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海堂 尊(かいどう たける、本名非公開、1961年12月21日[1] -)は、日本の作家、医師、博士(医学)(千葉大学)。外科医、病理医を経て、現在は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所・放射線医学総合研究所病院勤務[2]。
来歴[編集]
千葉県千葉市出身。千葉県立千葉高等学校卒業後、駿台予備学校での浪人生活を経て、千葉大学医学部医学科卒業。1997年に千葉大学大学院医学研究科博士課程修了、博士号取得。学位論文は「血液系細胞株K562におけるTPA誘導CD30抑制機構の解析」。
2005年に『チーム・バチスタの崩壊』で、第4回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。2006年『チーム・バチスタの栄光』と改題して出版される。2006年「週刊文春ミステリーベスト10」第3位。
病理医として国立研究開発法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院に勤務。千葉大学医学部非常勤講師も務める。しかし病理学会員が自身の抗議を坐視したため、17年間続けた病理医を2010年3月限りでやめる。オートプシー・イメージング(Autopsy imaging, Ai, 死亡時画像病理診断)の重要性と社会制度への導入を訴える。Ai関連医学書は本名で著している。
私生活では1994年に結婚し2児の父。特技は県立千葉高校から始めた剣道(3段)。千葉大学医学部時代には医学部剣道部で主将を務め、東医体で活躍する。また、中学以来、将棋の熱心なファンであり、2012年、第70期名人戦第一局の観戦記を執筆した。
受賞・候補歴[編集]
- 2005年 - 『チーム・バチスタの栄光』で第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。
- 2008年
- 『死因不明社会』で科学ジャーナリスト賞受賞。
- 『ブラックペアン1988』で第21回山本周五郎賞候補。
- 2010年 - 『マドンナ・ヴェルデ』で第23回山本周五郎賞候補。
- 2011年 - 『ブレイズメス1990』で第32回吉川英治文学新人賞候補。
作風[編集]
メディカルエンターテイメント作家として活動する。全ての作品が東海地方の架空の地方都市である「桜宮市」を中心に舞台設定を共有する[3]。それらの作品間リンクに伴い、別作品のキャラクターがクロスオーバーして度々登場し、各作品はそれぞれ血縁関係者や背景が関わっている。
単行本から文庫化の際には、読みやすさを重視して改訂し[4]、「螺鈿迷宮」では約1割の減量化がされ、「イノセント・ゲリラの祝祭」では(同じ時系列、同じ主要登場人物で)別作品である「東京都二十三区内外殺人事件」を内部に組み入れる形で再構成がなされている。
業界屈指の速筆として知られている。その際、BGMとしてJ-POPを流し、本人はテーマ・ソングと呼んでいる。
深山正久・東大教授への批判[編集]
Aiについては東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野の深山正久教授も研究しているが、これを“反対の立場からデータを捏造し発展を阻害”と指摘し、ブログで「Ai(死亡時画像診断)導入の反対の病理学会重鎮が、Aiの普及、発展を阻害」「病理学会上層部と官僚の癒着による学業業績剽窃事件」などと主張したため、深山教授に名誉毀損で330万円の損害賠償を求める訴えを起こされた。一審では「いずれも真実と認める証拠はない」として、被告側に110万円賠償を命じられた(2010年1月18日)。判決後、記者会見を開き「Aiは解剖率が低い日本の『死因不明社会』の解決策になると信じるからこそ批判をした。名誉棄損の部分ばかりが独り歩きしているが、Aiを適正に社会に導入するための危機感からブログを書いている。個人攻撃のつもりはない。Aiをめぐり学会などオープンな場で議論をしたかった。わたしの批判に反論し議論する場は、本来、裁判所ではなく学術の場ではないのか?」と語った。二審でも「盗用の証拠はない」として敗訴するが、「官僚と癒着」との直接的表現がない部分に関して名誉毀損の事実は認められないとして60万円に減額(2011年1月12日)された。最高裁に上告したが7月8日、上告棄却。ちなみに海堂本人は、その後の著作でこの裁判をスラップ訴訟だとしている。
作品[編集]
小説[編集]
田口・白鳥シリーズ[編集]
