ウィキ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
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ウィキ (WikiWikiWeb) は、インターネット上で文章を書き変えることのできるソフト、システムサービス。名称はハワイ語の「速い」が由来であるが、そもそもインターネットのプロトコルがハワイ諸島における無線システムであるアロハネットに由来するため、驚くにはあたらない。

概要[編集]

もともとの発想は、D.E.クヌス先生によるところが大きい。プログラムを書いているときに、「ドキュメント(文書)を別に書くのって面倒臭くねぇ?」というので「プログラムのソースファイルからドキュメントを起こす」というシステムを自分で書いた。それが Javadoc などとともにHTMLと結びつき、そこから派生したのが WikiWikiWeb である。
日本においてウィキシステムが広く知られるようになったのは、ウィキペディアの認知度の上昇が影響していると思われる。ウィキペディアの数年前からウィキシステムは存在しており、将来性に期待を持たれていた。こうして、百科事典としての利用が考えられて実行されたのがウィキペディアということになる。現在、英語版のウィキペディアは最も規模が大きいウィキを使用したサイトとなっている。
簡便な記述(Wiki記法)によって、HTMLによる(ブラウザ上で読める)テキストを生成するシステムであるが、インターネットの商用化利用が一般的になって以来急速に普及したために、標準的なWiki記法というものが確立しておらず、標準的な指針も一般に普及していないため、MediaWikiのWiki記法がデファクト・スタンダード(事実上の標準)となっている。

ウィキペディアとの混同[編集]

ウィキペディアを「ウィキ」と略して呼ぶことがある。ウィキとはシステムサービスであり、ウィキペディアとはウィキを利用した百科事典の一つであり、百科事典としての意味合いはまったくない。そのため、ウィキという略称で呼ぶことに抵抗感をもつ人も多い。(参考)

ウィキの設置目的の例[編集]

ウィキは、たとえば以下のような共同作業が求められるプロジェクトで設置されることが多い。ただし、専ら何か一つの目的という場合は少なく、何か複数の目的を兼ねていることが多い。

  • 百科事典プロジェクトをする
  • ゲームの攻略情報を収集する
  • ユーザー間でコミュニケーションをする
  • 社内・研究室内での情報を共有する
  • 有益な情報をテーマごとに収集する

もともと、「データを共有したい」「とはいえ HTML をいちいち書くのは億劫である」「BBS やメーリングリストは議論には適しているものの、結論を知りたい人には向かない」といった欲求から、「簡易なスクリプト言語により、簡単に編集ができ、HTMLファイルとして公開可能になる」というところから生まれたシステムである。元祖を辿ると (いわゆる「電子掲示板」ではなく、昔の長文系の)BBS がありそうに思う。

ウィキサイトの構築[編集]

ウィキクローンを利用する場合[編集]

公開されているウィキのソフトウェア(ウィキクローン, ウィキエンジン)をダウンロードし、サーバーにインストールして構築するパターン。WordPressをダウンロードしてブログを作るような要領である。ここエンペディアは現在この手法によりMediaWikiによって構築されている。設置および維持管理には専門的な知識を要するが、独自の設定などがやりやすい。ただし、これらのソフトウェアを簡単に利用できるよう、ホスティングサービス(ウィキファーム)が提供されていることもある。

ウィキクローンの例と比較表
ウィキクローン 特徴 ウィキファームの例 ウィキサイトの例
MediaWiki
  • ウィキメディア財団開発の安定感。
  • 利用サイト数が桁違いに多い。
  • 拡張性が高い。
  • 拡張機能が豊富で多くの用途に使える。

MediaWikiのレンタルサーバーを参照)

PukiWiki
  • 日本国産のウィキクローン。
  • 社内ウィキなど組織内での利用が多い。
  • ゲーム攻略ウィキもこれを使っていることが多い。
YukiWiki(2018年3月7日公開終了)

サービスとソフトウェアの名称が一致しているパターン[編集]

ソフトウェアを独自開発し、ウィキファームとしてサービスが提供されていることがあるので、それを利用して構築するパターン。ゲーム攻略ウィキやまとめウィキなど中小規模のウィキが多め。

  • FC2WIKI - ゲームの攻略Wikiが多い。
  • @wiki - 2ちゃんねるのまとめWikiは大抵このサービスが使われている。
  • Seesaa Wiki - 旧「livedoor Wiki」。
  • Wiki3 - @wikiとよくにた記法。wiki運営者が掲載された広告費の一部を受け取れたり、Amazonアソシエイトもできる。

サイト独自のソフトウェアを開発するパターン[編集]

