サイレント引退
サイレント引退(さいれんといんたい)は、何の予告や予兆もなしに人物や車両などが引退すること。本項では、主に鉄道車両での事例について、また、終盤ではバス車両のサイレント引退についても解説する。
概要[編集]
通常、車両の引退にあたっては何らかの予兆や、この日に引退するという予告があることが多い。しかし、中には何の前触れもなくいきなり次の日から一切運行しなくなることがある。これをサイレント引退といい、特に鉄道界隈では大炎上の種となったこともあるが、一般市民にとっては公共交通機関に悪影響を与えない、望ましい引退である。
サイレント引退になる原因[編集]
編成ごとの引退[編集]
最も多いパターン。系列全体ではなく、1編成や1両ごとの引退の場合、わざわざ騒ぐ必要はないと考えられるため、静かに消えていきがちである。
突然の故障や事故[編集]
まだ走行予定であった車両の老朽化が著しく、予備部品の確保が極めて困難であるにもかかわらず、事故や故障を起こした場合、修理とかはなされず引退となる。この場合は後にお別れイベントを車庫内で開催してから除籍・解体処分されることもしばしばである。
迷惑撮り鉄対策[編集]
令和に入るとSNS等で拡散されるが故、鉄ヲタ、特に迷惑な撮り鉄に対しての目は厳しくなった。このため、事前予告をすることなく運用を終えるケースが増加しつつある。時には引退当日の朝ですら秘匿されている場合もあり、会社側の撮り鉄対策が徹底的であることが窺える。
更に言ってしまえば運用終了後のお別れ会すら開かれないこともあり、この場合は大炎上の種となるので要注意である。
これは東京メトロ千代田線で2018年まで運転されていた東京メトロ6000系電車のラストランが大荒れしたことが原因と思われる。
玉突き置き換えによる引退[編集]
新車投入による直接置き換えではなく、新車を別の路線に入れたうえでそこから捻出された車両によって車両を置き換える場合は予告されないことも多い。この場合は車両の老朽化が著しく進んでいる場合があり、一部の鉄道ファンから「そろそろ引退が近いのではないかと推測していた」という声も度々聞く。
ラストラン中止を余儀なくされ、お別れ会もなし[編集]
COVID-19などの感染症流行、あるいは東日本大震災や福島県沖地震 (2022年)などの震災によりラストランが中止となり、さらにはその後のフォローもなく廃車回送されていった場合、事実上のサイレント引退となってしまう。主にジョイフルトレインに散見される。
リゾートみのり(COVID-19の影響)、とれいゆつばさ(福島県沖地震の影響)などが当てはまる。
事例[編集]
- 近畿日本鉄道の通勤車群 - ほとんど同じ型のため、一般人やにわかには違いが気づかない。そのため、昔から予告なく運用離脱・廃車解体が進められてきた。近年では近鉄2000系電車XT01・02編成など、特定の形態が消滅する際には別途お別れイベントが開催されることもある。
- 小田急4000形電車 (初代) - 類似した車体や前面をもつ2600形や旧5000形がいたためか、引退や廃車解体はひっそり寂しく行われた。
- 福井鉄道200形電車 - 第2編成は2015年3月引退予定であったが、ドア故障により突如引退が2ヶ月前倒しとなった。また、最後まで残った第3編成も2016年2月をもって休車となり、検査期限切れも相まって以降の運用には就かないことにしたため事実上のサイレント引退となった。一応第3編成は保存が決定しているためその分まだマシである。
- 営団03系電車 - 同社の営団6000系電車ラストランが撮り鉄により大荒れしたためサイレント引退となった。
- 国鉄115系電車 - JR東日本では185系のラストランが荒れて、国鉄型である115系も荒れる可能性があったことを判断してなのかは不明だが、最終日までラストランと知らされなかった。 ラストラン当日の新井快速運転時に引退と判明したためサイレントとは言えないかもしれないが、最終日まで知らされなかったのでサイレント引退と扱う。
- E127系新潟車 - ダイヤ改正当日よりJR東日本公式から越後線と弥彦線の文字を消されたため、前日をもってサイレント引退が行われたと推定できる。なお、最後まで残った2編成は南武支線に転用された。
- 奈良線103系 - 撮り鉄対策名目ではなく、221系の玉突き置き換えだったことから3月11日にサイレント引退。もっとも、より経年の浅い201系も置き換えが進行していたため、一部の猛者から引退を予測していた声もあった。また、この引退により、103系と同じ、同線の4ドア車205系の唐突な引退を危ぶむ者も現れた。
- リゾートみのり - 新型コロナウィルスの影響でラストランが運休となった。しかし、さよなら運転を2020年8月8日、9日、10日に団体列車として行い、ラストラン運休のフォロー(?)が行われた。
- とれいゆつばさ - 定期運用のラストランは無事迎えることができたが、正真正銘のラストランである団体臨時列車が、3月16日に発生した福島県沖地震 (2022年)により東北新幹線が不通となり運転できなくなったため中止となった。
- E257-0系 - 編成ごとの引退となる。特急踊り子に使用するため、多くの編成が2000番台へ改番。後に改造されなかった3編成も唐突に5000番台へ改番。そのため、0番台はこっそり消えてしまった。なお、付属編成(2両)は全車解体済み。
- 京都市営地下鉄10系電車第07編成 - この編成のラストランの運用が近鉄線内の人身事故により運休となった。
- JR東日本205系電車500番台R11編成・R12編成 - 引退も大々的に取り上げられることもなく、また同時に2本が突然国府津車両センターに回送され、2022年2月下旬に運用を離脱した。
- 東京メトロ7000系電車 - 最後まで残った7134Fは、公式発表もなく2022年4月18日にひっそりと姿を消した。
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バス車両[編集]
バス車両では鉄道車両と違い、車両の引退告知・ラストランが行われるケースが少なく、さらに鉄道界隈と比べても公式やネットなどで出回る情報量が少ない傾向にある。そのため、サイレント引退も日常茶飯事となっている。事業者・営業所によっては「ラストラン」と掲げたボードが掲げられる場合もある。