竹内章郎

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竹内 章郎(たけうち あきろう、1954年 - )は、哲学者。岐阜大学名誉教授。専門は社会哲学・生命倫理・障害者論[1]

経歴[編集]

神戸市生まれ。岐阜県立岐阜高等学校卒業[2]。1978年一橋大学社会学部卒業。1981年一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。1989年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学[3]。博士課程単位修得論文は「主体=実体説におけるカントの位置」、指導教官は岩崎允胤[4]。1989年岐阜大学教養部講師、1992年助教授、1996年岐阜大学地域科学部教授[3]。2020年定年退職[5]

社会福祉法人いぶき福祉会理事(1994~2012年)[6]、評議員[5]唯物論研究協会(全国唯研)事務局長(2002~2004年)[6]、委員長(2012~2014年)[7]

人物[編集]

平等論、社会権思想、コミュニズム論、障がい者論などを研究している[3]。もともとはヘーゲルなどドイツ古典哲学の研究をしていたが、障害者論、能力主義、平等論の研究へとシフトし、「能力の共同性」概念を提起した[8]

ダウン症の娘の父親で、岐阜県内で共同作業所やグループホームを運営する「社会福祉法人いぶき福祉会」の設立に関わった。2016年の相模原障害者施設殺傷事件に関するインタビューでは、社会の底流にある優生思想の存在を指摘し、優生思想や能力主義、効率主義を克服して「障害者を真に受容する新しいヒューマニズム」を作っていかなければならないと語っている[1]

唯物論研究協会(全国唯研)、日本哲学会中部哲学会日本社会臨床学会日本医学哲学倫理学会総合人間学会に所属している[6]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『「弱者」の哲学』(大月書店[科学全書]、1993年)
  • 『現代平等論ガイド』(青木書店[シリーズ現代批判の哲学]、1999年)
  • 『平等論哲学への道程』(青木書店、2001年)
  • 『いのちの平等論――現代の優生思想に抗して』(岩波書店、2005年)
  • 新自由主義の嘘』(岩波書店[双書 哲学塾]、2007年)
  • 『平等の哲学――新しい福祉思想の扉をひらく』(大月書店、2010年)
  • 『いのちと平等をめぐる13章――優生思想の克服のために』(生活思想社、2020年)

共編著[編集]

  • 『競争の教育から共同の教育へ』(池谷壽夫、後藤道夫中西新太郎、吉崎祥司、吉田千秋共著、青木書店、1988年)
  • 『生命の倫理を問う』(佐藤和夫、伊坂青司共著、大月書店、1988年)
  • 『平等主義が福祉をすくう――脱〈自己責任=格差社会〉の理論』(中西新太郎、後藤道夫、小池直人、吉崎祥司共著、青木書店、2005年)
  • 『格差社会とたたかう――〈努力・チャンス・自立〉論批判』(後藤道夫、吉崎祥司、中西新太郎、渡辺憲正共著、青木書店[現代のテキスト]、2007年)
  • 『哲学する〈父〉たちの語らい――ダウン症・自閉症の〈娘〉との暮らし』(藤谷秀共著、生活思想社、2013年)
  • 『なぜ、市場化に違和感をいだくのか?――市場の「内」と「外」のせめぎ合い』(高橋弦共編著、晃洋書房、2014年)
  • 『社会権――人権を実現するもの』(吉崎祥司共著、大月書店、2017年)

分担執筆[編集]

  • 岩崎允胤編『ヘーゲルの思想と現代』(汐文社、1982年)
  • 森宏一編『哲学辞典』(青木書店、1985年)
  • 岩崎允胤、鰺坂真編『西洋哲学史概説』(有斐閣[有斐閣大学双書]、1986年)
  • 藤田勇編『権威的秩序と国家』(東京大学出版会、1987年)
  • 第1巻編集委員会編『叢書〈産む・育てる・教える――匿名の教育史〉 1 教育――誕生と終焉』(藤原書店、1990年)
  • 岩佐茂高田純島崎隆編『ヘーゲル用語事典』(未來社、1991年)
  • 岩佐茂、渡辺憲正、小林一穂編著『『ドイツ・イデオロギー』の射程』(創風社、1992年)
  • 東京唯物論研究会編『マルクス主義思想どこからどこへ』(時潮社、1992年)
  • 佐藤和夫責任編集『ラディカルに哲学する 2 「近代」を問いなおす』(大月書店、1994年)
  • 後藤道夫編『ラディカルに哲学する 4 日常世界を支配するもの』(大月書店、1995年)
  • 日本社会臨床学会編『他者への眼ざし――「異文化」と「臨床」』(社会評論社、1995年)
  • 森田尚人、藤田英典、黒崎勲編『教育学年報 4 個性という幻想』(世織書房、1995年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第2号 相対主義と現代世界――文化・社会・科学』(唯物論研究協会、発売:青木書店、1997年)
  • マルクス・カテゴリー事典編集委員会編『マルクス・カテゴリー事典』(青木書店、1998年)
  • フォーラム哲学編『言葉がひらく哲学の扉』(青木書店、1998年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第5号 新たな公共性を求めて』(唯物論研究協会、発売:青木書店、2000年)
  • 浜林正夫、山科三郎編『徹底批判『国民の道徳』』(大月書店、2001年)
  • いぶき福祉会編著『障害者福祉がかわる――考えよう!支援費制度 いぶきが大切にしたいこと』(生活思想社、2002年)
  • 教育科学研究会、田沼朗、野々垣務、三上昭彦編『いま、なぜ教育基本法の改正か』(国土社[「教育」別冊]、2003年)
  • 吉田傑俊、佐藤和夫、尾関周二編『アーレントとマルクス』(大月書店、2003年)
  • 高橋久一郎編『岩波 応用倫理学講義 7 問い』(岩波書店、2004年)
  • 尾関周二、亀山純生、武田一博編著『環境思想キーワード』(青木書店、2005年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第10号 「戦後日本」と切り結ぶ思想』(唯物論研究協会、発売:青木書店、2005年)
  • 障害者生活支援システム研究会編『障害者自立支援法と人間らしく生きる権利――障害者福祉改革への提言2』(かもがわ出版、2007年)
  • 日本社会臨床学会編『シリーズ「社会臨床の視界」 3 「新優生学」時代の生老病死』(現代書館、2008年)
  • 小内透編著『リーディングス日本の教育と社会 13 教育の不平等』(日本図書センター、2009年)
  • 総合人間学会編『総合人間学 3 科学技術を人間学から問う』(学文社、2009年)
  • 藤谷秀、尾関周二、大屋定晴編『共生と共同、連帯の未来――21世紀に託された思想』(青木書店[哲学から未来をひらく]、2009年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第15号 批判的「知」の復権』(大月書店、2010年)
  • 香川知晶、樫則章責任編集『シリーズ生命倫理学 2 生命倫理の基本概念』(丸善出版、2012年)
  • 唯物論研究協会編『唯物論研究年誌 第21号 文化が紡ぐ抵抗/抵抗が鍛える文化』(大月書店、2016年)
  • 渡辺憲正、平子友長、後藤道夫、蓑輪明子編『資本主義を超える マルクス理論入門』(大月書店、2016年)
  • 日本子どもを守る会編『子ども白書2017――「子どもを大切にする国」をめざして』(本の泉社、2017年)

出典[編集]

外部リンク[編集]