久野藩
久野藩（くのはん）は、江戸時代前期に遠江国に存在した藩である。藩主家は外様大名の松下氏、後北条氏。石高は1万6000石、2万石。藩庁は久野城。現在の静岡県袋井市に存在した。
藩史[編集]
戦国時代、この久野には久野宗隆が久野城を築城した。そして時は移り、豊臣秀吉がまだ名も知られていない百姓のとき、立身出世を求めて一時期、主君として仕えていた松下之綱が治めていた土地である。之綱は今川家、次いで徳川家に仕えていたが、天正11年（1583年）から秀吉の家臣として仕え、久野に1万6000石の所領を与えられた。慶長3年（1598年）、之綱が死去し、跡を子の松下重綱が継いだ。重綱は関ヶ原の戦いにおいては東軍に与して大垣城の牽制に務め、所領を安堵された。ところが、久野城の石畳を幕府に許可なく修理したことを咎められて常陸国に懲罰的な移封を命じられた。これにより久野藩は廃藩となる。
その後、久野の元領主であった久野宗能（宗隆の子）が戻ってきた。宗能の所領は下総国佐倉藩1万3000石であったが、相続させた子の久野宗朝が改易処分となり、宗能に1000石が与えられて再勤することとなった。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの戦功により旧領久野にて8500石が与えられて合計9500石の大身旗本となる。慶長14年（1609年）に宗能が83歳で死去したため孫の久野宗成が家督を相続し、慶長16年（1611年）に主君・徳川家康の10男の駿河国駿府藩主・徳川頼宣付きの家臣となる。 元和5年（1619年）、頼宣が紀伊国和歌山藩に転封となると、御附家老として紀州領に同行し、伊勢国田丸城の田丸藩1万石の所領を与えられた。
代わって下野国富田藩から、家康の外甥に当たる北条氏重（北条綱成の養孫）が下野富田藩から1万石加増の2万石で入り、再び久野藩が立藩する。氏重は徳川家に仕えて駿河田中城番や二条城西惣門番などを務めた功績から、寛永17年（1640年）9月28日、2000石をさらに加増された上で下総国関宿藩2万2000石に加増移封され、久野藩は完全に廃藩となった。
歴代藩主[編集]
松下家[編集]
1万6000石。外様。
北条家[編集]
2万石。外様。
- 北条氏重（うじしげ）【元和5年藩主就任－寛永17年9月28日移封】〔横須賀城番。田中城番。大番組頭〕