橋本治

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橋本 治(はしもと おさむ、1948年昭和23年)3月25日 - 2019年平成31年)1月29日)は、日本の小説家評論家随筆家

来歴[編集]

東京都出身。昭和43年(1968年)に東京大学在学中に学園紛争の最中だった大学祭のポスターを製作し、「とめてくれるなおっかさん。背中のいちょうが泣いている。男東大どこへ行く」のコピーで注目を集めた。昭和52年(1977年)に当時の風俗を若者の言葉で軽やかに描いた青春小説『桃尻娘』で作家としてデビューする。ベストセラーになったのが『桃尻語訳、枕草子』で、「春って曙よ!」「夏は夜よね。月の頃はモチロン!」などと生き生きとした若い女性の話し言葉で古典の魅力をよみがえらせた。これにより『窯変源氏物語』『双調平家物語』など他の古典文学の現代語訳にも次々と挑戦した。

『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞を受賞し、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞を受賞する。小説『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を受賞し、平成30年(2018年)には小説『草薙の剣』で野間文芸賞を受賞した。これらの硬質な思考を柔らかく軽やかに綴る評論が高く評価された。

野間文芸賞を受賞したものの、既にこの時期には発病しており、受賞記者会見には欠席して文書を寄せ、そのときに上顎洞癌入院して治療を受けていることを明かしていた。そして平成31年(2019年)1月29日午後3時9分、肺炎のため、東京都新宿区病院で死去した。70歳没。母親に先立っての死去であった。

著書[編集]

小説・戯曲[編集]

  • 桃尻娘講談社、1978年、のち講談社文庫・ポプラ文庫
  • 暗野(ブラックフィールド)北宋社、1981年、のち河出文庫
  • 『その後の仁義なき桃尻娘』講談社、、1983年、のち講談社文庫
  • 『ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかの殺人事件』徳間書店、1983年、のち徳間文庫
  • 『帰ってきた桃尻娘』講談社、1984年、のち講談社文庫
  • 『サイモン&ガーファンクルズ・グレイテスト・ヒッツ+1』大和書房、1984年、のちちくま文庫
  • 『大戦序曲』河出書房新社、1985年、のち河出文庫
  • 『無花果少年と瓜売小僧(いちぢくボーイとうりうりぼうや)』 講談社、1985年、のち講談社文庫
  • 『愛の矢車草』新潮文庫オリジナル、1987年、のちちくま文庫
  • 『ハイスクール八犬伝』1-8 徳間書店、1987–91年
  • 『無花果少年と桃尻娘』講談社、1988年
  • 『鞦韆(ぶらんこ)』白夜書房、1988年、のち新潮文庫・ちくま文庫
  • 『愛の帆掛舟』新潮文庫、1989年、のちちくま文庫
  • 『雨の温州蜜柑姫(おみかんひめ)』講談社、1990年
  • 『流水桃花抄』掌篇小説集、河出書房新社、1991年、のち河出文庫
  • 『月食』(戯曲)河出書房新社、1994年
  • 『生きる歓び』角川書店、1994年、のち角川文庫
  • 『桃尻娘プロポーズ大作戦』河出文庫、1995年
  • 『花物語』さべあのま絵、集英社、1995年
  • 『三日月物語』毎日新聞社、1996年
  • 橋本治小説集成』1–6 河出書房新社、1997年
  • 『平安女絵巻 女賊』集英社、1998年
  • 『つばめの来る日』角川書店、1999年、のち角川文庫
  • 『蝶のゆくえ』集英社、2004年、のち集英社文庫
  • 『Ba-bahその他』筑摩書房、2006年
  • 『夜』集英社、2008年、のち集英社文庫
  • 『巡礼』新潮社、2009年、のち新潮文庫
  • 『橋』文藝春秋、2010年、のち文春文庫
  • 『リア家の人々』新潮社、2010年、のち新潮文庫
  • 『幸いは降る星のごとく』集英社、2012年
  • 『初夏の色』新潮社、2013年

評論・エッセイ[編集]

