岩崎允胤

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岩崎 允胤(いわさき ちかつぐ、1921年1月7日 - 2009年)は、哲学者。一橋大学名誉教授。専攻はギリシャ哲学。

経歴・人物[編集]

東京市本郷区生まれ。旧制第一高等学校卒業。1943年東京帝国大学法学部法律学科卒。1949年東京大学文学部哲学科卒。東京都立九段高等学校教員を経て、1951年北海道大学文学部講師、1953年助教授、のち教授。1973年一橋大学社会学部教授。1984年定年退官、大阪経済法科大学教授。

日本共産党系のマルクス主義哲学者として知られる。1954年に結成された北海道唯研の中心メンバー。1959年6月に東京の大井正、大阪の森信成、下関の三井田一男らと各地唯研の連絡組織として日本唯物論研究会(日本唯研)を結成した。日本唯研委員、唯物論研究協会(全国唯研)委員長(1980~1982年)[1]日本平和委員会副理事長、同代表理事などを歴任。1989年「『統一的な世界の法則性』と史的唯物論」(『科学と思想』1988年秋号)、「ゴルバチョフ書記長の『新しい思考』と史的唯物論の問題」(『前衛』1989年1月号)で第14回野呂栄太郎賞を受賞。

主な著書に『日本マルクス主義哲学史序説』(未來社、1971年)、『現代自然科学と唯物弁証法』(宮原将平共著、大月書店、1972年)、『科学的認識の理論』(宮原将平共著、大月書店、1976年)、『西洋古代哲学史(1・2)』(未來社、1994-1995年)、『日本近世思想史序説(上・下)』(新日本出版社、1997年)、訳書に『エピクロス――教説と手紙――』(出隆共訳、岩波文庫、1959年)、ニコラウス・クザーヌス『知ある無知』(大出哲共訳、創文社、1966年)、アリストテレス『アリストテレス全集 3 自然学』(出隆共訳、岩波書店、1968年)などがある。

一橋大学のゼミ生に島崎隆後藤道夫中西新太郎平子友長などがいる[2]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『現代の論理学』(弘文堂[アテネ新書]、1961年)
  • 『現代社会科学方法論の批判――経済学と哲学の切点』(未來社、1965年)
  • 『弁証法と現代社会科学』(未來社、1967年)
  • 『中国の哲学とソヴェトの哲学』(啓隆閣、1967年)
  • 『「新左翼」と非合理主義』(新日本出版社、1970年)
  • 『日本マルクス主義哲学史序説』(未來社、1971年)
  • 『現代唯物論とその歴史的伝統』(北海道大学図書刊行会、1973年)
  • 『人間的自由と科学的精神』(汐文社、1976年)
  • 『科学の探究とヒューマニズム』(汐文社、1978年)
  • 『科学的認識と弁証法』(梓出版社、1979年)
  • 『現代の論理学』(梓出版社、1979年)
  • 『恒久平和と人間の尊厳――核の時代に生きて』(白石書店、1982年)
  • 『人類の知的遺産 10 ヘレニズムの思想家』(講談社、1982年)
    • 文庫版『ヘレニズムの思想家』(講談社[講談社学術文庫]、2007年)
  • 『学問・科学と青春――社会科学のすすめ』(白石書店、1984年)
  • 『人間と社会の弁証法――社会科学の認識論』(梓出版社、1984年)
  • 『核兵器と人間の倫理』(新日本出版社、1986年)
  • 『「新しい思考」と史的唯物論』(白石書店、1989年)
  • 『日本文化論と深層分析』(新日本出版社、1989年)
  • 『日本思想史序説』(新日本出版社、1991年)
  • 『現代の哲学と政治――激動の世界のなかで未来をめざして』(白石書店、1992年)
  • 『要説西洋古代哲学史』(大阪経済法科大学出版部、1994年)
  • 『西洋古代哲学史 1 ギリシア・ポリス社会の哲学』(未來社、1994年)
  • 『西洋古代哲学史 2 ヘレニズム・ローマ期の哲学』(未來社、1995年)
  • 『思索と詩想の庭』(邑書林、1996年)
  • 『日本近世思想史序説(上・下)』(新日本出版社、1997年)
  • 『黄金の弩――芸文と思想の苑』(邑書林、1998年)
  • 『現代の文化・倫理・価値の理論』(大阪経済法科大学出版部、1998年)
  • 『史劇 翡翠の翳光――菟野皇女の生涯』(本の泉社、1999年)
  • 『橄欖の梢』(本の泉社、2001年)
  • 『哲学と現代――二十一世紀の哲学思想の展開のために』(大阪経済法科大学出版部、2002年)
  • 『日本近代思想史序説 明治期前篇(上・下)』(新日本出版社、2002年)
  • 『日本近代思想史序説 明治期後篇(上・下)』(新日本出版社、2004年)
  • 『天平の桑門――僧行基の生涯』(本の泉社、2005年)

