カレーライス
カレーライスとは、米飯にカレーを付け合わせた食品である。両者を横に置く場合と米飯にカレーを乗せる場合とがある。(2つの画像参照)「ライスカレー」ともいう。
概要[編集]
カレーの本場はインドだが、カレーライスについては日本でも多く親しまれている。インドのカレーと日本のカレーは全く異なる。イギリスに「curry and rice(カリーアンドライス)」の料理はあるが、ブリティッシュカレーは日本のカレーとはかなり異なる。しかし、日本のカレーライスのルーツはブリティッシュカレーである。これは船内で作られたシチューの一種である。カレー粉は古くなった塩漬け肉の臭い消し、とろみはやはり古くなったビスケットであった。インド発祥のカレーは、イギリスを経て幕末の日本に伝わった。
詳細は「近世イギリス海軍の食生活」を参照
軍隊[編集]
様々な具材を煮込んで一度に大量に作れるカレーライスは軍隊でも重宝した。
海上自衛隊とカレーライス[編集]
大日本帝国海軍の後身といえる日本の海上自衛隊とカレーライスは切っても切れない関係にある。護衛艦勤務の隊員は一度遠洋航海に出てしまうと曜日を知る手段が極端に減少する。そこで毎週特定の曜日の献立をカレーライスで固定し、曜日感覚を喪わないようにした。
現在は毎週金曜日がカレーの日となっているが、週休2日制導入前は毎週土曜日がカレーの日だった。カレーの日と言っても毎週趣向を変えたカレーが出されるため飽きることはないらしい[1]。カレーだけで全53種類がある。
カレーにまつわる自衛隊ジョークにこのようなものがある。
ある司令官が護衛艦の艦長に就任した。新艦長はカレーが苦手で「俺カレー嫌いだから絶対出すなよ」と給養員に言った所、その司令の部屋のドアノブに斧が突き刺さっていた。
ブリティッシュカレー[編集]
イギリスのカレーは、小麦粉でルーを作り、ヒンドゥー教徒にとってタブーである牛肉を使うなど、インドカレーとはかなり異なる。ビーフカレーはインドでは一般的ではない。イギリス風チキンカレーには、カレーとライスが同じ皿に乗っている点で、日本と同じである。とろみがありご飯にかけて食べるのはイギリスの食べ方である。カレー粉を発明したのはイギリス人である。
日本独自の発展[編集]
日本で国産のカレー粉が開発され、カレールウ、レトルトカレーなどが考案された。「カレー味」という概念から、日本独自のカレー文化が生まれた。「ゴーゴーカレー」「カレーハウスCoCo壱番屋」は、海外に出店している。インドカレーはスパイス味が強いため、日本では好みが分かれる。日本人にあうカレーも工夫され、カレーうどん、カレーそば、カツカレーも考案された。
食べ方[編集]
使用するご飯は米だけのもの、麦やその他の雑穀を入れるもの、米についてもジャポニカ米、インディカ米とがある。盛り付け方もカレーを別々の皿に盛り付けるもの、同じ皿に盛り付けるものとがある。カレーライスにとんかつやコロッケを載せた料理もある。また、関西では生卵やウスターソースをかけることもある。さらに各自でアレンジしてへしこやなれずし、ジャムを載せたりする。
レトルトカレー[編集]
1804年、食品保存の祖ニコラ・アペールは「細長いびんや広口のびんに予め調理した食品を詰め、コルクでゆるく栓をし、湯煎なべに入れて沸騰過熱し、30-60分後、びん内の空気を除いて、コルク栓で密封する」という「びん詰」による保存食品の製造法を考案した[2]。さらにレトルトパウチ食品は、アメリカ陸軍補給部隊研究開発局により開発されたが、カレーはなかった。
1968年2月12日、大塚食品は世界初の市販レトルト食品『ボンカレー』を阪神地区で限定発売した。カレー粉の在庫と、点滴液の加圧加熱の殺菌技術を組み合わせ、世界初のレトルトカレー「ボンカレー」を開発した[3]。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 高森直史『海軍食グルメ物語』光人社2008年5月2日第4刷発行。
- 稲保幸『スタンダードカクテル』新星出版社1996年2月25日発行。
- 青木栄一「英海軍艦隊勤務の変遷」〈世界の艦船No.703〉海人社2009年3月1日発行。