  • 『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』北宋社、1979–81年、のち河出文庫
  • 『秘本世界生玉子』北宋社、1981年、のち河出文庫
  • 『よくない文章ドク本』大和書房、1982年、のち徳間文庫
  • 『熱血シュークリーム』上 北宋社、1982年
  • 『蓮と刀、男はなぜ男をこわがるのか』作品社、1982年、のち河出文庫
  • 『極楽迄ハ何哩』河出書房新社、1983年、のち徳間文庫
  • 『革命的半ズボン主義宣言』冬樹社、1984年、のち河出文庫
  • 『とうに涅槃をすぎて』徳間文庫、1984年
  • 『根性』朝日出版社週刊本、1985年、のち徳間文庫
  • 『合言葉は勇気』筑摩書房、1985年、のち文庫
  • 『デビッド100コラム』冬樹社、1985年、のち河出文庫
  • 『親子の世紀末人生相談』フィクション・インク、1985年、のちちくま文庫『青空人生相談所』に改題
  • 『ヴィヴィッドボーイのカリキュラム』パルコ出版局、1985年
  • 『ロバート本』作品社、1986年、のち河出文庫
  • 『完本 チャンバラ時代劇講座』徳間書店、1986年
  • 『恋愛論』講談社文庫オリジナル、1986年、のちSB文庫
  • 『問題発言』1–2 思想の科学社、1987年 - 1988年
  • 『アストロモモンガ』ネスコ、1987年、のち河出文庫
  • 『貞女への道』主婦の友社、1987年、のち河出文庫・ちくま文庫
  • 『オイディプス燕返し!! 蓮と刀・青年篇』河出書房新社、1987年
  • 『虹のヲルゴオル』大和書房、1988年、のち講談社文庫
  • 『ぼくたちの近代史』主婦の友社、1988年、のち河出文庫
  • 『風雅の虎の巻』作品社、1988年、のち講談社文庫・ちくま文庫
  • 橋本治雑文集成パンセ』1 - 7 河出書房新社、1989–90年、のち河出文庫
  • 『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ』河出書房新社、1989年
  • 『さまざまなエンディング』主婦の友社、1990年
  • 『江戸にフランス革命を!』青土社、1990年、のち中公文庫
  • 『'89』マドラ出版、1990年、のち河出文庫
  • 『武器よさらば』橋本治書簡集1972–1989、弓立社、1990年
  • 『恋の花詞集  歌謡曲が輝いていた時』音楽之友社、1990年、のちちくま文庫
  • 『義経伝説』河出書房新社、1991年
  • 『青春つーのはなに?』集英社文庫、1991年
  • 『ナインティーズ』小学館、1991年、のち河出文庫
  • 『橋本治の思考論理学』夜中の学校 2、マドラ出版、1992年
  • 『シンデレラボーイ シンデレラガール』河出文庫、1992年
  • 貧乏は正しい!シリーズ
    • 『貧乏は正しい!』小学館、1993年、のち小学館文庫
    • 『貧乏は正しい! ぼくらの最終戦争』小学館、1995年、のち小学館文庫
    • 『貧乏は正しい! ぼくらの東京物語』小学館、1996年、のち小学館文庫
    • 『貧乏は正しい! ぼくらの資本論』小学館、1996年、のち小学館文庫
    • 『貧乏は正しい! ぼくらの未来計画』小学館、1996年、のち小学館文庫
  • 源氏供養中央公論社、1993年 - 94年、のち中公文庫
  • 『ぼくらのsex』集英社、1993年、のち集英社文庫
  • 『ぬえの名前』岩波書店、1993年、のち幻冬舎文庫
  • 『絶滅女類図鑑』文藝春秋、1994年、のち文春文庫
  • 『浮上せよと活字は言う』中央公論社、1994年、のち平凡社ライブラリー
  • 『美男へのレッスン』中央公論社、1994年
  • 『秋夜』小論集、中央公論社、1994年
  • 『宗教なんかこわくない!』マドラ出版、1995年、のちちくま文庫
  • 『春宵』小論集、中央公論社、1995年
  • 『「広告批評」の橋本治』マドラ出版、1995年
  • 『ひらがな日本美術史』1 - 7 新潮社、1995–2007年
  • 『幕末の修羅絵師国芳』とんぼの本、新潮社、1995年
  • 『無意味な年無意味な思想』マガジンハウス、1997年
  • 『橋本治の明星的大青春』集英社文庫、1997年
  • 『橋本治の男になるのだ』ゴマブックス、1997年、のちちくま文庫『これも男の生きる道』に改題
  • 『ハシモト式古典入門』ゴマブックス、1997年、のちちくま文庫『これで古典がよくわかる』に改題
  • 『消えた言葉』アルク新書、1998年
  • 『冬暁』小論集、中央公論社、1998年
  • 『夏日』小論集、中央公論社、1998年
  • 『ああでもなくこうでもなく』マドラ出版、2000年
  • 『天使のウインク』中央公論新社、2000年
  • 『二十世紀』毎日新聞社、2001年、のちちくま文庫
  • 『橋本治が大辞林を使う』三省堂、2001年
  • 『さらに、ああでもなくこうでもなく』マドラ出版、2001年
  • 『「わからない」という方法』集英社新書、2001年
  • 『大江戸歌舞伎はこんなもの』筑摩書房、2001年、のち筑摩文庫
  • 『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』新潮社、2002年、のち新潮文庫
  • 『「日本が変わってゆく」の論(ああでもなくこうでもなく 3)』、マドラ出版、2002年
  • 『人はなぜ「美しい」がわかるのか』ちくま新書、2002年
  • 『シネマほらセット』河出書房新社、2004年
  • 『いま私たちが考えるべきこと』新潮社、2004年、のち新潮文庫
  • 『戦争のある世界(ああでもなくこうでもなく 4)』、マドラ出版、2004年
  • 『上司は思いつきで物を言う』集英社新書、2004年
  • 『ちゃんと話すための敬語の本』ちくまプリマー新書、2005年
  • 『勉強ができなくても恥ずかしくない 1 - 3』ちくまプリマー新書、2005年
  • 『ひろい世界のかたすみで』マガジンハウス、2005年
  • 『乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない』集英社新書、2005年
  • 『橋本治という行き方 - What a way to go! -』朝日新聞社、2005年
  • 『失楽園の向こう側』小学館文庫、2006年
  • 『権力の日本人』双調平家物語ノート 1、講談社、2006年
  • 『このストレスな社会!(ああでもなくこうでもなく 5)』、マドラ出版、2006年
  • 『小林秀雄の恵み』新潮社、2007
  • 『日本の行く道』集英社新書、2007年
  • 『いちばんさいしょの算数 1–2』ちくまプリマー新書、2008年
  • 『最後の「ああでもなくこうでもなく」そして、時代は続いて行く』マドラ出版、2008年
  • 『あなたの苦手な彼女について』ちくま新書、2008年
  • 『橋本治という考え方 - What kind of fool am I? -』朝日新聞社、2009年
  • 『大不況には本を読む』中公新書ラクレ、2009年
  • 『明日は昨日の風が吹く』マドラ出版、2009年
  • 『院政の日本人』双調平家物語ノート 2、講談社、2009年
  • 『日本の女帝の物語 - あまりにも現代的な古代の六人の女帝達』集英社新書、2009年
  • 『失われた近代を求めて I 言文一致体の誕生』朝日新聞出版、2010年
  • 『浄瑠璃を読もう』新潮社、2012年
  • 『その未来はどうなの?』集英社新書、2012年
  • 『橋本治という立ち止まり方 - On the street where you live -』朝日新聞出版、2012年
  • 『失われた近代を求めて II 自然主義と呼ばれたもの達』朝日新聞出版、2013年
  • 『国家を考える』ZINCLO! BLUE 001、グレイプス、2013年

