池澤夏樹
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池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 - )は、日本の小説家、詩人。声優の池澤春菜は娘。
プロフィール[編集]
福永武彦と原條あき子(本名山下澄)との間に生まれる。しかし、二人は離婚し、夏樹は母親に引き取られる。母は池澤某と再婚したので、池澤姓を名乗ることになった。
父の福永とは1970年代に和解したようで、夏樹はその後小説を書き始め、「スティル・ライフ」で芥川賞を受賞する。
概要[編集]
都立富士高校を経て、埼玉大学理工学部(現・理学部)物理学科中退。
ギリシア現代詩からアメリカ現代小説などの翻訳を経て、1978年に詩集『塩の道』を出版し、1984年に『海』に長編小説「夏の朝の成層圏」を発表して作家としても活動するようになる。
主な代表作は『スティル・ライフ』、『母なる自然のおっぱい』、『マシアス・ギリの失脚』、『花を運ぶ妹』、『静かな大地』など。
受賞・受章歴[編集]
- 1987年 - 中央公論新人賞(「スティル・ライフ」 )
- 1988年 - 芥川龍之介賞(「スティル・ライフ」)
- 1992年 - 小学館文学賞(『南の島のティオ』)
- 1993年 - 読売文学賞 随筆・紀行賞(『母なる自然のおっぱい』)
- 1993年 - 谷崎潤一郎賞(『マシアス・ギリの失脚』)
- 1994年 - 伊藤整文学賞(『楽しい終末』)
- 1996年 - JTB出版文化賞(『ハワイイ紀行』)
- 2000年 - 毎日出版文化賞 文学・芸術部門(『花を運ぶ妹』)
- 2001年 - 芸術選奨文部科学大臣賞(『すばらしい新世界』)
- 2003年 - 宮沢賢治賞(『言葉の流星群』)、司馬遼太郎賞(『イラクの小さな橋を渡って』『憲法なんて知らないよ』『静かな大地』などの著作活動全般)
- 2004年 - 親鸞賞(『世界文学を読みほどく』『静かな大地』)
- 2005年 - 桑原武夫学芸賞(『パレオマニア』)
- 2007年 - 紫綬褒章
- 2010年 - 毎日出版文化賞 企画部門(河出書房新社『世界文学全集』の編纂)
- 2011年 - 朝日賞(2010年度)
- 2020年 - 毎日出版文化賞 企画部門(河出書房新社『日本文学全集』の編纂)
- 2021年 - フランス芸術文化勲章オフィシエ受賞[1]
作品一覧[編集]
詩[編集]
- 『塩の道』(書肆山田、1978)
- 『もっとも長い河に関する考察』(書肆山田、1982)
- 『池澤夏樹詩集成』(書肆山田、1996)
- 『メランコリア』(光琳社出版、1998)
- 『この世界のぜんぶ』(中央公論新社、2001)のち文庫
小説[編集]
- 『夏の朝の成層圏』(中央公論社、1984)のち文庫
- 『スティル・ライフ』(中央公論社、1988)のち文庫
- La Vie immobile (tr. Véronique Brindeau et Dominique Palmé, Arles: Philippe Picquier, 1995)
- Still Lives (tr. Dennis Keene, Tokyo: Kodansha International, 1997)
- L'uomo che fece ritorno (tr. Antonietta Pastore, L'arcipelago Einaudi; 21, Torino: Einaudi, 2003)
- 『真昼のプリニウス』(中央公論社、1989)のち文庫
- 『バビロンに行きて歌え』(新潮社、1990)のち文庫
- 『マリコ / マリキータ』(文藝春秋、1990)のち文庫、角川文庫
- 『タマリンドの木』(文藝春秋、1991)のち文庫
- 『南の島のティオ』(楡出版、1992)のち文春文庫、講談社青い鳥文庫
- 『TIO'S ISLAND』(小学館、2010、写真:竹沢うるま)
- Tio du Pacifique : les histoires que me racontait (tr. Corinne Quentin, Arles: Philippe Picquier, 2001)