詳細は「田口・白鳥シリーズ」を参照
作者はこのシリーズを「東城大学シリーズ」としている[5]。
- チーム・バチスタの栄光(2006年1月 宝島社 / 2007年11月 宝島社文庫【上・下】 / 2015年9月 宝島社文庫【新装版】)- 受賞時名は「チーム・バチスタの崩壊」
- ナイチンゲールの沈黙(2006年10月 宝島社 / 2008年9月 宝島社文庫【上・下】 / 2015年11月 宝島社文庫【新装版】)
- ジェネラル・ルージュの凱旋(2007年4月 宝島社 / 2009年1月 宝島社文庫【上・下】 / 2016年1月 宝島社文庫【新装版】)
- イノセント・ゲリラの祝祭(2008年11月 宝島社 / 2010年1月 宝島社文庫【上・下】 / 2016年5月 宝島社文庫【新装版】)
- ジェネラル・ルージュの伝説 海堂尊ワールドのすべて(2009年2月 宝島社 / 2010年6月 宝島社文庫)
- 文庫版には「疾風─2006」「残照─2007」を併録
- アリアドネの弾丸(2010年9月 宝島社 / 2012年6月 宝島社文庫【上・下】 / 2016年7月 宝島社文庫【新装版】)
- ケルベロスの肖像 (2012年7月 宝島社 / 2014年1月 宝島社文庫)
- 文庫版には「突然の来訪者」「古巣への帰還」を併録
- カレイドスコープの箱庭(2014年3月 宝島社 / 2015年7月 宝島社文庫)
- コロナ黙示録(2020年7月 宝島社)
- 【改題】コロナ黙示録 2020災厄の襲来(2022年7月 宝島社文庫)
- コロナ狂騒録(2021年9月 宝島社)
- 【改題】コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴(2022年7月 宝島社文庫)
バブル三部作[編集]
作者はこのシリーズを「バブル三部作」としている[6]。出版元の講談社は「ブラックペアン」シリーズとしている[7]。
- ブラックペアン1988(2007年9月 講談社 / 2009年12月 講談社文庫【上・下】 / 2012年4月 講談社文庫【新装版】)
- ブレイズメス1990(2010年7月 講談社 / 2012年5月 講談社文庫)
- スリジエセンター1991(2012年10月 講談社 / 2018年3月 講談社文庫)
海堂シリーズ現代篇[編集]
作者はこのシリーズを「海堂シリーズ現代篇」としている[8]。
- ジーン・ワルツ(2008年3月 新潮社 / 2010年6月 新潮文庫)
- マドンナ・ヴェルデ(2010年3月 新潮社 / 2013年3月 新潮文庫)
- ナニワ・モンスター(2011年4月 新潮社 / 2014年4月 新潮文庫)
- スカラムーシュ・ムーン(2015年7月 新潮社 / 2018年3月 新潮文庫)
極北篇[編集]
- 極北クレイマー(2009年4月 朝日新聞出版 / 2011年3月 朝日文庫【上・下】 / 2013年10月 朝日文庫【新装版】)
- 【改題】極北クレイマー2008(2019年2月 講談社文庫)
- 極北ラプソディ (2011年12月 朝日新聞出版 / 2013年10月 朝日文庫)
- 【改題】極北ラプソディ2009(2019年3月 講談社文庫)
ポーラースター・シリーズ[編集]
出版元の株式会社文藝春秋は「ポーラースター・シリーズ」シリーズとしている[9]。
- ポーラースター ゲバラ覚醒(2016年6月 文藝春秋)
- 【改題】ゲバラ覚醒 ポーラースター1(2019年2月 文春文庫)
- ゲバラ漂流 ポーラースター(2017年10月 文藝春秋)
- 【改題】ゲバラ漂流 ポーラースター2(2019年3月 文春文庫)
- フィデル誕生 ポーラースター3(2019年3月 文春文庫)
- フィデル出陣 ポーラースター(2020年7月 文藝春秋)
その他の小説[編集]
- 螺鈿迷宮(2006年11月 角川書店 / 2008年11月 角川文庫【上・下】 / 2013年7月 角川文庫【新装版】)
- 夢見る黄金地球儀(2007年10月 東京創元社ミステリ・フロンティア / 2009年10月 創元推理文庫)
- 【改題】黄金地球儀2013(2019年5月 講談社文庫)
- 医学のたまご(2008年1月 理論社ミステリーYA! / 2020年4月 角川文庫)
- 医学のひよこ(初出:小説 野性時代2020年5月号 / 2021年5月 角川書店)
- 医学のつばさ(初出:小説 野性時代2020年11月号 / 2021年6月 角川書店)
- ひかりの剣(2008年8月 文藝春秋 / 2010年8月 文春文庫)
- モルフェウスの領域(2010年12月 角川書店 / 2013年6月 角川文庫)
