石弘光
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石 弘光(いし ひろみつ、昭和12年(1937年)4月9日 - 平成30年(2018年)8月25日)は、日本の経済学者。専門は財政学。第14代一橋大学学長、一橋大学名誉教授、中国人民大学名誉教授。経済学博士(一橋大学)、 経済学修士(一橋大学)。
来歴[編集]
東京府出身。1956年、東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)卒業。1961年 、一橋大学経済学部卒業(木村元一ゼミ)。1963年、 一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。1977年、一橋大学経済学博士。
1965年4月、一橋大学経済学部助手、1967年4月、 専任講師、1970年8月、助教授、1977年10月、教授。平成10年(1998年)から平成16年(2004年)の間、一橋大学長を務める。平成12年(2000年)に政府税調会長に就任し、財政再建を重視する立場から消費税率引き上げの必要性を説き、増税路線の改革案を提起する。所得税の定率減税廃止、給与所得控除などを縮小する方向性を示した平成17年(2005年)の答申がサラリーマン増税と呼ばれ、直後の東京都議選で苦戦した与党・自民党との関係が悪化する。このため、平成18年(2006年)に第1次安倍晋三内閣が成立すると政府税調会長の再任は認められなかった。なお、政府税調会長在職中は無報酬で務め上げていた。また、二酸化炭素の排出削減につなげる環境税の理論家にも努めた。
平成24年(2012年)に瑞宝大綬章を授章した。著書に「財政理論」「消費税の政治経済学」などがある。
平成30年(2018年)8月25日午前5時11分、膵臓癌のため、東京都内の病院で死去した。81歳没。
学歴[編集]
- 1950年 - 東京教育大学附属小学校(現・筑波大学附属小学校)卒業
- 1956年 - 東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)卒業
- 1961年 - 一橋大学経済学部卒業(木村元一ゼミナール)
- 1963年 - 一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了
- 1965年、一橋大学 経済学研究科 経済史および経済政策専攻修了。
- 1977年 - 一橋大学経済学博士
- 博士論文「財政構造の安定効果 : ビルトイン・スタビライザーの分析」
職歴[編集]
- 1965年4月 - 一橋大学経済学部助手
- 1967年4月 - 専任講師
- 1970年8月 - 助教授
- 1977年10月 - 教授
- 1997年7月 - 一橋大学附属図書館長[1]
- 1998年12月から2004年11月 - 一橋大学学長 (2004年まで)
- 2002年、国立大学協会副会長
- 2004年 - 中国人民大学名誉教授。一橋大学名誉教授。
- 2005年4月 - 中央大学総合政策学部特任教授 (2007年まで)
- 2006年4月 - 国立大学法人東北大学理事(非常勤) (2010年3月まで)
- 2007年5月から2011年4月 - 放送大学学長(第6代) (2011年まで)
- 2009年10月 - 日本郵政社外取締役・監査委員会委員長
この間以下のような役職も務めた。
- ミシガン大学客員研究員(1971年 - 1973年)
- カールトン大学客員教授(1974年)
- ニュー・サウス・ウェールズ大学客員教授(1979年 - 1980年)
- オックスフォード大学客員教授(1988年、1992年、1995年)
- ボッコニー大学客員教授(1988年、1993年、1996年、1998年)
- 財団法人トヨタ財団理事(非常勤)
- 財団法人住友財団理事
- 政府税制調査会会長[2]
- 国立大学協会副会長
- 中央教育審議会大学分科会臨時委員
- 国立大学等の独立法人化に関する調査検討会審議委員
- 財政制度等審議会特別委員
- 社団法人如水会理事
- 財団法人坂口国際育英奨学財団評議員
- 財団法人大蔵財務協会理事(非常勤)
- 国立大学法人新潟大学経営協議会委員(2008年4月 - 2010年3月)
- 財団法人日本法制学会理事
- 財団法人日本証券奨学財団理事
- 東京都参与(1987年 - 1991年)
- 日本学術会議委員(1994年 - 1997年)
- 経済企画庁経済研究所システム分析室長(1980年 - 1982年)
- 大蔵省財政史編纂委員(1985年 - 1997年)
- 国家公務員採用第1種試験(経済)専門委員(1989年 - 1998年)