- 『きみが住む星』(文化出版局、1992、写真:エルンスト・ハース)のち角川文庫
- 『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、1993)のち文庫
- Aufstieg und Fall des Macias Guili (tr. Otto Putz, Berlin: edition Q, 2002)
- The Navidad Incident: The Downfall of Matías Guili (Haikasoru, 2012)
- 『骨は珊瑚、眼は真珠』(文藝春秋、1995)のち文庫
- Des os de corail, des yeux de perle (tr. Véronique Brindeau et Corinne Quentin, Arles: Philippe Picquier, 1997)
- 『やがてヒトに与えられたときが満ちて……』(河出書房新社、1996)のち角川文庫
- 『世界一しあわせなタバコの木。』(絵本館、1997、絵:渡邉良重)絵本
- 『花を運ぶ妹』(文藝春秋、2000)のち文庫
- A burden of flowers (tr. Alfred Birnbaum, Tokyo: Kodansha International, 2001)
- La sœur qui portait des fleurs (tr. Corinne Atlan et Corinne Quentin, Arles: Philippe Picquier, 2004)
- Schwere Blumen (tr. Sabine Mangold, Hamburg: Abera, 2014)
- 『すばらしい新世界』(中央公論新社、2000)のち文庫
- 『カイマナヒラの家』(ホーム社、2001)のち集英社文庫
- 『静かな大地』(朝日新聞社、2004)のち文庫
- 『キップをなくして』(角川書店、2005)のち文庫
- 『きみのためのバラ』(新潮社、2007)のち文庫
- 『光の指で触れよ』(中央公論新社、2008)のち文庫
- 『星に降る雪 修道院』(角川書店、2008)のち改題「星に降る雪」角川文庫
- 『熊になった少年』(スイッチパブリッシング、2009)
- 『カデナ』(新潮社、2009)のち文庫
- 『氷山の南』(文藝春秋、2012)のち文庫
- 『双頭の船』(新潮社 2013)のち文庫
- 『アトミック・ボックス』(毎日新聞社、2014)のち角川文庫
- 『砂浜に坐り込んだ船』(新潮社 2015)のち文庫
- 『キトラ・ボックス』(KADOKAWA、2017)のち文庫
- 『ワカタケル』(日本経済新聞出版、2020)
随筆・評論など[編集]
- 『サーカムナヴィゲイション』(イザラ書房、1980)
- 『見えない博物館』(小沢書店、1986)のち平凡社ライブラリー
- 『ギリシアの誘惑』(書肆山田、1987、増補版2017)
- 『ブッキッシュな世界像』(白水社、1988、新版1993)のち白水Uブックス
- 『シネ・シティー鳥瞰図』(中公文庫、1988)
- 『都市の書物』(太田出版、1990)
- 『インパラは転ばない』(光文社、1990、イラスト:飯野和好)のち新潮文庫
- 『読書癖』(全4巻、みすず書房、1991-1999)
- 『エデンを遠く離れて』(朝日新聞社、1991)のち文庫
- 『南鳥島特別航路』(日本交通公社、1991)のち新潮文庫
- 『母なる自然のおっぱい』(新潮社、1992)のち文庫
- 『宇宙のつくりかた』(福音館書店、たくさんのふしぎ、1992)小学3・4年生以上向け
- 『楽しい終末』(文藝春秋、1993)のち文庫
- 『むくどり通信』(朝日新聞社、1994)のち文庫
- 『小説の羅針盤』(新潮社、1995)
- 『星界からの報告』(書肆山田、1995)
- 『むくどりは飛んでゆく』(朝日新聞社、1995)
- 『海図と航海日誌』(スイッチ・パブリッシング、1995)
- 『むくどりは千羽に一羽……』(朝日新聞社、1996)
- 『ハワイイ紀行』(新潮社、1996)のち文庫
