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ポーランド国鉄
ポーランド国鉄(ポーランド語: Polskie Koleje Państwowe SA、略称: PKP SA)とはポーランドで鉄道事業を行う国有鉄道会社である。
歴史[編集]
戦間期[編集]
第一次世界大戦後独立を回復したポーランドでは1918年に設立された運輸省が当初、鉄道を直接管理していた。まず優先されたのは3つ(ドイツ領、ロシア領、オーストリア領)の鉄道網を統合することだった。東部に残っていたロシア軌間の路線は1435㎜の標準軌に改軌されていった。というのは戦時中すでにドイツが東進の一環でロシア軌間の路線の多くを改軌していったからである。標準軌への改軌は1929年に完了した。早くも1921年にはワルシャワとポズナンを直接結ぶ鉄道路線が建設された。また新しい車両も導入されていった。ただ車両の大部分はドイツからの賠償金として譲渡されたプロイセン製の車両で構成されていた。1926年に独立起業として設立されたPKPは、それまでポーランドの鉄道網は運輸省が管理していたが、1939年までの期間でポーランドの回廊を通るドイツ本土から東プロイセンへの通過列車も担当していた。
1920年代半ばまでには、様々な小規模な路線網の拡大に加え、大規模な新線建設計画が開始されたグディニアと内陸部(特に上シレジアの鉱山地帯)をよりよく結ぶためにグディニアからカトヴィツェまで石炭本線と言われる南北を貫く鉄道が建設された。しかし資金不足のため、この路線の建設のために設立されたフランス人系企業のFrancusko-Polskie Towarzystwo Kolejowe SA(FPTK)によってこの路線は完成・運営された。
1920年代半ばからはポーランドの経済が好転し始めリトアニア(ポーランド・リトアニア戦争が原因)を除く近隣諸国とも関係が改善し国際列車が増加した。リトアニアとは1938年まですべての列車が通行を禁止されていた。
第二次世界大戦[編集]
第二次世界大戦が勃発しPKPは解体された。カーゾン線以西のドイツ占領下のポーランド(ポーランド総督府)では1939年11月1日から東部鉄道局によって運営された。ソ連占領地域では路線はソ連の鉄道網に組み込まれ、せっかく改軌した標準軌がロシア軌間に改軌された。改軌作業は独ソ戦開始とともに中止された。1944/45年にはソ連の進撃によりカーゾン線がソ連とポーランドとの新国境となった。ブク川とサン川の新たな国境以東の鉄道網は最終的にソ連に残された。現在その一部はベラルーシとウクライナにある。
赤軍のドイツ中心部への急速な進撃のため、シレジア、西ポメラニア、東プロイセンの鉄道網はほぼ無傷で運行の再開は早くにできた。しかし多くの路線は複線だった線路が1本撤去され賠償金としてソ連に支払われた。ポーランドには十分な人手がいなかったので、ドイツ人がこの作業を課せられた。また旧ドイツ領の駅では鉄道駅の名称変更に時間がかかり定めれたポーランド語の名称が再び変更されたため、よく混乱を引き起こした。
戦後[編集]
PKPはポーランド政府が再確立された直後に復興された。共産主義時代(ポーランド人民共和国)には、ポーランドはソ連と東ドイツを結ぶ中継国となった。
1989年以降[編集]
1989年以降は子会社が次々と設立された。そして大幅に従業員は削減された。そして1997年についにトラクション部門が外部委託され、続いて旅客部門、貨物部門、インフラ部門が分離し子会社となった。
PKPは2001年1月1日より公開有限会社となっている。持ち株会社として構成されており、合計で24の会社に分かれている。その中で重要なのが、PKP Polskie Linie Kolejowe(インフラ部門)、PKP Cargo(貨物部門)、PKP Intercity(長距離旅客輸送)がある。PKP SA自体はポーランド国有である。また、2008年から貨物輸送は自由化され地方旅客輸送のPrzewozy Regionalne S.A.(PR、ポルレギオ)が分離した。
現在のPKP[編集]
ポーランドで民間輸送が大きく成長した後も、PKPはポーランドの公共交通で重要な役割を果たしている。
組織[編集]
PKP SAは株式会社であり、その株式の100%が国が保有する。PKPには以下の子会社がある:
- PKP Cargo S.A.:貨物輸送
- PKP Cargo International
- PKP Intercity S.A.:長距離旅客輸送
- PKP Intercity Remtrak:検査
- WARS S.A.:寝台車と食堂車
- PKP Szybka Kolej Miejska w Trójmieście Sp. z o.o.:グダニスク、グディニア、ソポトにおける近郊輸送