設置するウィキサイト専用にソフトウェアを開発するパターン。

既に公開されているMediaWikiなどのソフトウェアであっても、近年では拡張機能のラインナップが充実してきており、独自性を出すことが容易である。

「そのため、現在ではウィキのシステムを独自開発するメリットはあまりない。」と云われているが、 同じ鯖を LAN で共有している奴が、いちいち用語集を見るのが面倒臭い。この場合 PHP を使っていないハッカー仲間がいない場合、それぞれが手を突っこめる Java で書いた Wiki エンジンをソースコード管理システムに入れて、仕事の成果物のデイリービルドと同時にビルドする。CSS ファイルは力の入ったデザイナーさんが担当したりする。プロジェクトリーダーは同じ鯖を使って進捗管理をし、プロジェクトマネージャーは勤怠管理に使っていたりするため、「荒らし」が入りこむ隙はないため個人認証はユルくてもいいようなもんだが、出先からアクセスするためもあっていちいちログインする。
そうするとウェルカム・メッセージやら最終ログインとかアクセス記録なんかがぞろぞろ出てくるので仕事が楽になる。

古い大手ウィキサイトでは、独自に開発したソフトウェアの利用を継続してウィキを運用している場合がある。

ウィキの本質[編集]

ウィキの本質、それは攻略Wiki等を見ると明らかなように、「情報」(正しくは「データ」だが、JIS では I/O やインタフェース の扱いがあるため、このあたりの区別が曖昧にされている)の共有であり、言い換えると「記憶」(正確には「記録」)の共有である。『とは「記憶そのもの」』と表現される事もあり、つまり数式で表すと「脳=記憶」。つまり記憶の集まりであるウィキは「ウィキ=脳の共有体」と表す事もでき、ウィキを見るという行為は、他人の記憶つまり脳を拝見しているという事に近い、と哲学的に考える事もできる。その反面、「プログラミングなんて、精神的なストリップをしているようなものよ!」と言いきったプログラマもいる。
何かプロジェクトを遂行する際には、ウィキを使う事を推奨する人も居る[1]
ウィキペディア等には荒らしがつきものだが、人間そのものに荒らしがつきもの、と哲学的に考える立場もある。障害者などのマイノリティや社会的弱者が公開している長文系の BBS は荒しに潰されまくった結果、現在では長文系の BBS は壊滅状態にある。

Wikiエンジン[編集]

Wiki システムの中核であり、いわゆるコンテンツサーバーによって駆動される。いわゆるサーバー・サイド・アプリケーションである。
テキストデータを入力データとし、HTMLのテキストデータを出力するシステムである。サニタイザおよびWikiエンジン固有の機能があり、さらに対応するブラウザが、どこまで HTML や css に対応しているかによって挙動(ユーザが見た時の見た目)に違いがあり、さらに最近ではパソコンで見るかスマホで見るか、あるいはタブレットで見るかといったクライアント側との関係があるため、サイトごとに対応の違いがある。
EnpediaにおいてはMediaWikiが用いられているが、同じMediaWikiを用いているサイトであっても、挙動が異なることもある。「パソコンで見るか、タブレットで見るか、スマホで見るか」といった違いもあるので、Wiki記法がどういう HTML のコードに落ち、ブラウザがどう挙動するかは課題のひとつである。

Wiki と日本語[編集]

WikiWikiWeb システムはASCII符号の時代からあった。ASCII は7ビットしか使っておらず、「制禦文字」と「図形文字」と「特殊文字」からなり、その空いた部分に半角カナ文字を使って日本語を表していた。この影響は現在でも銀行の預金通帳やカードに残っている。
ただし、現在は全角の Unicord が使われており、英語のいわゆる正書法にあたるものは日本語にはない。強いていえば敬語がそれに相当するが、日常会話で敬語を使うと雰囲気がおかしくなる[2]
小学校の国語の作文の授業で習う「行頭は一枡あける」や「句読点や括弧の改行禁則」などはある程度「国語のきまり」として普及・定着しているが、現在でもところどころ不備はある。英語においてはハイフネーションなどにも対応しているが、日本語のルビや文節の区切りなどへの対応は不十分[3]であるため、「日本語のテキストプロセッサ的な機能を備えた、日本語対応の(あるいは和欧混植に対応した)Wikiエンジン」の登場が望まれる。

脚注[編集]

  1. プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと/Wikiを使う - ウィキソース
  2. 「あぶないです」の「あぶない」は連体形であるため、用言「です」に直接接続するのは敬語としてはおかしく、「あぶのうございます」が正である。
  3. しかたがないので、「非漢字から漢字に移るところ以外に文節の区切りが来た場合は、明示的に半角スペースを入れる」ということをしている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • WikiIndex - ウィキサイトの収集とウィキに関するサイト(英語)