餘部橋梁
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餘部橋梁 (あまるべきょうりょう)とは兵庫県美方郡香美町に存在する西日本旅客鉄道山陰本線の橋梁である。余部橋梁(鉄橋)とも呼ばれる。
概要[編集]
現在はコンクリート橋に架け換えられたが、かつてはトレッスル橋脚に上路式桁橋が搭載されていた。開通時、この区間をどのように越えるか議論があった。築堤を設置した場合、余部(現・香美町香住区)の集落が消滅してしまうので橋梁で越えることにしたが、コンクリート橋はまだ施工例が少なく、アメリカ合衆国での施工例が多いトレッスル橋脚とした。
1912年3月1日、香住駅-久谷駅開業[注 1]と同時に開通した。長さ310m、高さ41mであった。後述のとおり、1986年12月28日、強風によって回送列車が転落した。2010年7月16日に列車の運転終了。2010年8月12日、エクストラドーズドPC橋での新橋梁での運行が始まった。
余部橋梁事故の経緯[編集]
- 1986年11月16日 - 海側に設置された風速計の出力変換部に故障が発生したため使用停止
- 1986年12月28日 - 香住駅発浜坂駅行きの回送列車(国鉄DD51形ディーゼル機関車と国鉄14系客車7両編成)のうち、客車7両が転落した。当時の風速は43m/sと計算された。
状況[編集]
事故以前の調査でリベット検査、橋桁応力、ペイント調査、橋梁目視検査では異常がなかった。
風の観測[編集]
風は風向風速計によって観測され、天気予報では天気図によって次のように表される。
風向[編集]
風が吹いてくる方向をいい、16方位で表す。
風速[編集]
単位時間あたりの風の速さをいい、m/sで表す。
風力[編集]
風が吹いたときの陸上や海上の状態を表すもので、風の強さを表す。
- 風力階級
- 陸上での風の強さを表す表である。19世紀初頭にイギリスのビューフォート提督が航海のために帆船フリゲートが帆をいっぱいにあげたときどうなびくかを元に作成した。風力階級8以上、風速17.2m/s以上の熱帯低気圧を台風という。また、地球以外の天体ではこれより強い風が吹くこともある。
風力階級 | 陸上における状態 | 風速の範囲 (m/s) |
---|---|---|
0 | 静穏。煙は真っ直ぐに昇る。 | 0~0.2 |
1 | 風向は煙がなびくのでわかるが、風見には感じない。 | 0.3~1.5 |
2 | 顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す。 | 1.6~3.3 |
3 | 木の葉や細い小枝が動く出す。軽い旗が開く。 | 3.4~5.4 |
4 | 砂ぼこりが立ち、紙片が舞い上がる。小枝が動く。 | 5.5~7.9 |
5 | 葉のある灌木が揺れ始める。池や沼の水面に波頭が立つ。 | 8.0~10.7 |
6 | 大枝が動く。電線がなる。傘はさしにくい。 | 10.8~13.8 |
7 | 樹木全体が揺れる。風に向かって歩きにくい。 | 13.9~17.1 |
8 | 小枝が折れる。風に向かって歩けない。 | 17.2~20.7 |
9 | 人家にわずかの損害が起きる。煙突が倒れ、瓦が剥がれる。 | 20.8~24.4 |
10 | 内陸部では珍しい。樹木が根こそぎになる。人家に大損害が起きる。 | 24.5~28.4 |
11 | 滅多に起こらない。広い範囲の破壊を伴う。 | 28.5~32.6 |
12 | ほとんど起こらない。都市全体が破壊される。 | 32.7~36.9 |
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 室田明『河川工学』技報堂出版2001年1月31日1版10刷発行
- 渡嘉敷哲ほか『新ひとりで学べる11地学ⅠB』清水書院2003年8月20日第16刷発行
- 椹木亨、柴田徹、中川博次『土木へのアプローチ』技報堂出版1999年1月25日3版1刷発行。
- 〈鉄道ピクトリアルNo.1037〉「山陰本線」電気車研究会2025年5月1日発行。