- PKP Linia Hutnicza Szerokotorowa Sp. z o.o.:ザモシチを中心とするロシア軌間の路線の運営
- PKP Informatyka Sp. z o.o.:IT・情報
- PKP TELKOL
- Xcity Investment sp. z o.o:不動産管理、インフラプロジェクトの開発
輸送形態[編集]
国際輸送[編集]
地域輸送に加え、最も重要な役割を果たしているのが、シュチェチン及びグダニスクの港湾都市からチェコ、スロバキアなどへの輸送である。
東西の通過交通は主にフランクフルト (オーダー)からポズナンを経由してワルシャワに至る路線で、これはベルリンとワルシャワ間を1日5往復するベルリン-ワルシャワ・エクスプレス(ユーロシティ)が走る。ワルシャワから東はブレスト(-ミンスク-モスクワ)、リトアニアとの国境のスヴァウキ(-カウナス-リガ/-ビリニュス)、ウクライナのコヴェル(-キーウ)へのルートが主にある。
南方ではドイツのコトブス(フォルスト経由)からジャガニ、ヴロツワフ、カトヴィツェ、クラクフを経由してウクライナ国境のプジェミシルに至る東西の交通軸がある。2014年12月のダイヤ改正までは、ユーロシティ「ヴァヴェル」((ハンブルク-)ベルリン-コトブス-ヴロツワフ(-クラクフ))がこのルートを走っていた。
国境での軌間変更[編集]
ポーランド以東の国は異なる軌間(ロシア軌間)を採用しているため、貨物の積み替えや、台車の交換をしなければならない。自動軌間変更技術は1960年代からあったが現在ではあまり重要視されていない。旅客列車は通常、台車を交換して軌間を変更し、貨物は国境で積み替える。(→ブレスト中央駅)現在ではポーランドのSUW2000システムが軌間可変の標準となっており、またRafil-V-Radsätzenという車輪のドイツの貨車も可変が可能である。
鉄道網[編集]
現在ではフランクフルト (オーダー)-ポズナン-ワルシャワ-テレスポル、シヴィノウイシツィエ-シュチェチン(-ワルシャワ)、ポズナン-ヴロツワフ-カトヴィツ、シェシュトカイ-スヴァウキ-ワルシャワ、プジェミシル-クラクフ-カトヴィツェ、ワルシャワ-カトヴィツェの路線で路線の拡張が行われている。長期的なものとして、グダニスク-ワルシャワ、ワルシャワ-テレスポル、ワルシャワ-ヴロツワフ・ポズナン、ワルシャワ-プラハで高速線の建設が計画されている。(ポーランドなどの東欧で言えることだが高速線が少ない)
ワルシャワから南下し、クラクフとカトヴィツェに至る高速新線はポーランド国内の長距離輸送を担っている。
PKP Polskie Linie Kolejoweは東西ルートでの国境を越えた貨物輸送のために下シレジア貨物本線を完全複線電化化した。この路線はヴロツワフからミウコヴィツェ、ヴェングリニエツを経由してベルリン及びドレスデンの都市圏を迂回してドイツ国内のネットワークに接続している。
列車[編集]
長距離列車[編集]
PKPは長距離列車を以下の名前で運行している:
- ユーロシティ(EC):各国の主要な都市を結ぶ国際列車
- エクスプレス・インターシティ・プレミアム(EIP):快適な座席を備えるPKPインターシティ・マルチプル・ユニット(ペンドリーノ列車)で運行される国内線の高速列車
- エクスプレス・インターシティ(EIC):主要長距離路線の国内線列車で、新型車両を使用し、エアコンとWi-Fiが完備されている。
- インターシティ(IC):2014年から導入された新しい列車ブランド
- トヴォイェ・リニエ・コレヨヴェ(TLK):長距離輸送における低価格で乗れる急行列車かつ夜行列車。PKP Intercityのプレス担当者のズズナ・ショポフスカ氏によるとこの列車は廃止されるとのこと
地域列車[編集]
地域輸送はポルレギオとしてPKPから分離独立したためPKPグループの一部ではない。
ポーランドでは地域列車に対して以下の呼称がある:
- Regioekspres:地域輸送会社の急行列車で、新型車両を用いエアコンとWi-Fiが完備されている。
- インターレギオ:地域輸送会社の急行列車
- Regio:一般的な地域列車。ただし旧称のosobowyと多くの利用者や従業員から呼ばれている。
運賃[編集]
一般にポーランドでは強い運賃割引制度が適用される。例えばベルリン-ワルシャワ・エクスプレスや夜行IC(ワルシャワ-ビリニュス)のような国際路線ではグローバル運賃が適用される。
電化[編集]
PKPでの電化は1936年に始まり、現在に至るまで直流3000Vが使用されている。2011年現在PKPが運行する19276㎞のうつ11481㎞が電化されている。
外部リンク[編集]
関連項目[編集]