- 日本銀行金融研究所顧問 (1994年 - 1997年)
- 国立学校財務センター運営委員及び評議員(1998年 - 2004年)
- 大学評価・学位授与機構評議委員(2001年 - 2006年)
- 放送大学学園運営審議会委員(2001年 - 2005年)
- 国立教育政策研究所評議員会評議員(2001年 - 2005年)
- 学校法人ものつくり大学理事
- 社団法人日本専門医制評価・認定機構理事
受賞[編集]
- 毎日エコノミスト賞(『財政構造の安定効果』)1976年
- 日経・経済図書文化賞(『租税政策の効果』)1979年
- サントリー学芸賞(『財政改革の論理』)1983年
- 瑞宝大綬章 2012年秋叙勲
学会活動[編集]
- 1975年 - 1990年、日本財政学会 理事
- 1984年4月1日 - 1987年3月31日 日本経済学会常任理事
- 1985年 - 1988年 理論・計量経済学会 理事
- 1988年 - 1991年 International Institute of Public Finance 理事
- 1990年 International Seminar in Public Finance
著書[編集]
単著[編集]
- 『財政構造の安定効果--ビルトイン・スタビライザーの分析』(勁草書房, 1976年)
- 『租税政策の効果--数量的接近』(東洋経済新報社, 1979年)
- 『ケインズ政策の功罪』(東洋経済新報社, 1980年)
- 『財政改革の論理』(日本経済新聞社, 1982年)
- 『財政理論』(有斐閣, 1984年)
- 『税制改革をどう進めるか』(日本経済新聞社, 1986年)
- The Japanese Tax System, (オックスフォード大学出版局 Clarendon Press, 1989, 2nd ed., 1993).
- 『税制のリストラクチャリング』(東洋経済新報社, 1990年)
- 『土地税制改革--いま、なぜ地価税か』(東洋経済新報社, 1991年)
- 『利子・株式譲渡益課税論--所得税のアキレス腱を検証する』(日本経済新聞社, 1993年)
- 『税金の論理』(講談社現代新書 1994年)
- 『国の借金』(講談社現代新書 1997年)
- 『環境税とは何か』(岩波新書 1999年)
- Making Fiscal Policy in Japan: Economic Effects and Institutional Settings, (オックスフォード大学出版局, 2000).
- 『税制ウォッチング--「公平・中立・簡素」を求めて』(中公新書 2001年)
- 『大学はどこへ行く』(講談社現代新書 2002年)
- 『税の負担はどうなるか』(中公新書 2004年)
- 『税制スケッチ帳』時事通信出版局 2005
- 『政策の現場から--バブル崩壊後の日本経済・財政を考える』(ぎょうせい, 2006年)
- 『タックスよ、こんにちは!--茶の間で語らう親子のために』(日本評論社, 2006年)
- 『現代税制改革史 終戦からバブル崩壊まで』(東洋経済新報社 2008年)
- 『税制改革の渦中にあって』(岩波書店, 2008年)
- 『消費税の政治経済学 税制と政治のはざまで』日本経済新聞出版社 2009
- 『新・学問のススメ 生涯学習のこれから』2012 講談社現代新書
- 『癌を追って ある貴重な闘病体験』2010 中公新書ラクレ
- 『増税時代 われわれは、どう向き合うべきか』ちくま新書、2012
- 『末期がんでも元気に生きる』ブックマン社 2017
編著[編集]
- 『わが国における資本所得課税の実態』(日本経済研究センター, 1990年)
- 『環境税--実態と仕組み』(東洋経済新報社, 1993年)
共編著[編集]
- (貝塚啓明・野口悠紀雄・宮島洋・本間正明)『シリーズ現代財政(全4巻)』(有斐閣, 1990-1991年)
- (飯野靖四)『現代財政のフロンティア--高齢化・国際化・分権化』(東洋経済新報社 1992年)
- (寺西俊一)『岩波講座環境経済・政策学(4)環境保全と公共政策』(岩波書店 2002年)
訳書[編集]
- ステファン・J・ターノフスキー『マクロ経済分析と安定政策』(マグロウヒル好学社, 1980年)
- J・A・ペックマン『税制改革の理論と現実』(馬場義久と共訳、東洋経済新報社 1988年)
脚注[編集]
- ↑ [1]
- ↑ 消費税:石弘光氏「税率アップと軽減税率はワンセット」毎日新聞 2014年1月21日(2014年2月2日時点のインターネットアーカイブ)
外部リンク[編集]
- 「がんになって人生の視野が広がった」石 弘光さん(一橋大学名誉教授 政府税制調査会元会長) - がんサバイバー・クラブ(YouTube)
- 放送大学