- 玉村警部補の災難(2012年2月 宝島社 / 2015年6月 宝島社文庫)
- 東京都二十三区内外殺人事件(初出:『このミステリーがすごい! 2008年版』)
- 青空迷宮(初出:『このミステリーがすごい! 2009年版』)
- 四兆七千億分の一の憂鬱(初出:『このミステリーがすごい! 2010年版』)
- エナメルの証言(初出:『このミステリーがすごい! 2012年版』)
- 輝天炎上(2013年1月 角川書店 / 2014年2月 角川文庫)
- ガンコロリン(2013年10月 新潮社)
- アクアマリンの神殿(2014年7月 角川書店 / 2016年6月 角川文庫)
- 玉村警部補の巡礼(2018年4月 宝島社 / 2020年11月 宝島社文庫)
- 阿波 発心のアリバイ(初出:『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.8)
- 土佐 修行のハーフ・ムーン(初出:『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.9) - 「修行のタイムリミット」より改題
- 伊予 菩提のヘレシー(初出:『このミステリーがすごい!』大賞作家 書き下ろしBOOK vol.19)
- 讃岐 涅槃のアクアリウム(初出:『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.20)
- 氷獄(2019年7月 角川書店)
- 双生(初出:『小説 野性時代』2015年3月号) - 「鉄仮面の微笑」より改題
- 星宿(初出:『小説 野性時代』2017年5月号) - 「オレンジの星座」より改題
- 黎明(初出:『小説 野性時代』2018年5月号) - 「絶望の海、希望の星」より改題
- 氷獄(初出:『小説 野性時代』2019年5月号)
単著未収録短編[編集]
- 『真説・リョーマ伝』縁起(『「このミステリーがすごい!」大賞STORIES』)
- 十枚のエチュード(『「このミステリーがすごい!」大賞10周年記念 10分間ミステリー』)
- コマンダンテの海(『オール讀物』2012年2月号、3月号)
- 司法解剖・所得倍増計画 (『小説 野性時代』2014年2月号)
- カシオペアのエンドロール(『このミステリーがすごい! 4つの謎』)
単著未収録作品[編集]
- チェ・ゲバラ、その生と死(『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.1~vol.3[10])
未単行本化連載作品[編集]
小説以外の著作[編集]
- 死因不明社会 Aiが拓く新しい医療(2007年11月 講談社ブルーバックス)
- 外科医 須磨久善(2009年7月 講談社 / 2011年7月 講談社文庫)
- トリセツ・カラダ カラダ地図を描こう(2009年11月 宝島社)
- ゴーゴー・Ai アカデミズム闘争4000日(2011年3月 講談社)
- 死因不明社会2 なぜAiが必要なのか(2011年8月 講談社ブルーバックス)
- 医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか(2012年3月 角川oneテーマ21新書)
- 日本の医療 この人を見よ 「海堂ラボ」vol.1(2012年4月 PHP新書)
- ほんとうの診断学 「死因不明社会」を許さない(2012年5月 新潮選書)
- 日本の医療 この人が動かす 「海堂ラボ」vol.2(2013年4月 PHP新書)
- トリセツ・ヤマイ ヤマイ世界を俯瞰する(2013年5月 宝島社)
- 日本の医療 知られざる変革者たち 「海堂ラボ」vol.3(2014年2月 PHP新書)
- いまさらですが、無頼派宣言。(2014年11月 宝島社)
- 死因不明社会2018(2018年7月 講談社文庫)
- 奏鳴曲 北里と鷗外(2022年2月 文藝春秋)
- 北里柴三郎 よみがえる天才7 (2022年3月 ちくまプリマー新書)
- 森鴎外 よみがえる天才8(2022年4月 ちくまプリマー新書)
共著[編集]
- 作家たちのオリンピック 五輪小説傑作選(2018年9月 PHP文芸文庫)
- 医療ミステリーアンソロジー ドクターM(2020年7月 朝日文庫)
- エナメルの証言(初出:『このミステリーがすごい! 2012年版』)
編纂[編集]
- 松本清張傑作選 暗闇に嗤うドクター 海堂尊オリジナルセレクション(2009年4月 新潮社 / 2013年1月 新潮文庫)
監修[編集]
