上杉朝興

上杉 朝興（うえすぎ ともおき、長享2年（1488年） - 天文6年4月27日（1537年6月4日））は、武蔵の戦国大名で、扇谷上杉家の当主。実父は上杉朝寧。養父は上杉朝良。弟に朝成。子に朝定、娘（武田晴信正室）。

生涯

朝興は朝良の甥（兄の子）に当たる。永正2年（1505年）に朝良が隠居したため、その名代という形で後継し、永正15年（1518年）に朝良が死去すると正式に家督を継いだ。

朝興の時代は相模の北条氏綱の侵攻が激しさを増した時期であり、それに対抗するために朝興は甲斐の武田信虎や上野の山内上杉憲房らと同盟を結んで戦った。享禄3年（1530年）に自らの叔母に当たる上杉憲房の未亡人を信虎の側室に差し出し、天文2年（1533年）には自らの娘を武田晴信の正室として嫁がせた。ただしこの娘は天文3年（1534年）11月に懐胎死去した。

朝興は同盟戦略を駆使して氏綱と戦うが形勢挽回は遂にならず、天文6年（1537年）4月27日に死去した。享年50。跡を子の朝定が継いだ。

死の直前、13歳の後継者である朝定を枕元に呼び、「我は定業の病に罹って命は尽きようとしている。汝らは我が遺言をよく聞いて背くでない。我は氏綱と14度戦って1度として勝てなかった。生々世々の恥辱と思えば、妄念ともなろう。我が死んでも仏事・寺の建立より先に、北条を退治して国家を治めよ」と教訓したという。

参考文献

• 柴辻俊六 編 『武田信玄大事典』（新人物往来社、2000年）ISBN 4-404-02874-1