- 『むくどりの巣ごもり』(朝日新聞社、1997)「むくどり通信 雄飛編」文庫
- 『沖縄式風力発言』(ボーダーインク、1997)
- 『明るい旅情』(新潮社、1997)のち文庫
- 『室内旅行 池澤夏樹の読書日記』(文藝春秋、1998)
- 『むくどりとしゃっきん鳥』(朝日新聞社、1998)
- 『むくどり最終便』(朝日新聞社、1999)「むくどり通信・雌伏編」文庫
- 『旅をした人 星野道夫の生と死』(スイッチ・パブリッシング、2000)
- 『新世紀へようこそ』(光文社、2002)
- 『言葉の流星群』(角川書店、2003)のち文庫
- 『イラクの小さな橋を渡って』(光文社、2003)のち文庫
- On a Small Bridge in Iraq (tr. Alfred Birnbaum, Okinawa: Impala, 2003)
- SUR UN PETIT PONT EN IRAK (tr. Corinne Quentin, Okinawa: Impala, 2003)
- AUF EINER KLEINEN BRÜCKE IM IRAK (tr. Otto Putz, Okinawa: Impala, 2003)
- 『憲法なんて知らないよ というキミのための「日本の憲法」』(ホーム社、2003)のち集英社文庫
- 『世界のために涙せよ 新世紀へようこそ2』(光文社、2003)
- 『神々の食』(文藝春秋、2003)のち文庫
- 『風がページを・・・・ 池澤夏樹の読書日記』(文藝春秋、2003)
- 『パレオマニア 大英博物館からの13の旅』(集英社インターナショナル、2004)のち文庫
- 『アマバルの自然誌 沖縄の田舎で暮らす』(光文社、2004)のち文庫
- 『異国の客』(集英社、2005)のち文庫
- 『世界文学を読みほどく スタンダールからピンチョンまで』(新潮選書、2005、増補版2017)
- 『池澤夏樹の旅地図 Along the footsteps of a lay pilgrim』(世界文化社、2007)
- 『虹の彼方に 池澤夏樹の同時代コラム』(講談社、2007)のち文庫
- 『叡智の断片』(集英社インターナショナル、2007)のち文庫
- 『セーヌの川辺』(集英社、2008)のち文庫
- 『風神帖―エッセー集成1』(みすず書房、2008)
- 『雷神帖―エッセー集成2』(みすず書房、2008)
- 『ぼくたちが聖書について知りたかったこと』(小学館、2009)のち文庫
- 『嵐の夜の読書』(みすず書房、2010)
- 『池澤夏樹の世界文学リミックス』(河出書房新社、2011)のち文庫
- 『春を恨んだりはしない 震災をめぐって考えたこと』(中央公論新社、2011)のち文庫
- 『終わりと始まり』(朝日新聞出版、2013)のち文庫
- 『文明の渚』(岩波ブックレット、2013)
- 『現代世界の十大小説』(NHK出版新書、2014)
- 『うつくしい列島 地理学的名所紀行』(河出書房新社、2015)のち文庫
- 『詩のなぐさめ』(岩波書店、2015)
- 『沖縄への短い帰還』(ボーダーインク、2016)
- 『知の仕事術』(集英社インターナショナル新書、2017)
- 『のりものづくし』(中公文庫、2018)
- 『詩のきらめき』(岩波書店、2018)
- 『科学する心』(集英社インターナショナル、2019)
- 『いつだって読むのは目の前の一冊なのだ』(作品社、2019)
- 『されく魂 わが石牟礼道子抄』(河出書房新社、2021)
共著[編集]
- 『新潮古典文学アルバム 上田秋成』長島弘明共著 新潮社 1991
- 『沖縄いろいろ事典』(編)(新潮社、1992)「オキナワなんでも事典」文庫
- 『イスタンブール歴史散歩 とんぼの本』澁澤幸子共著 新潮社 1994
- 『沖にむかって泳ぐ 池澤夏樹ロング・インタヴュー』新井敏記著 文藝春秋 1994
- 『クジラが見る夢 ジャック・マイヨールとの海の日々』(テレコムスタッフ、1994、写真:高砂淳二・垂見健吾)のち新潮文庫
- 『沖縄からはじまる』大田昌秀共著 集英社 1998
- 『池澤夏樹アジアの感情 Long interview』新井敏記著 スイッチ・パブリッシング 2002