共著[編集]

  • 『現代自然科学と唯物弁証法』(宮原将平共著、大月書店、1972年)
  • 『科学的認識の理論』(宮原将平共著、大月書店、1976年)
  • 『現代科学対話――科学の方法と科学者の役割』(宮原将平共著、北海道大学図書刊行会、1984年)
  • 『東の科学 西の科学』(菅野礼司向江強小森田精子牧野哲佐藤任共著、東方出版、1988年)

編著[編集]

  • 『実践的唯物論の方法と視角 上 科学の方法と社会認識』(編、汐文社、1979年)
  • 『実践的唯物論の方法と視角 下 価値と人間的自由』(編、汐文社、1979年)
  • 『ヘーゲルの思想と現代』(編、汐文社、1982年)
  • 『現代の倫理――平和と民主主義のために』(編著、白石書店、1985年)
  • 『西洋哲学史概説』(鰺坂真共編、有斐閣[有斐閣大学双書]、1986年、オンデマンド版2002年)
  • 『核廃絶への輪づくりへ――人間の理性と良心に訴える』(編著、白石書店、1987年)
  • 『21世紀への跳躍 2 文化の現在』(編、三省堂、1988年)
  • 『弁証法と現代』(ジークフリード・ベーニッシュ、フランク・フィードラー共編、法律文化社、1989年)
  • 『現代哲学概論』(鰺坂真共編、青木書店、1990年)
  • 『宗教の今と未来』(佐木秋夫共編、世界聖典刊行協会、1990年)
  • 『哲学的価値論――日本・中国・旧ソ連での論究』(編著、大阪経済法科大学出版部、1999年)

訳書[編集]

  • 『エピクロス――教説と手紙――』(出隆共訳、岩波書店岩波文庫]、1959年/岩波書店[ワイド版岩波文庫]、2002年)
  • ニコラウス・クザーヌス『知ある無知』(大出哲共訳、創文社、1966年)
  • アリストテレス『アリストテレス全集 3 自然学』(出隆共訳、岩波書店、1968年)
  • K.マルクス大学哲学研究集団『科学論――その哲学的諸問題』(法政大学出版局[りぶらりあ選書]、1970年)
  • F.フィードラー『自然科学と社会科学の統一』(大月書店、1973年)
  • ペ・ヴェ・コプニン『認識論』(法政大学出版局[りぶらりあ選書]、1973年)
  • A.G.ムィスリフチェンコ『マルクス主義の人間概念』(大月書店、1977年)
  • ゴットフリート・シュティーラー編著『マルクス主義自由論』(汐文社、1978年)
  • ヴェ・ペ・トゥガリノフ『価値とはなにか――マルクス主義の哲学的価値論』(大月書店、1979年)

監修[編集]

  • 大阪経済法科大学、北京大学哲学系編『世紀の交における哲学思考』(大阪経済法科大学出版部、1999年)

出典[編集]

  1. 役員および歴代委員長 唯物論研究協会
  2. 中村行秀北村実島崎隆平子友長【座談会】唯物論研究と東京唯物論研究会の歴史(後編)PDF」東京唯物論研究会編『唯物論』第82号、2008年12月