発車直前にし、また行き先をいわゆるベッドタウンに設定、通常の有料特急に見られる車内販売の営業を行わなず、定期乗車券での利用制限を撤廃している一方、クローズドドアで乗降制限を設けていることが多い。

車両は有料特急と同一のものや、専用に設計されたものを使うことが多い。日中に普通列車の運用に使用する車両の場合、通常の通勤電車に見られる横長の座席(ロングシート)と、2人席を並べるクロスシートを切り替えられるもの(デュアルシート)を採用し、コンセントの設置や内装の高級感を図ったものが多い。各座席には、座席番号が振られる。

このタイプの列車が注目され、未導入の民鉄に急速に広まったり、有料特急の補完列車が運行しだしたのは、2017年頃から。現在は、各社が様々な形でこういった座席指定列車を運行している。

JR[編集]

JRでは、国鉄時代の1984年から上野大宮間(宇都宮線)にホームライナー号を運行開始。徴収料金は事実上休眠状態だった乗車整理券の制度を活用した。車両は回送列車の活用のため原資が要らず、「国鉄商法」と称された。
その後、JR東日本以外にも拡がり、JR東日本では中央線、千葉方面、湘南方面、高崎線方面に拡大して、料金も「ライナー料金」に改訂されたが、2000年代後半から、JR東日本、JR西日本アーバンネットワークエリアやJR九州ではターゲットはそのままに、種別を青春18きっぷで乗車不可能な特急に変更している。

かつては、名古屋圏の中央本線名古屋多治見間で日中に乗車整理券料金を徴収する「セントラルライナー」が運行されたことがあったが、2013年3月に廃止された。

2010年代後半になると、かつてライナーを特急に格上げしたJR西日本で、通勤時の新快速の一部にAシートを設けた。

民鉄[編集]

大手私鉄では、東京圏の小田急電鉄が、国鉄に先んじて退勤時の新宿発ロマンスカーを通勤定期客に開放し、1999年より退勤時の下り特急ロマンスカーを「ホームウェイ号」の愛称に統一した。

また「コーヒー1杯分の座席指定券」がウリの中京圏の名古屋鉄道でも1970年代から出退勤客をターゲットとした座席指定特急列車を運行している[1]

京成でも、スカイライナーが旅客ターミナル直結のリムジンバスに対抗できずに、収益が上がらないなかで、1980年代後半に沿線の出退勤客をターゲットにした「イブニングライナー」、「モーニングライナー」の運行を開始した。

関西圏では、観光特急しか無かった南海高野線で線路改良時に車両を増備し、出退勤客をターゲットにした「りんかん」の運行を始め、2010年代に泉北高速鉄道に乗り入れる「泉北ライナー」を増発した。なお、ここまでの各社とも車両は通常の有料特急に使われるものを利用しており、有料特急のいち種別といった側面が強い。

また主要線区に有料特急を運行している西武鉄道近鉄も出退勤時の特急利用者は多く、近鉄奈良線では平日に出退勤時に絞った特急ダイヤ編成を行っている。

そうした中で、東武は、特急や有料急行の通勤客への開放に消極的だったが、2000年代後半に有料急行を特急に統合した際、浅草 - 春日部・東武動物公園間に短距離の特急を設定して、出退勤客にターゲットを絞った施策を展開した。

各社のサービス名[編集]

愛称なし、日中と同じ愛称の列車は除く。

関東[編集]

中部[編集]

関西[編集]

四国[編集]

  • ミッドナイトEXP松山、ミッドナイトEXP高松、むろと(JR四国、特急車両)

九州[編集]

脚注[編集]

  1. 1990年前後の正月期には豊川稲荷参詣で、乗車整理券料金を徴収する臨時の「新春ライナー」が運行されたことがあった。