- 『池澤夏樹の世界文学ワンダーランド』(NHK出版「NHK知る楽」、2009年10-11月)、放送テキスト
- 『ぜんぶ本の話』池澤春菜共著 毎日新聞出版 2020
- 『みっちんの声』石牟礼道子共著 河出書房新社 2021
編著[編集]
- 『日本の名随筆 別巻 50 本屋』編 作品社 1995
- 『ことばのたくらみ 実作集』編 岩波書店 21世紀文学の創造 2003
- 『やがて麗しい五月が訪れ 原條あき子全詩集』編 書肆山田 2004
- 『歩く学問ナマコの思想』鶴見俊輔,内海愛子,中村尚司,熊岡路矢共著 埼玉大学共生社会研究センター編 コモンズ 2005
- 『本は、これから』編 岩波新書 2010
- 『怖い本と楽しい本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選 1998~2004』丸谷才一共編 毎日新聞社 2012
- 『分厚い本と熱い本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選2005~2011』丸谷才一共編 毎日新聞社 2012
- 『愉快な本と立派な本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選. 1992~1997』丸谷才一共編 毎日新聞社 2012
- 『丸谷才一全集』全12巻 辻原登・三浦雅士・湯川豊と編纂委員 文藝春秋 2013-2014
- 池澤夏樹=個人編集 世界文学全集(全30巻)河出書房新社 2007-2011年
- 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集(全30巻)河出書房新社、2014-2017年
- 監修 『須賀敦子の本棚』河出書房新社
翻訳[編集]
- カート・ヴォネガット『母なる夜』(白水社 1973年、白水Uブックス、1984年)
- ジェラルド・ダレル『虫とけものと家族たち』(集英社 1974年、集英社文庫、1983年、中公文庫、2014年)
- ジェラルド・ダレル『鳥とけものと親類たち』(集英社 1977年、集英社文庫、1985年)
- ジェラルド・ダレル『風とけものと友人たち』(集英社 1984年)
- リチャード・ブローティガン『チャイナタウンからの葉書』(サンリオ、1977年、ちくま文庫、2011年)
- アル・ラムラス、ジョン・シェイナー『戦艦奪取大作戦』(集英社、1980年、集英社文庫、1983年)
- ジェイムズ・ヘリオット『Dr.ヘリオットのおかしな体験』(集英社、1981年、集英社文庫、1997年)
- ジョン・アップダイク『クーデタ』(講談社、1981年)
- ピーター・グッドチャイルド『ヒロシマを壊滅させた男オッペンハイマー』(白水社 1982、新版1995)
- 『世界のライト・ヴァース 太陽の半分と月の全部と』(藤井昇、桑名一博、米川良夫共編・訳 森本清彦絵 書肆山田 1982)
- 『王さまのリンゴの木 ギリシャの民話』(ソフィア・ザランボウカ再話 ほるぷ出版 1982)
- 『ジャック・ケルアック詩集』(高橋雄一郎共訳 思潮社 1991年)
- E・M・フォースター『ファロスとファリロン』「著作集 7」みすず書房 1994年
- 『ジョン・レノン ラスト・インタビュー』(ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、中公文庫 2001年)
- 『テオ・アンゲロプロス シナリオ全集』(愛育社 2004年)
- アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』(集英社文庫、2005年)
- 『古事記』(河出書房新社、2014年)- 池澤夏樹 個人編集「日本文学全集」収録
- 『カヴァフィス全詩』(書肆山田、2018年)
- ウィリアム・ブレイク『無垢の歌』(池澤春菜共訳 毎日新聞出版 2021年)
脚注[編集]
- ↑ “池澤夏樹氏が芸術文化勲章を受章”. 駐日フランス大使館 (2021年5月31日). 2021年6月13日確認。