- 救命 東日本大震災、医師たちの奮闘(2011年8月 新潮社 / 2014年3月 新潮文庫)
メディア・ミックス[編集]
映画[編集]
- チーム・バチスタの栄光(2008年2月9日公開、配給:東宝、監督:中村義洋、主演:竹内結子)
- ジェネラル・ルージュの凱旋(2009年3月7日公開、配給:東宝、監督:中村義洋、主演:竹内結子)
- ジーン・ワルツ(2011年2月5日公開、配給:東映、監督:大谷健太郎、主演:菅野美穂)
- チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像(2014年3月29日公開、配給:東宝、監督:星野和成、主演:伊藤淳史)
テレビドラマ[編集]
- フジテレビ系
-
- チーム・バチスタの栄光(2008年10月14日 - 12月23日、全11話、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタの栄光SPECIAL〜新たな迷宮への招待〜(2009年9月15日、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタ第2弾 ナイチンゲールの沈黙(2009年10月9日、「金曜プレステージ」枠、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋(2010年4月6日 - 6月22日、全12話、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタSP2011〜さらばジェネラル!天才救命医は愛する人を救えるか〜(2011年1月2日、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸(2011年7月12日 - 9月20日、全11話、主演:伊藤淳史)
- チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮(2014年1月7日 - 3月18日、全11話、主演:伊藤淳史)
- テレビ朝日系
- NHK総合テレビ
-
- マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜(2011年4月19日 - 5月24日、全6話、「ドラマ10」枠、主演:松坂慶子)
- 極北ラプソディ(2013年3月19日 - 3月20日、全2話、主演:瑛太)
- TBS系
-
- このミステリーがすごい! ベストセラー作家からの挑戦状「カシオペアのエンドロール」(2014年12月29日、主演:藤原紀香)
- ブラックペアン(2018年4月22日 - 2018年6月24日、全10話、「日曜劇場」枠、主演:二宮和也)
漫画[編集]
- チーム・バチスタの栄光(作画:佐藤いづみ、2008年1月 宝島社 / 2012年7月 宝島社文庫)
- ジェネラル・ルージュの凱旋(作画:高遠るい、2009年2月 宝島社 / 2012年7月 宝島社文庫)
コンピュータゲーム[編集]
- チーム・バチスタの栄光〜真実を紡ぐ4つのカルテ〜(2008年12月 ハドソン)
出演[編集]
- 海堂ラボ
- ドラマチーム・バチスタの栄光(最終話、フジテレビ)
- 芸能界麻雀最強位決定戦 THEわれめDEポン(#100、フジテレビONE)
- タイプライターズ〜物書きの世界〜(2021年12月18日、フジテレビ)
脚注[編集]
- ↑ 会員名簿 海堂尊|日本推理作家協会
- ↑ 『極北ラプソディ』カバー袖より
- ↑ 書評家の東えりかはこの世界観を、文庫版『ナイチンゲールの沈黙』の解説において「桜宮サーガ」と称する。
- ↑ 『IN★POCKET』2009年12月号 「ブラックペアン1988」文庫化! 徹底解剖:海堂尊
- ↑ 引きこもり続ける法医学会 | 海堂尊公式ホームページ
- ↑ たまには、文学的総括を | 海堂尊公式ホームページ
- ↑ 講談社BOOK倶楽部:スリジエセンター1991 海堂尊
- ↑ 今年は散文的に | 海堂尊公式ホームページ
- ↑ 『フィデル出陣 ポーラースター』海堂尊 文藝春秋BOOKS
- ↑ HOME > 『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK vol.3
外部リンク[編集]
- 海堂尊公式ホームページ(宝島社・著者紹介サイト)
- 『このミス』大賞受賞作家 海堂 尊のホームページ 宝島社
- 『このミステリーがすごい!』大賞 公式ホームページ
- 『夢見る黄金地球儀』について 東京創元社webミステリーズ
- オートプシー・イメージング学会