古典の現代語訳[編集]

  • 『桃尻語訳 枕草子』全3巻 原作:清少納言枕草子』、河出書房新社、1987年 - 1988年、のち河出文庫
  • 『絵本 徒然草』原作:兼好法師徒然草』、河出書房新社、1990年、のち河出文庫
  • 『窯変源氏物語』1 - 14 原作:紫式部源氏物語』、中央公論社、1991–93年、のち中公文庫
  • 『古事記』原作:太安万侶編『古事記』、少年少女古典文学館 1、講談社、1993年
  • 『笛吹童子』原作:北村寿夫笛吹童子』、痛快世界の冒険文学、講談社、1998年
  • 『双調 平家物語』1–15 原作:作者不詳『平家物語』、中央公論新社、1998–2007年
  • 『仮名手本忠臣蔵』原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳仮名手本忠臣蔵』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 1、ポプラ社、2003年
  • 『桃尻語訳 百人一首』原作:藤原定家編『百人一首』、海竜社、2003年
  • 『義経千本桜』原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳『義経千本桜』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 2、ポプラ社、2005年
  • 『菅原伝授手習鑑』原作:二代目竹田出雲・三好松洛・並木千柳『菅原伝授手習鑑』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 3、ポプラ社、2007年
  • 『国性爺合戦』原作:近松門左衛門国性爺合戦』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 4、ポプラ社、2010年
  • 『妹背山婦女庭訓』原作:近松半二・松田ばく・栄善平・近松東南・三好松洛『妹背山婦女庭訓』、橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻 5、ポプラ社、2012年

イラスト[編集]

  • 『橋本治画集』マドラ出版、1991年
  • 『橋本治歌舞伎画文集 - かぶきのよう分からん』演劇出版社、1992年

共著[編集]

作詞[編集]

  • 「悲しみよようこそ」パンタ『KISS』所収
  • 「恋のクレセント・ムーン」パンタ『KISS』所収

雑誌・特集[編集]

  • 「特集・橋本治 -『桃尻娘』から『リア家の人々』まで 無限遠の小説家」『ユリイカ  詩と評論』2010年6月号

出演[編集]

外部リンク[編集]