笹森清
笹森 清(ささもり きよし、1940年10月21日[1] - 2011年6月4日)は、労働運動家。日本労働組合総連合会(連合)第4代会長。連合顧問[2]、内閣特別顧問。
人物[編集]
東京都出身。埼玉県立川越高等学校卒業。1960年東京電力に入社。1991年東京電力労働組合委員長、1993年電力総連会長、1997年連合事務局長[1]。2001年鷲尾悦也前会長の推薦で連合会長に就任[3]。外部の識者による「連合評価委員会」を設置するなど、企業別組合主義の克服を目指す社会的労働運動路線を推進し、2007年の「非正規雇用センター」の設置[4]、2008年の「年越し派遣村」への協力などに結実した[5]。
2003年の連合第8回定期大会では笹森に対抗して髙木剛(UIゼンセン同盟会長)が会長選挙に立候補したが、笹森が大差で再選された。芹澤寿良は髙木の立候補について「「企業別組合主義」克服の社会的労働運動推進路線への民間大企業単産グループの批判、抵抗だったのではないかと思っている」と評している[4]。2005年の連合第9回定期大会で会長職を退任。同大会では役員選考委員会推薦の髙木と笹森の「社会的労働運動」路線を引き継ぐとする鴨桃代(全国ユニオン会長)の2名が会長選挙に立候補した。髙木が当選したものの、パート労働者中心の小組織から立候補した鴨が107票を獲得して注目を集めた[4]。
政界では「民主、自民両党に幅広い人脈を持つ民主党の後見役的存在」であったとされ[6]、小沢一郎との緊密な関係で知られた[7]。菅直人や仙谷由人とも親しく[8][9]、2010年10月に菅内閣の内閣特別顧問に就任し、東日本大震災や福島第1原子力発電所事故の対応で菅首相に助言した[8]。2011年4月には菅首相の特使として訪中。中国の戴秉国国務委員(外交担当)と会談し、胡錦濤国家主席への首相の親書を手渡した[10]。
2011年6月4日、肺炎のため東京都内の病院で死去。70歳[8]。連合関係者によると膵臓癌のため入院していた[11]。菅首相は笹森の死去について「大変お世話になった。残念だ」と述べた[12]。
2011年6月17日、政府は笹森に従三位と旭日大綬章を贈ることを決定した[13]。
経歴[編集]
- 1960年4月 - 東京電力株式会社に入社
- 1982年12月 - 全日本民間労働組合協議会事務局次長
- 1986年6月 - 東京電力労働組合書記長
- 1989年6月 - 東京電力労働組合副委員長
- 1991年6月 - 東京電力労働組合委員長
- 1993年9月 - 全国電力関連産業労働組合総連合会長
- 1993年10月 - 日本労働組合総連合会副会長
- 1997年10月 - 日本労働組合総連合会事務局長[1]
- 2001年10月 - 日本労働組合総連合会会長(2005年10月まで)[1][14]
- 2002年2月 - 労働者福祉中央協議会会長(2005年より専従)[15][5]
- 2010年10月 - 内閣特別顧問[8]
役職等[編集]
- 税制調査会委員[16]
- 財政制度等審議会委員(2001年11月~)
- 司法制度改革推進本部顧問(2001年12月~)
- 法制審議会委員(2002年7月~)
- 郵政行政審議会委員(2003年4月~)
- 社会保障の在り方に関する懇談会委員(2004年6月~)[1]
- デジタル時代のNHK懇談会委員(2005年5月~)[17]
- 人事院給与懇話会委員(2006年1月~)[18]
- 社会保障と税の一体改革集中検討会議委員(2011年2月~)[19]
- 社団法人教育文化協会理事長(1999~2002年)、顧問[20]
- 財団法人連合総合生活開発研究所理事長(2002年9月〜2005年11月)[21][22]
- 財団法人2005年日本国際博覧会協会常任理事[2]
- 財団法人2005年日本国際博覧会協会清算人[23]
- 司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会代表幹事[24]
- 「協同労働の協同組合」法制化をめざす市民会議(協同労働法制化市民会議)会長(2007年5月~)[25]
- 財団法人社会経済生産性本部理事
- 財団法人国際労働財団評議員
- 民間外交推進協会評議員会副議長
- 財団法人日弁連法務研究財団理事
- 財団法人松下政経塾評議員
- NPO法人エコキャップ推進協会理事長[26]
出典[編集]
- ↑ a b c d e 笹森清プロフィール 首相官邸
- ↑ a b 財団法人2005年日本国際博覧会 役員名簿 EXPO 2005 AICHI,JAPAN
- ↑ 「元連合会長の鷲尾悦也氏が死去」『日本経済新聞』2012/2/27付
- ↑ a b c 芹澤寿良「連合運動は「社会のバリケード」になれるか―基本姿勢の転換と大企業労組の組織、運動の改革を―(PDF)」政治経済研究所『政経研究』第96号、2011年6月
- ↑ a b わたしの労働運動ものがたり〜笹森清 連合運動20年を語る Labor Now TV
- ↑ 連合の元会長・笹森清内閣特別顧問が死去 日テレNEWS、2011年6月4日
- ↑ 斎藤貴男『「東京電力」研究 排除の系譜』講談社、2012年、11頁
- ↑ a b c d 笹森清・元連合会長が死去 内閣特別顧問 日本経済新聞、2011年6月4日
- ↑ 仙谷官房長官 「東大紛争で弁当運びしていた」と暴露される 週刊ポスト2010年11月5日号
- ↑ 笹森内閣特別顧問、首相特使として訪中し謝意伝達 日本経済新聞、2011年4月22日
- ↑ 元連合会長 笹森清氏が死去 msn産経ニュース、2011年6月4日
- ↑ 首相「大変お世話になった、残念」 笹森氏死去 日本経済新聞、2011年6月4日
- ↑ 元ソニー社長の故大賀氏、連合元会長の故笹森氏に従三位と旭日大綬章 msn産経ニュース、2011年6月17日
- ↑ 新会長にUIゼンセン同盟の高木氏 連合大会 労働政策研究・研修機構(JILPT)、2005年10月7日
- ↑ 第54回定期総会を開催、満場一致で全議案を承認!! 中央労福協
- ↑ 税制調査会委員名簿(第19回総会) : 税制調査会(2009年10月7日まで) 内閣府
- ↑ 「デジタル時代のNHK懇談会」中間報告 NHK
- ↑ 給与懇話会委員紹介 人事院
- ↑ 政府 社会保障・税の一体改革 6月成案に向け集中検討 京都保険医新聞第2776号、2011年2月20日
- ↑ 『ILEC通信』No.22(PDF)教育文化協会、2008年9月15日
- ↑ 『DIO』No.166(PDF)連合総合生活開発研究所、2002年11月
- ↑ 『DIO』No.200(PDF)連合総合生活開発研究所、2005年12月
- ↑ 財団法人2005年日本国際博覧会 役員名簿 愛・地球博閉幕後データ集
- ↑ 「司法修習生に対する給与の支給継続を求める要請書」賛同願い 一人ひとりが声をあげて平和を創る メールマガジン「オルタ広場」
- ↑ 協同労働法制化市民会議の会長に笹森前連合会長が 研究所たよりWeb版、2007年5月17日
- ↑ シンポジウム「労働運動とNPOの協働を考える」(PDF)島根いきいき広場